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第8話
下半身の衣服すべてを剥ぎ取られ、番は悲鳴をあげた。手荒な真似はしたくはないが、待ちに待ち続けた番の精通だ。一発目は逃したがこれからは勝手に射精などさせるつもりはない。――番の体液全てが山茶花には糧になるのだから勿体ないことはしない。
年相応の大きさの性器をうっとりと見つめる山茶花は息を吐く。
(可愛い、なんて可愛いんだ……)
まだ皮を被っている可愛らしい性器を指でつつき、顔を近づける。
「――っ、ひぃっ?」
れ、と舌をあてて裏筋を辿り小さく柔らかい睾丸を口に含む。唇で食み舌を動かし、たっぷりと睾丸を愛撫する。
ふるふると番の性器は勃ち上がりはじめ、山茶花は目を細める。
(小さい、可愛い。射精させたい。ああ、そうだ、皮も剥いてやりたい)
いい方法を、番があまり痛い思いをしない方法を探そう。
勃起した性器を扱き射精を促す。
「あっ、あっ、だめ、出ちゃう……っ」
「出そうなときは「イく」と言え、麻生」
「はっ、いぃ……っ、ぁあっ、だめっ」
ビクビクと手の中で震えた性器、番の言う通り限界が近いのだろう。逃さないために、先端を口に含む。
「っ、あっ、イっ――、~~……っっ」
びくりびくりと腰を震わせ精は放たれた。舌の上に広がる淡い桃の味。
(食べさせておいてよかった)
じゅる、と最後の最後まで余すことなく、中に残すことなく吸い、啜る。
「はーっ、はーっ」
荒く息を吐く番に覆いかぶさり、目尻に唇を落とした。
「お前に桃を食べさせた甲斐があった。……お前の精液は美味い」
「はーっ、……ん……、は……っ。それなら……よろしゅうございました……」
快楽に侵されたままのふわふわとした頭で、ふわふわとした緩い笑みを浮かべる番の頭を撫で、深く唇を合わせた。
* * * *
「閃いたんです」
「頗る嫌な予感しかしないよ」
「オレもです」
夫夫揃って顔を顰めているが山茶花はそれを無視して、きりりと引き締めた顔のまま言った。
「ケツから摂取した方が効果的ですよね。ヒトはケツから酒を入れた方がよく酔うと聞きますし」
「廿日」
「準備万端でございます」
彩入が差し出した手に銀の弾丸と杭が置かれた。すかさずホールドアップする山茶花に、(この前もこの光景見たな)と遠い目をする魚月。
「お前があの子の番じゃなかったら即灰にしてる」
「残念でしたね」
「廿日」
「エクソシストに連絡を入れることも可能でございます」
「ご冗談を」
頭の後ろに手を回し、山茶花はソファから降りて膝をついた。テーブルがなければうつ伏せになっていた、完全降伏だ。
彩入が「行儀が悪いから座りなさい」と言ったので山茶花は再びソファに腰をかける。いつの間にか彩入の手から銀の弾丸と杭はなくなっていた。
「……お前、あの子に抱かれるつもりかい」
「筆おろしも破瓜も吝かではないですね」
「…………お前いつからそうなったの……」
魚月の肩に項垂れる彩入。魚月も片手で顔を覆い彩入の肩に手を回している。仲のいい夫夫だ、良いことだ。
「……あの子のことを口が軽いと言っておきながら、お前も相当軽いね」
「麻生がもう言ってしまっていますからね。ならばもう筒抜けにしてしまおうかと」
「風通りのいいことで……」
「うまいな、サカナ」
「嬉しくともなんともありませんよっ」
力尽きたと言わんばかりに魚月は弛緩し、肩に凭れる彩入の頭に自分の頭を重ねた。
「坊ちゃん、彩入さまの頭にのせるとはいい度胸ですね。芹生の末息子が帰ったあと説教です」
相変わらず従者は彩入のモンペのようだ。
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