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第9話
吸血鬼であれ造血鬼であれ、尻の穴に精液を残したままにすればさすがにお腹を壊す(吸血鬼はすぐに治るが造血鬼は治るのに時間がかかる)。これはヒトと同じだ。
だが番の体液が全て糧となる山茶花ならば、尻の穴に出された精液さえも糧となるはずだ。
とてもいい閃きをした。自画自賛しながら山茶花は自分の尻の穴――アナルを開発すべく片っ端から調べあげ片っ端から道具を揃えた。
鼻歌交じりに部屋に届いた品々を並べ、さてさてと携帯端末を見つめる。
びちゃびちゃとローションを下腹部にぶちまけまずは性器を扱き気分と雰囲気からつくる。
本当は、こういったことに慣れたプロにしてもらうのがいいと書いてあったが、さすがに誰かに触られるのは嫌だ。風俗店などに赴けばヒトに「なんでこんなところに来てるんだ」と思われる上にそんな顔をされるだろう。
吸血鬼は傷ついても傷はすぐに治る。効率的な精液摂取のため、いつか伴侶になったときの楽しいセックスライフのため。
「……っ、ふ……」
くにくにと鈴口をいじり、身体の力が抜けたところで、後ろに手を回しローションに濡れた指を穴に挿れる。
「ん、ぐぅ……っ」
さすがに痛い。ミチミチと肉を割り指を埋めていく。
指一本。挿れたところで一度動きを止める。
「ふっ……、はー……」
きゅう、と異物を追い出すために動く内壁。なるほど、これで相手を喜ぶのかと冷静なのかそうではないのかよくわからない状況で思考する。
しかし現状では締めつきが強すぎてこれでは気持ちいいと思う余裕なく、むしろ痛みがあるのではないだろう。
愛しい番の筆おろしのため、番から精液を摂取するため、来る初夜に向けて山茶花は自分の開発に力を入れようと決意した。
§ § § §
山茶花は最近、麻生にフェラをしながら自分の尻の穴を弄っている。
微かに喘ぎながら美味しそうな顔で麻生の性器を咥えて、ぐちゃぐちゃと音をたてながら尻の穴を弄っている山茶花の姿に麻生は少し――かなり興奮していた。
何故山茶花が尻の穴を弄っているのか確認したことはなく、また自分で調べることもしていなかった。(何故か調べてはいけない気がして検索エンジンの頁から戻るということが繰り返されていた。)
わざと音をたてて啜り上げられ麻生は堪らず喘ぐ。
ぎゅう、と太ももで山茶花の頭を挟み添えていた手で山茶花の髪を掴む。余りの快楽に力の加減ができないが山茶花に気にした様子はない。
「さ、ざんか、さま……っ、あぁああ……っ」
びくんっ。
身体を丸め山茶花の髪の毛を握りしめた。ずるずると尿道の残滓も残らず吸われる。
「あ、ぁ……、~~……っ」
開きっぱなしの口から涎が垂れて山茶花の首に落ちる。それに気づいた山茶花は首に手をやり「もったいないな」と呟いて手についた麻生の涎を舐めとった。
まだ震える身体をベッドに横たわらせて山茶花は麻生の唇を塞ぐ。いつまでたっても山茶花とのキスは山茶花に翻弄されてばかりで口の中を自由に舐めていく舌を追いかけるのがやっとだ。
麻生の口の中にある唾液全てを啜る勢いで山茶花は麻生の口腔内を蹂躙していく。
「んっ……、ふぅ、はっ……」
ぱっと口が離れたが舌だけは吸われた。
(なんでこの方はこんなにもキスがお上手なのだろう……)
親に聞いたが山茶花には今まで恋仲になった個はいなかったらしい。だのに山茶花はキスが上手い。
悔しい、と思う。麻生も山茶花を気持ちよくさせたいと思う。麻生とのキスが気持ちいいと思ってほしい。
(どうしたらいいんだろう)
離れていこうとする山茶花の舌を追いかけ、自分から絡める。
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