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第11話
ぐぱ、と開かれたそこ、に麻生は唾を飲み込んだ。
山茶花曰く「効率よく麻生の精液を摂取するため」の行為――あけすけに言うならば性行為、セックス。を今から、する。
山茶花自ら丹念に準備が施されているそこは一応 “処女” だというのに縦割れだった。
「あさお」
麻生に向けてはいつも甘い瞳が一等とろとろと甘く、期待に満ちている。薄紅色に染まる頬と耳、うっすらと開き舌を覗かせる口、如何にも発情していますと言わんばかりの様子の山茶花に、麻生も興奮が抑えられなかった。
「はっ……」
下履をとっぱらい、下半身を露出させる。
潤んだ瞳で麻生の下腹部を、性器を見つめる山茶花は我慢ができないのか、ゆるゆると腰を振る。
「はやく、あさお。あさおのを、俺にはやくくれ」
「……っ」
山茶花の腰を掴み麻生は落ち着くようにひとつ、息を吐く。ひくひくと動く山茶花のアナルに、ひとりと亀頭をくっつけた。
「さざんかさま、いれ、ますよ……」
ぬるぬる、とローションで滑りをよくしたそこは難なく麻生を受け入れていく。
「っ……ふぅ……。山茶花、さま、挿りましたよ……苦しくはないですか……?」
山茶花の顔を窺おうと麻生は上体を前のめりに倒す。
「んっ」
「ぅあ……っ」
ナカにいる麻生のモノの角度が少し変わり、アナルがきゅうと動いた。性器を包む肉壁の気持ちよさに、麻生は腕の力が抜けて山茶花の上に倒れこんだ。
「あさお……っ?」
「ごめ、ぅなさい……っ。山茶花さまのここ、すごく気持ちがよくて……っ」
真っ赤に染めあがった顔、とろんとうるんだ瞳、はふはふと呼吸を忙しなく繰り返す小さな口。麻生を形成する全てが可愛らしく、愛おしく、山茶花はきゅ~と麻生の性器を締め付けてしまった。
「あさお、麻生。俺の可愛い麻生。ふたりでたくさん、気持ちよくなろうな……?」
* * * *
目の前に座る造血鬼と吸血鬼は顔を覆って項垂れていた。
「……なんだって……?」
「もう一度言いましょう。何度だって言って差し上げますとも。――ついに本懐を遂げましたっ」
いえーいいえーい、だぶるぴーす。彩入も魚月も見てくれてはいないが、山茶花は二体に向って腕を伸ばすピースしていた。
「彩入さまの代わりにわたしが芹生さまの指を折りましょうか?」
「本当に彩入さん大好きですよね、四位例さん……」
そっと拳を握って背中に回した。この従者ならばやりかねない。
「ぼくの……」
「彩入さん?」
「ぼくの可愛い息子が、とうとう毒牙に……っ、なんであの子はこれの番に産まれてしまったんだろう……っ」
「心の底から言うのやめてくださいよ」
嘆く彩入の背中を撫でていた魚月と従者はじとりと山茶花を見つめる。(ついでに従者は魚月の手を払いのけた。)ひんひんと泣き真似をする彩入は身体を右に倒して魚月にもたれかかった。(どや顔をする魚月と大きく舌打ちをする従者。彩入はわかっていてこういうことをしているのではないだろうか。)
「山茶花さん、とにかく……ほどほどにお願いしますよ」
「最近は麻生の方からもじもじとしながら誘ってくるんだが」
「いつかお前を必ず灰にする……」
「呪詛吐くのやめてください」
顔を覆う指を隙間から、かっ開いた状態で凝視してくる彩入から目を逸らす。いつもはぬくもりのある鳶色が今回ばかりは恐ろしい。
「大事にしますし、大事にしてるんだから、勘弁してください」
「約束だからね……今から誓約書作ってくるからここで待ってなさい」
「ガチじゃないですか……」
部屋から出ていく彩入を見送り、山茶花と魚月は苦笑いを浮かべた。
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