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第3話

 イケメンが幼馴染でいいことがあったと思うか? 残念だな、いいことなんてひとつもないぞ。  陰湿ないじめなんてものはないけれど、こいつがいなかったらこれは味合わなくて済んだよなってことはしょっちゅうだ。  小さい頃は可愛かったとか、そんな同人誌みたいなことだってない。女の子と間違えることもなかった。着ている服は高そうなブランドものだけどしっかり男の子のものだったし、俺より力が強くてなんなら乱暴だった。おもちゃだけは取り合うことなく譲ってくれていたのを覚えているけれど、棒っきれで突かれたり虫爆弾を投げられることなんてしょっちゅうだった。  あいつは昔からザ・男の子って感じでかっこよかった。足だって速かったし、力も強かった。そりゃ、整った顔はしてたぞ。さすがに赤ちゃんの頃までは知らないけど。俺たち知り合ったの保育園だし。  でもその頃からもうあいつはカーストのトップにいる。あの頃からずーっと、てっぺんにい続けている。正直羨ましいとは思ったことあるんだ。俺がトップに入れるとは思わないけれど、もしあそこにいたら人生楽だろうなって。  だからと言って努力しないのが俺が俺たる所以である。あいつがこっちまで落ちて来ればいいのにと思う程悪人でもない俺はやっぱり平凡のままなのである。  なんで俺なんかと幼馴染を続けてるかは全く以て不明。ああいうのって大きくなるにつれて離れてくもんだと思ってたんだけど、違うのか? 学校だって変わるし、別に友達出来る。  いきなりぶっつり終わりってことは無くても、少しずつ疎遠になるものだと思ってた。幼馴染とは言え家が隣同士ベランダづたいに行き来……なんて近さでもないのにだ。  同じ町内だけれど、ひとつのブロックを挟んで俺たちの家が建っている。家の数で言えば、九軒先の幼馴染だ。  小学生になれば九軒って距離は遠くはなくなる。自分たちだけで遊びに出かけるようになれば、もっと遠くにだって行ける。それなのに、いつもあいつは俺の顔を見にやって来た。  一緒にいる時間なんて、昔に比べたらほんの僅か。散々遊んだあとに本当に顔を見るためだけにうちへ来る。  うちの親もなれたもので出入りに困らないように置き鍵の場所まで教えていた。今思えば俺に友達がいないと思って心配してたのかもしれない。それはそれでショックだな、ちゃんと友達いたし。  幼馴染だって公言する割に、学校での交流は少なかった。グループっていうと女子みたいだけど、友達だって違うのに、これを幼馴染って呼ぶんだろうか。幼馴染だった、じゃないのか?  いやこれだと絶交したみたいでさすがに胸が痛いから却下だな。

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