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第5話

 合コンの場所は生意気にも電車に乗ってまで向かった町の中心だった。  幼馴染の取り巻きの二人が一緒だった。俺を入れて四人か、四対四の合コンだってよ。ま、俺は置物になるから三対四になるのも時間の問題だ。  近所にある寂れたカラオケとは違ってピカピカ光る建物を黙ったまま見上げてしまう。地元にあるやつと全然違う……なんでカラオケでブルーレイが見れるんだ。キャラクターコラボ? え、何のために。  すっかりお上りさんになった俺を幼馴染以外の二人がくすくすと笑っていることに俺は気づかなかった。  予約していたらしく、名前を告げるとさくっと部屋へ通された。そうか、モテるためにはこういう気遣いが大事なのか。モテようなんて思ったことないけれど、あまりにもスマートな立ち振る舞いに思わず心の中にメモを取ってしまう。悔しい。  予約していた部屋は、一番奥の店員の目が行き届きにくい部屋だった。くそ、なんかこういうことに気付くのも嫌だ。これだからチャラチャラした奴は……変な匂いがしそうで、部屋に着くなりドリンクバーのコップを奪って部屋を出る。幼馴染の奢りだしフリードリンクだけど、めいっぱい飲んでやろう。どうせ俺が歌うことはない。俺は置物だ。  女の子が来たら料理も出るらしい。早く来ないかな、ただで腹が膨れるなんてなんて楽しいんだろう。騒音さえ我慢すれば、そう地獄じゃないなと俺は楽天的に考えていた。  ドリンクバーの横にはタンバリンとマラカスが積まれていた。タンバリンの形が俺の知ってるものとは違って、ここにまでチャラさが出てんのかと眉間に皺を寄せる。その横にはカラフルなたくさんの服がハンガーラックにかかっている。ペラペラでてかてか光る安っぽい布にまたチャラさを感じる。カラオケにこんなのいるんだろうか、いかがわしさに胸がむかむかする。自分には縁のない世界だ、くそったれ。  氷を半分と黒い炭酸をぎりぎりまで入れて部屋に戻る。一番奥の部屋までは少し距離が合ってコップが揺れる。零れそうになって慌ててじゅっと飲んだ。ペットボトルとは違う少し薄い味がした。  部屋に戻ると一人は電話をしていた。聞こえてくる内容から推測するに、女の子たちは遅刻するらしい。こいつらでも待たされたりするのか。いい気味だとこっそり鼻で笑ってソファの一番奥へと座ると、何故か幼馴染がすべるように距離を詰めてきた。 「俺のは?」 「ねえよ、なんで俺が。自分でいけ、すぐそこにあった」  知ってるよ、ここよく来るしってじゃあなんで俺に持ってこさせようとしたんだよ。本当意味わかんねえ。モテるこいつらを崇めるやつらがいるせいだ。そいつらは自らパシリを買って出る。個人の自由だけれど、そいつらと一緒にしないでほしい。俺はあくまでも頼まれてここにいる。パシリ要員ではないのだ。  立ち上がった幼馴染が俺の頭をぐいと押しながらせまいテーブルとソファの間を抜け出た。最後にさらりと髪を撫でられた気がする……、数年ぶりだから、少しだけ驚いたけど変なスキンシップは今更だ。

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