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第5話 震える少年
_____ 焦った。母親の、こんな姿を見せてしまってよかったんだろうか・・・・・・。
「息子さんはここで待ってて。ね?」という江口さんに、
「行く。僕も行きたい・・・」
消えるような声で言われて切なくなる。
「じゃあ、オレが側にいますから!」
そう言って、オレは少年の手を握った。
小さくて冷たい指先が微かに震えているのがわかると、オレは少年の頭に手を置いて
「ごめんな!?ちょっとだけ、頑張ろうな!」と言った。
「う、ん・・・・・」
小さく頷くと、決意の表れなのか少年の口元は一文字に結ばれていった。
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