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第9話 叔父と甥

 「躰は辛くないですか?」と、声を掛ける。 「はい、大丈夫です。痛みはさほど感じないんですよ。神経が麻痺してしまったのかな」 小さい声だが聞き取れないことは無い。男性はオレの顔を見るとニッコリと微笑む。 「あの時の方、ですね・・・?姉が顔を蹴ってしまった・・・」 「・・・はい、覚えていてくれましたか?あれから随分経つのに・・・」 「もちろんです。見上げる程大きな躰をした人は、ボクの周りにはいないですから。」 そう言って、また微笑んだ。 「ははは、そんなに珍しいですかね?」 オレが笑いながら訊く。そんなオレたちの間に流れる空気は、彼の重い病気を一瞬だけ軽くしたようにも感じた。 「・・・隆哉さん、・・・あんまり無理しないで。」 オレと男性の会話を遮る様に、ヨシヒサくんは言う。 叔父さんを疲れさせたくないんだろう、オレは「すいません。つい・・・」と謝った。 「いいんです、あなたに会えるなんて奇跡ですよ。最後にもう一度お礼を言いたいぐらいです。」 男性は、なおもオレに話しかけた。が、そんな横でヨシヒサくんは怪訝な表情を浮かべてオレを見た。

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