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第24話 気に入らない・・

うずくまるオレの前で、逃げる様子の無いヨシヒサくんは、じっと立ち尽くしていた。 木の枝は手から離され、もう花を傷めつける事はなかったが、ぶらんと両手を下げてうな垂れた姿は何とも言いようがなく不安定。 彼の何がそうさせるのか・・・・ 桔梗の花を嫌いだと言った言葉が引っかかる。 「どうしたんですか?!・・・大丈夫か?」 心配した長野さんが戻ってくると、オレを見て言った。 「あ、大丈夫です。ちょっと油断しちゃいました。」 そう言って立ち上がると、身体についた泥を払う。 「なに?何か、あったの?」と小声でオレに聞くが、なんと説明したらいいのか分からず黙っていた。 「・・・すいませ~ん。俺が興奮して、この人蹴っちゃいました。ごめんなさい。」 言葉では謝っているが、本当に悪いと思っていない様で、ふてくされた言い方が気に障った。

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