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第43話 虐待?

 「あ、そういや長野くんに聞いたけど、内田くんあの子とケンカしていたんだってね?」 長野さんが黙っていられる性格じゃないのは分かっていたけど、依頼者の家族とケンカなんてオレのクビが危ないじゃないか。と、長野さんを恨んだ。 「ま、あ・・・ケンカと言う程のものでは........。」 そう言って机の上の報告書に記入を始める。なんとなくマズイ気がした。 指導係の江口さんに睨まれたらボーナスにも響く。 「そうだ、彼の背中の傷って・・・なんか聞いてます?5年前に叔父さんと打ち合わせしたの、江口さんでしたよね!」 オレは、違う話で江口さんの気を逸らそうとしたが、変な事を聞いてしまったようだった。急に真面目な顔をすると、オレの机の向かいに腰を降ろす。 「な、なんです?」と、小さな声で聞くと「また、彼から依頼があるかもしれないから、報告しとくけど・・・」と言って、顔を近づけてくる。 「自分が直接目にしたわけじゃないんだけど、あのお母さん、彼を虐待していたらしい。」 「え!!?・・・」 オレは江口さんの耳元で、大きな声を出してしまった。

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