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第45話 それから・・

 あの背中の傷を目にしてから数週間経ち、人混みの中を歩きながら、休日のショッピングセンターをぶらつく。 家族連れの他にカップルも多く、オレは否応なしに自分が独りだという事を実感した。 特に買いたいものは無かったが、たまには服でも見ようかと思ってメンズショップに入ったオレだった。3年前は、こんなオレだって彼女と服を選んだりしていたんだ。 今思えば、あの頃が一番幸せだったのかもしれないな・・・ でも、幸せは期待すればするほど、壊れたときのダメージも大きくて。 失恋というよりは、諦め・・・ 諦めれば、胸の痛みも和らぐ気がしていた。 この仕事に就いてからは、余計にそう思う。 快方に向かう方もいるが、ほとんどは同じ状態、もしくは亡くなってしまう方もいて。 あの隆哉さんをお見送りした時にも感じていた。空しさは、何処か諦めに似た感情だった。 あの日、隆哉さんがヨシヒサくんを気にかけてやってくれと言ったが、江口さんに聞いた話はあそこへ行くことを躊躇させる。どんな顔をして会えばいいのかオレには分からなかった。 結局、隆哉さんの期待には応えられそうにない。

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