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第53話 困りごと?

 大きな瞳で顔を見られると、なんだか後悔の念にさいなまれる。 自分で言った言葉だが、余計な事を言ったような気がしてならなかった。  目と目が合うと、ここで逸らしたら負ける様な気がして、オレはヨシヒサくんと向き合ったまま紅茶を口に運ぶ。でも、内心はとんでもない依頼が来そうでドキドキしていた。 「・・・オレの仕事内容は知ってるよな?そこに該当しない依頼は受けられない。」 きっぱりと言った。でないと、便利屋の様に思ってもらったら困るし、他に急を要する依頼もあるんだから。 「わかってる。医者に連れてってもらって、あの金額を取るんだから、めったなお願いはできないって・・・。」 「腕の具合はよさそうじゃないか。特に困る事は無いだろう?」 「あるよ、いっぱいある!・・・切実な困り事がね。」 そう言って、オレから目を逸らすと俯いた。 - 何だよ・・・・ 急に黙ると、余計に不気味だろ。 オレは彼の表情を食い入るように見つめた。

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