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第54話 突然何を・・

 「明子さんがさ・・・・、この家を維持するのは大変だからって、誰か人に貸すとか売るとかしたらいいんじゃないかって・・・」 「明子さんって、隆哉さんの妹の?きみの叔母さんにあたるんだよね。・・・」 「うん、この家の権利は俺にあるんだけど、平屋のわりに部屋はいっぱいあって、掃除ひとつ出来やしない。だから、俺は小さなマンションに住んで、ここは家族持ちの誰かに借りてもらったらいいってさ・・・。」 「あ、・・・そうだな、確かに一人で住むには広すぎるし、管理は大変だ。庭の雑草だって放置するぐらいだもんな。」 明子さんが心配するのも仕方がない。彼は自分の事は出来るんだろうけど、家の管理となると別だ。使っていない部屋が、どれぐらいあるのか分からないが、きっとカビ臭くなっているんじゃないのか・・・・?と、想像しただけで、鼻がかゆくなりそうだった。 「そういえば、付き合ってる彼女・・イヤ、彼氏がいるだろう。そいつに頼んでここへ住んでもらったらいいんだ。」 我ながらいい考え。 家賃も入るし、掃除もさせて庭もきれいにしてもらって、二人の愛の住処にしたらいいじゃないか。と、思った。 オレには、ゲイのカップルがどんなものか分からないが、男女のソレと大差ないだろうと思っていた。普通に飯を食って、遊びに行って、、、、エッチもしちゃうんだろ?! どうやってするのかは知らないけど・・・・ 「ダ~メ。・・・俺のこと突き落とした彼女が怖くて、結局向こうへ行っちゃったよ。やっぱり〔バイ〕はダメだね。すーぐ女に行っちゃう。」 「バイ、って?・・・あ、いいや、なんとなく分かった。」 もうそれ以上は、聞くのが面倒くさい。 とにかくこれは、オレの仕事じゃどうにもならない。藤谷家で何とか考えるしかないんだ。 「まあ、ゆっくり考えろよ。明子さんと相談して、さ。」 オレがティーカップを片付けようと立ち上がると 「内田さんが一緒に住んでよ、ここに。」 オレの足首をしっかり掴むと、ヨシヒサくんがオレを見上げて言った。

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