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第61話 呻き声?

 駐車スペースに車を停めると、オレは玄関ではなく勝手口の方へ回った。 すぐに冷蔵庫へ入れるつもりで、入れたら速攻で会社へ引き返そうと思って。 この時間、ミクがいるかどうかは分からない。互いにカギを持ち、勝手に帰って勝手に食事をする。この一週間で顔を合わせたのは2日だけ。 シェアハウスの住人というよりは、勝手に上がり込んでる男って感じのオレだった。 ミクもオレの行動には興味が無いというのか、自分のペースで生活していた。 それが、オレには気楽だし居心地がよかった。 冷蔵庫の野菜室に梨を入れて、そっと扉を閉める。それから急いで勝手口に戻り、脱いだ靴に足を入れたときだった。 「ぅわぁぁぁ・・・・・・ああっ!」と、奥から声というのか、叫びというのか呻きと言うのか・・・・変な声がしてビクツと鳥肌がたった。 オレは、息を殺して声のする方へと歩いて行く。あれは、ミクの声だ。 まさか、強盗とか・・・・・ もしそうなら、逃げるわけにはいかないと思いながらも、心臓はバクバクしている。 足がすくんで気が逸るのに、なかなか前に進めなかった。

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