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第63話 違和感
障子の隙間から垣間見た光景を瞼に焼き付けたオレは、静かに勝手口から出ると、車のドアを開けて運転席へとなだれ込む様に乗り込んだ。
キーを差し込む手が僅かに震え、胸の鼓動も全く収まらない。それどころか、自分の下腹辺りに違和感を覚えて、何とも言い難い興奮に驚く。
実際に、他人がエッチしている場面を見るのは初めてで、しかも男同士とか………。
訳も分からず興奮する自分が、悲しいほど馬鹿みたいで切なくなった。
- オレはおかしいのか?
普通なら、嫌悪感を抱く様な光景。
でも、男同士でも男女でも、やってる事に変わりはなさそうだった。
ゲイとか何とかは区別がつかないが、自分にもそういった要素があるんだろうか……。
- ハ、……馬鹿だな。
こんな所で何を想像してるんだ……。
情けなさにひとり鼻で笑うと、気を取り直してハンドルを握りアクセルを踏んだ。
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