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第64話 治まらぬ興奮
車両の点検を終えて事務所に戻ると、長野さんがオレの机に寄って来る。
「お疲れさま。杉本のおじいちゃん、元気だった?」
「はい、お元気そうでしたよ。まあ、車イスの人を元気と言っていいのかは分かりませんが。」
長野さんに言った後で、オレは席をたつと給湯室へ向かう。
そういえば、喉がカラカラだった。
作りおきのお茶を冷蔵庫から出すと、喉を鳴らしながら飲む。
ゴクゴクと注ぎ込まれる冷たい感触で、なんとか意識を元に戻そうとした。
「どうしたの?凄い勢いでお茶飲んでるねぇ……。」
高木さんに言われ、ハッとする。
まだ、興奮は治まっていなくて。
「ハハ、ちょっと喉が乾いちゃって。そろそろ乾燥の時期ですかね。」
オレは高木さんに向かってわざとらしく言う。そして、この感情をどうすれば収められるのか分からないでいた。
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