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第68話 知り合い?

 シャワーを終えて脱衣所に出ると、ヒヤッとした隙間風が頬にあたり気持ちがいい。 頭の水滴をタオルでざっとふき取ると、そのまま腰にバスタオルを巻き付けて脱衣所を後にした。どうせオレ独りだ。別に部屋までこの格好でもいいだろうと思って廊下を歩く。 「出たァ?風呂空いた?」 廊下の途中で突然ふすまが開いて、中からミクが飛び出してきた。 「ぉわあっっっ!!・・・ビックリしたァ・・」 オレは横飛びするぐらい驚いて、壁に当たりそうになる。 「何?なんでそんなに驚いてんの?」 眉間にシワを寄せながらミクが言ったが、半分呆れ顔だった。 そう言われても、自分一人だと思い込んでたんだ、急に人がふすま開けて出て来たら驚くって!まだ心臓はバクバクいってる。 「てっきり出かけていると思って、誰もいないと思ってたんだよ。マジで心臓とまるかと思った。ずっと居たのか?」 「うん、いたよ。夕方まで知り合いがいたけど、帰ったからさぁ。うたた寝しちゃってた。」 「・・・そ、うか・・・うたた寝、か。・・・風邪ひくぞ。」 「そっちこそ、そんな恰好で廊下歩いてたら風邪ひくって。」 オレの姿をまじまじと見ながらミクは言った。 オレも少しだけ納得すると、手に持ったTシャツをその場で着る。もう体は乾いていたから......。  ミクは、あの男の事を「知り合い」といった。 ・・・てことは、大学の同級生とかではないんだな。だって普通なら友達とか先輩とかいうだろ?! オレは、深く聞いたら悪いと思いそのまま「じゃあ、な。」と言って自分の部屋へと向かう。 「うん、じゃあ入ってくるね。」 「ああ。」 これだけの会話をして互いに別れると、ミクはそのまま風呂場へ入って行くし、オレはふすまを開けて部屋へと入る。 この家は、ほとんどが和室だからふすまだらけだった。 カギなんかをかけるドアは一枚もなさそうで、オレは特に気にしないが、今日の様に隙間からみたくないものまで見えてしまう可能性もあるわけで・・・ ああいう事は密室でしてくれよ。と思うオレだった。

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