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第71話 ドキリと・・
オレの前で、オレの作った飯を旨そうに食べるミク。
うつむいた顔をチラリと見れば、伏せた瞳に掛かる睫毛が揺れている。人の顔をまじまじと見ることがなかったオレだけど、ミクの揺れる睫毛に見惚れてしまった。
- はぁぁぁ・・・・可笑しいぞ、オレ。
目を逸らせて自分の皿を平らげると、流しに持っていく。
「あっ、俺が洗っとくから!食べさせてもらったんだ、洗うぐらいはさせてよ。」
ミクはオレの背中に向かってそう言うと、慌てて自分の皿のスープを飲み干す。
「じゃあ、頼む。」
そう言ってオレが部屋に戻ろうとした時「ちょっと待って。」と呼び止められた。
「後で内田さんの部屋に行くから、まだ寝ないでよ!」
「え?・・・・ああ、分かった。」
首を傾げ乍ら言うと、オレは部屋へと戻って行ったが、内心はドキッとしていた。
今日は、本当に変だ。あんな所を目撃してしまったからなのか、変に意識してしまう。
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