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第74話 赤いツナギ
そう思いつつも、太ももから締まった足首にまで目が行くと、またミクの顔を見た。
「何?」
その時、オレを見たミクと目が合ってしまい、首を傾げたミクが聞いてくる。
「や、・・・なんにも・・・・。朝飯食うなら、サンドイッチあるけど。」
と言って部屋を出ようとする。
「あ、食べる食べる!すぐ行くね。」
ミクはオレの背中に弾んだ声を投げかけて、すぐにシャツを脱いだようだったが、さすがにそこまでは見るのも変だと思い、そのままダイニングルームへと戻って行った。
しばらくすると、TシャツにGパン姿のミクがやってきて、オレのサンドイッチをひとつ摘むと口に入れる。それからブロッコリーを頬張ると満足そうに笑った。
「美味しいねぇ、内田さん本当に器用だよね。残りはお昼に貰ってもいい?」
そういうから「おお、いいけど。他に食べたいものあったら言えよ。簡単なものなら作れるからさ。」と言ってやる。
「うん、ありがと。・・・じゃあ、草刈しようか?!」
「おう、そうだな。」
オレは、昨日のツナギに着替えてから庭に降りて行った。
足元に生い茂る雑草を見たとき、ちょっと大変な事を請け負ってしまったかな、と思ったが、後から来たミクの姿がその思いをかき消してくれる。
赤いツナギに身を包んだ姿は、なんとも言えず可愛かった。
オレの脳裏にさらに濃く焼き付くと、内面を揺さぶられるような感覚が沸き起こってくる。
「さ、始めるか!」
自分に気合を入れると、オレは鎌を持って庭石の周りから草を刈り始めた。
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