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第92話 途方に暮れる
あ、……オレに気を使ってるのか?
そうなら申し訳ないな。と思って、声を掛けようとしたが、その時ユタカが低い声で言った。
「そんなに、俺に裸見られたくない?今までも中途半端な感じでさぁ。なんか、シラケるんだよな。」
「・・・」
ミクの声が聞こえない。
裸を見せないって・・・どういうことだ?
オレは、二人の関係が分からなくなる。付き合ってる訳じゃないのかな・・・。
首をひねってみたが、その時ガタタタッと、襖が振動し、何かが当たる音がしてビックリした。
思わず開いたオレが見たのは、襖にもたれているユタカの姿。
「.....ってぇなぁ・・・」
ユタカは、もたれているわけじゃなくて、ミクに腹を蹴られて転がってきた様だった。腹を抱えて苦しそうに声を出す。
- そういえばオレも腹を蹴られた事があったっけ。
「大丈夫か?」
ユタカに声を掛けると上目ずかいにオレを見たが、すぐさま目を逸らした。
「ミク・・・」と声を掛けたが、オレの顔は見てくれず、「帰れ!!」と言って、ユタカの横を通り過ぎて言った。
「お、おい!・・・おいッ・・・」
残されたユタカとオレは、その場でどうする事も出来ない。
オレは頭を掻きながら、なんだか変な事に巻き込まれたな、と思って途方に暮れた。
- ミクのあんな姿は久しぶりに見たな........。
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