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第93話 どういう関係?

 軽自動車を走らせながら、意識は隣に座るユタカの方へと向いている。 気まずい中、なんとなくユタカを送って行ってやろうと思った俺は、狭い空間で意気消沈したカレを横目で見ながら掛ける言葉を探していた。 「運転、上手いね。……」 ユタカの口からポツリと出た言葉。 カレもオレを意識しているんだろうか。 「有り難う。一応仕事で必要なスキルだし、誉められたら嬉しいよ。」 オレは、前を見ながらも礼を言った。案外素直な所もあるんだなと、ユタカの性格を見直す。 「そう言えば、バイトって服屋のだろ? この前、ミクが急に帰った時に居た?」 ハンドルをきりながら聞く。 「…ああ、いつもの事。ミクはオーナーに気に入られてるし、叔父さんが出資してる店だから自由気ままに働いてるんだ。」 ユタカが腹を擦りながら話すが、オレは何となく分かった。 ―――叔父さん すなわち、隆哉さんはミクの為に出資したんだと。そうすれば、ミクもバイトには困らないし、自分から辞めない限りは、卒業までの小遣い稼ぎになる。 あの人らしいな………。 回りから、アイツをくるむように守ってる。 「……で、ワガママなバイト仲間と付き合ってるんだろ?」 「………、どうして………そう思うの? 普通、男同士で付き合ってるって言わない。」 ユタカはオレの方を向いて言った。 そうだ、オレが見ちゃった事をこいつは知らないんだった。自分で聞いておいてバツが悪い。 「何となく………」 ごまかしてみるが、ユタカがオレの顔を見ているのが分かるとドキドキした。 「まあいいや、家まで送ってくれるから報告しとくよ。俺とミクは別に付き合ってる訳じゃない。」

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