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第96話 背中の傷は...
「ユタカ・・・何か言ってた?俺が脱がない、とかさ。」
「え?・・・イヤ、そんな話はしていない。」
急に言うからビックリしたが、口論している時にそんな言葉を聞いたのは事実。
本当に、脱がないんだ?!と改めて驚く。
「内田さん、エッチする時は全裸になる?」
「ぇえ???・・・や、・・・・えっと、・・・そりゃあな。」と言って、恥ずかしくなる。高校生でもないのに、こんな話・・・
「俺の裸見たの、親以外では隆哉さんと医者と、内田さんだけだよ。」
ミクがオレを見ながら言うが、またまた返答に困る。
「見たでしょ?!俺の背中の傷。・・・あれは母さんがつけたんだ。」
「・・・・・・」
江口さんが話してくれた通りだと思ったが、そんな事は言えない。
「そうなのか・・・」とだけ言うと、空になった食器を集める。
「俺、女の子じゃないから、いらない子だったんだって!!そう言って鞭で打たれてたんだ。」
「は?・・・」声が洩れるように出た。まさか、と思ったが、ウソでも無いようで。
「うちは女が跡を継ぐことになっていて、俺がお腹にいるとき、母さんは女の子だと思ってたらしい。それが男の子だって分かっておかしくなった。変だよね、そんなの。」
オレに同意を求めているのか、ミクの口調がいつになく荒くなっていった。
さっきまでの、可愛い顔が変化してくると、食器を片付けようと持ったオレの腕に縋りつく。
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