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第97話 動揺

ガシャン・・・ 手から滑り落ちた食器が割れ、足元に破片が飛び散った。 「・・・ミ、ク・・・」 危ないので破片を踏まない様にからだを抱えてやると、そのままオレの胸元に顔を埋めてくる。 「・・・・・」 戸惑った。正直、こういうのは苦手だ。自分が何をしてやれるっていうんだ。オレは何もできないし、掛ける言葉も見つからなくて・・・ 「ミク。踏んだら怪我するから、ここを動くなよ。いま雑巾持ってくるから。」 そういうのがやっとで、オレはミクの身体を少し離すと破片を避けて大股で歩いて行った。胸の鼓動がやかましく鳴り響く。雑巾を手にして戻ってみれば、そこにミクの姿は無く、廊下には血の跡が。 「ったく!・・・何やってんだよ!」無性に怒れて言葉が出るが、これは自分に放ったものだった。昔を思い出して不安に駆られたミクを置き去りにして・・・オレは動揺を抑えられない。急いで破片を捨てると、すぐにミクの部屋へと向かった。

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