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第100話 心配で...
翌朝、アラームが鳴る前に目が覚めると、そっとミクの部屋へと入って行った。
昨夜の傷が気になっていたし、踵は力のかかる部分だから下手に動き回ると直りが遅くなる。もし今日学校でも、休んだ方がいいと伝えるつもりだった。どうしても休めなきゃ、時間が早くていいなら大学まで送ってやってもいいと思って....。
ベッドの上のミクは頭から布団を被っていて、前に見たときと同じ格好で寝ていた。
布団から出ている足を覗き込んで見たが、絆創膏に血が滲んで見える。まだ傷が塞がっていないな、と思っているとモゾモゾっとカラダが動いた。
「・・・あ、・・・なに?」
掠れた声で、救急箱を手にしたオレの顔を見ながらミクが聞いてくる。
「うん、踵の傷、どうかなって心配で。・・・あんまり動かさない方がいいな。」
と、ミクの足元を見ながら言った。
「夜中、トイレへ行こうと思って起きたときにおもいっきり踵ついちゃってさ。ものすごく痛かった。」
ミクは自分で足をさすりながら笑った。
いつもの感じで話が出来てホッとするオレ。昨夜の事で気まずくなるのは嫌だし......な。
「今日は休んでろ。それと、踵は絶対につかない様に歩け。」
「えー、そんなの・・・・まあ、講義は出なくてもいいけどさ。病院に行くのは嫌だからね。家で寝てるよ。」
「ああ、出来るだけ足は動かすなよ。」
そう言って、絆創膏を剥し消毒をしてやると、痛いのか両目をギュっと瞑っているミク。
その顔を可愛いと思うオレは、いけないと思いつつもミクの頬に触れたい衝動にかられてしまう。
自分ではどうする事も出来ない感情。
それでも、わからないまま触れてしまうわけにはいかない。
伸ばしそうになる指先をグッと堪えると、血で汚れたシーツを取り換えようと布団をめくった。
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