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第102話 変なんだ、オレ。

「う、内田、.......さん」 しばらくして、ミクが籠った声でオレの名前を呼んだ。 その声でやっと我に返ったオレが顔を上げると、ミクが震えているのが見えた。 枕を抱きかかえて、思い切り顔を埋めているが、その肩は微かに震えている。 「・・・ごめん。オレ、なんか変だな。昨日から変なんだ。」 そういうと、ミクの背中に布団を掛ける。それからゆっくり立ち上がろうとした。 「待って!」 ミクがオレの腕を掴むと、顔を見あげてくる。 その目には憂いが感じられ、オレにも経験がある体の変化を示していた。 「もしかして........感じちゃったのか?」 「う、ん.......。だって、こんな事されたの初めてで.....すごくドキドキした。」 ミクの正直な反応は、オレにとっては何とも言い難い事だったが、それでも拒絶されなかった事に感謝した。 「ごめんな。変な意味はないんだ。ただ、無性に触りたかった。もうしないから.....。」 ミクの手を取ると、オレはそう言って立ち上がった。 そのまま髪の毛をくしゃりと撫でてから、ゆっくり部屋を出る。  廊下を歩きながら、自分が言ったことを振り返ってみた。 無性に触りたくなった。そう言ったけど、誰が聞いたって変な話だ。男に触りたくなるなんて、あり得ない話。 ..........オレはゲイじゃないのに。

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