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第103話 意識し過ぎ。

 その日は、朝食を取らないまま会社へと向かい、途中のコンビニでサンドウィッチを買うと会社の休憩室で食べる事にした。 始業時間まではまだ30分程あって、オレは一人で黙々と食べる。 シンと静まり返った部屋の中にいると、今朝の出来事を思い出しそうになりあわてて口に頬張ったサンドウィッチをお茶で流し込んだ。 もしかしたら、ミクは怒っているかもしれないな。勝手に触っといて、意味は無いなんて言ってしまった。オレは絶対変だ。メチャクチャ意識しすぎている。ミクを今までと同じ様には見れない。どうしたらいいんだ・・・・・ ひとりソワソワしていると、「おはようッス」と言って元気よく長野さんが入って来る。 「あ、おはようございます。」ゴミをかたずけ乍ら挨拶すると、自動販売機に小銭を入れながら「顔色悪いね、寝不足?」と長野さんに聞かれて焦った。 「や、・・・まあ、そんなところですかね。」 いつもの様に、その場をやり過ごそうと思った。ひとりでこんな事考えている自分が恥ずかしいし、長野さんに聞くなんて事は絶対できない。知られたら大げさに吹聴されそうだし・・・。 「内田くん、恋煩いしてるんだろ!なんかオーラの色が変わったみたいだよ。」 「え?オーラって・・・長野さん、そんなの見えるんですか?」 「や、見えないけど、なんとなく内田くんからはそんなものが出てるよ。」 「・・・・・」 全く、いつもの冗談も分からない程、オレは自分を見失っているのか・・・・。 そう思ったらなんだか情けなくなった。20才の男の子に振り回されているみたいで、もっとしっかりしなくては、と思って長野さんの方にお辞儀だけすると、部屋を後にする。

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