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第110話 気配

 しばらくの間、ミクとのすれ違いの生活が続き、またひとり暮らしの生活に戻ったようだった。もちろん、初めからそういうつもりでここに住んではいるが、一旦二人暮らしの感覚を味わうと寂しいような気もする。 土曜日は仕事が休みなので、庭の草取りの続きをしようと思いミクの部屋を覗いてみるが、やはり今夜も帰りが遅いみたいで.....。 - ひょっとして、ユタカと会っているのか? そんな事を考えてみたり、きっとバイトが忙しいんだろうとか思ってみたり.......。 なんとなく落ち着かないオレだった。 どのみちオレはここの管理も任されているんだ。 雑草を取るのも込みで、家賃をタダにしてもらっている。 ひとりでも、しっかり働くとするか・・・ 翌朝、前に用意してもらったツナギに着替えると、庭に出て道具を仕舞ってある小屋に入って行く。 確かこの戸棚にカマとか入っていたな、と思って見てみるが、どこにも見当たらず仕方がないから素手で草を引き抜く事にした。 昼になったらミクも起きてくるだろうから、簡単な昼食を用意しておいたが、12時半を過ぎても一向に起きてくる気配が無い。 オレはおせっかいと思いながらも、ミクの部屋へ行くと「お~い、昼飯イ~。」と言いながら襖を開けた。 「・・・」 しかし、襖の向こうの光景に、オレの足はすくんでしまった。

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