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第112話 関係は・・
「内田さんて器用なんですねぇ・・・」
フォークの先にくるりとパスタを巻き付け乍ら、オレの顔を見て言うのはさっきの男。
ミクの大学の友人らしい。
「千葉、うるさいよ。静かに食べなって!!」
ミクが若干イラつきながら、隣で食べる千葉くんに言うが、あまり気にしてはいなさそうで。
「今まで病気の叔父さんと二人暮らしって言ってたから、ビックリした。こんな健康そうなデッカイ人が目の前にいてさぁ!いつから此処に住んでるんですか?」
「最近だよ。ひと月ぐらいか・・・」
オレが答えれば、千葉くんは口に押し込んだパスタを慌てて呑み込み、
「ああ!そうなんだ?!この家に馴染んでるから、前からいたのかと思いました。・・・ホントはミクの彼氏とか・・・」そこまで言うと、隣のミクを見る。
「・・・ごめん。変な事言っちゃった。」
「別にいいよ。内田さんは俺がゲイって事を知ってる。最初に話したから・・・」
謝る千葉くんに、ミクは顔色一つ変えないで言った。
ユタカといい、この千葉くんといい、あっけらかんとしているなと思った。
今の大学生はどうなってるんだろう。ゲイであるという事は、隠したりしないものなのか?9歳の開きは、時代の変化を大きく感じさせる。
「もしかして千葉くんもゲイ?」
オレは唐突に聞いてしまった。
「いいえ、僕はノーマルですよ。彼女もいますので!じゃなきゃここに泊まったりしません。」
そう言って笑ったが、千葉くんをよそに、ミクはひとり涼しい顔をして食べ終わった食器をかたずけ始める。本当に友達以外の何物でもない様だ。
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