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第123話  流される

 ......ん.......... 膝に乗ったミクは、オレを見降ろすと何度も唇を啄ばむ。 オレは頭がぼんやりして、ミクのしたいようにさせているだけで。 この間のおまじないなんて、かすったぐらいのもんだったが、それさえドキドキしたんだ。こんな風に唇を重ねるのは、付き合っていた彼女とキスして以来。 変な話、この状況では男同士だとか歳が違いすぎるとか、全く考える余地もない。 ただ本能に任せるだけ。快楽というのか、互いに埋まらないものを埋め合う感じだ・・・・。 「ん........はぁ.........」 熱い吐息がミクの口から洩れると、オレの目をじっと覗きこむ。 潤んで熱のこもった瞳は、身体の奥深くから込みあがる欲求を表していた。 「ミ.......ク....」 オレは背中にまわした腕を離すと、ミクの両頬を掴んだ。 「内田、さん.......」 オレがミクの顔を引き寄せると、名前を呼び目を閉じる。 揺れる睫毛を見ながら、こんな時に何をしているんだと、もう一人のオレが騒いでいるが、今はミクの気持ちを受け止める方が勝っていた。流されたっていいじゃないか....。

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