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第135話 この不安は・・
部屋に戻ってスウェットに着替えると、台所に行った。
冷蔵庫から適当に食べられそうなものを取り出すと、簡単に晩御飯を食べる。
「ミクはもう食べたのか?」と大きな声で聞けば、廊下を歩きながら「うん、今日はバイトあがりに食べてきたんだ。」と言う。
ああ、ユタカと食べたんだな・・・。
ユタカは、ミクとは付き合っていないと言っていたけど、身体の関係を持っているのは事実で。
二人が付き合ってしまえば、オレがミクの心の隙間を埋める必要もなくなるのか・・・
そう思うと、少しだけ寂しいような・・・・・
これって、子離れしない親の気持ちなんだろうか?モヤモヤするような、痛い様な.....。
ぼんやりとしながら廊下を歩き浴室へと向かう。
ひゅぅ~~~
湯気で曇った浴室の窓から隙間風の入る音がして、何日ぶりかで湯船につかると耳を澄まして聞いていた。
足を伸ばせば身体の芯が温まり、気分の落ち込みも解消されたような気がする。
それでも、胸に残る一抹の不安の様なものは残っていた。
ユタカとミクの事は、オレが気にする事じゃないしな・・・・・
明子さんの家での事は、今でも鮮明に覚えているが、あの日はお互い変だったんだ。
何かを埋めるみたいに口づけを交わし、淋しさを拭えないミクはあれから夜な夜なオレの布団に入ってくる。でも、オレにしがみついて寝てしまうだけで。
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