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第136話 水滴が・・・

 はぁーーーーっ 湯船の中でため息をひとつついた俺。 「ねえ、内田さん。・・・俺も入っていい?」とミクの声が聞こえてドキリとする。 「あ、・・・ああ、いいけど。」 前にも一緒に入ったことがあって、その日はオレがのぼせてしまって倒れたんだったな。 ガラララツ ドアを開けて入るミクの姿を見て、思わず目を逸らした。 どうしてだろう、前は何にも感じなかったのに、今日は・・・・。 この間の事があるからか、男でも変な目で見えてしまうんだろうか。 シャワーで身体を洗うミクに時折視線を向けるが、やっぱりスッキリしない。 気持ちのどこかでものすごく違和感を覚えるんだ。 「あの、・・・お前は、・・・その、・・・平気なのか?」 「何が?」 浴槽に手を掛けて、足を入れながら聞いてくる。 「いや、ゲイっていうのは、同性の裸を見て興奮するものなのかと・・・」 オレが目を逸らして聞けば、クスッと笑うミク。 「やだなぁ、そんなの人によるし、シチュエーションがあるでしょう?それに、前にも言ったけど、俺は背中を見られたくないの。見せたのは、隆哉さんと内田さんだけだって言ったじゃん。」 笑いながら言うが、その言葉にも引っかかる。 「それって、オレがオヤジ臭いから?安心的な・・・?」 「・・・」 ミクの返事は返ってこない。しばらく黙って考えているようで、オレも黙っていた。 「そんなの・・・分かんない。どうしてだろう・・・」 首を傾げ乍らオレに笑いかけると、ピッタリと腕にすり寄ってきた。 「お、・・・おい。」と焦る。 「実は、・・・内田さんの裸を見て、興奮するって言ったらどうする・・・?」 オレの肩に頭を付けると、今度は間近でオレの目を見る。 ミクの、濡れた髪から滴り落ちる水滴がオレの肩に当たり、忘れていた感情が突然跳ね上がると、胸の鼓動を大きく鳴らした気がした。

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