137 / 153

第137話 溶かされる自制心

 どうしよう・・・・心臓がヤバイぐらいにドキドキ高鳴っている。 こんなに顔が近くて、濡れた瞳で見られると・・・ またあの感触が蘇ってくる。男のわりに、膨らんだ柔らかそうな唇は半分開き気味。 「・・・・・」 何か言葉を発したら、そのまま流されそうな気がしてゴクリと生唾を呑み込む。 「内田さん、キスしてもいい?」 「ぇえ?!」 ミクの方からオレに言って来た。 返事に困っていると、ミクはオレの唇だけに目を落とし近づけてくる。 伏せた瞼に長い睫毛が揺れて、睫毛もしっとり濡れているようで、尚更心臓に悪い。 オレは完全に固まってしまった。 この状況で、手を出す訳にもいかず困ってしまう。 思わず目を閉じると、ふわりとした感触が伝わってしばらくは軽く当たっているだけで。 たったそれだけの事に、オレの全身が震える。 笑ってしまえば冗談で済まされるんだろうか.........。 でも、冗談にはできないくらいミクの唇は熱を含んでいた。 ミクは、歯の隙間を割ってオレの舌をなぞると、自分の舌で絡み取る様にしてくる。 濃厚・・・・という感じのキスは、この間の様にオレの自制心を溶かす。

ともだちにシェアしよう!