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第139話 貫いたのか?

 「ミク・・・・・」 名前を呼ぶ事しかできないオレは、ミクの部屋に入るとベッドに座らされた。 腰掛けたオレの前に跪き、そっと腕を回したミクの手が肩甲骨をなぞる。 ゾクッ、と背中が伸びると、俺自身が反応を始めた。 - おかしい・・・・こんな事・・・・・。 そう思いながらも、目を閉じれば微かにミクの吐息が聞こえてくる。 そのうち、ミクの舌がオレの胸を這い初めて、自分では押し殺せない声が洩れてしまう。 ぁ........ 初めての感覚。気にも留めなかった部分への刺激で、オレの体内からは何か得体のしれない感情が溢れ出す。 執拗に舐められて、ついにオレの手がミクの肩を掴むと、そのまま引き寄せて唇を重ねてしまった。 後は、自分でもよく覚えていない。 脳髄が溶けだすほどの快感と、ミクの辛そうで切ない刺激的な声がオレの耳に響いていただけで........。 * * * * 目を覚ましたのは夜中。辺りは真っ暗で、オレの横には裸のミクが寝ていた。 暗闇にぼんやり浮かぶミクの寝顔を見て、オレの心臓はキュッと痛む。 何か、とんでもない事をしてしまったんじゃないのか..........?  暗闇の中、自分の部屋へ逃げるようにして戻ったオレは、Tシャツと下着を身に着けて布団に潜り込んだ。 頭から布団を被ったが、目を閉じるとミクの声が耳に残っているようで、両手で耳を覆う。オレはこの前のユタカの様に、ミクを貫いたのか。あんな事を・・・・? ミクの誘いに乗ったとしても、してはいけない事をしたような気がして心は晴れない。 ミクを大切に思っているし、アイツが幸せになる事を願いたい。 でも、こんな事は違う様な気がして..........。 ひとりで思いを巡らせていると、段々外が白み始めた。 - はぁーーーっ 立ち上がってカーテンを開き外を眺めるが、雑草の無いスッキリとした庭は心なしか冷たく感じられて、余計にオレの不安を煽った。 - ミク・・・ミクは起きただろうか。 どんな顔をすればいいんだろう。

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