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第140話 自分が恥ずかしい
「おはよう、」
「............おはよう」
ダイニングテーブルについてトーストを食べていると、ミクが起きてきた。
オレは目を見れずに挨拶だけ交わす。
「俺もトースト食べようかな。ヨーグルトあったよね。」と聞かれ、「うん。」と返事だけをした。内心はドキドキしている。ミクに何か言われるんじゃないかと思うと余計に視線を逸らしてしまった。
「...........内田さん。」
黙って食べているオレに向かって明らかに憤りのこもった声で名前を呼ぶと、隣に座った。
手を止めてミクの言葉を待っていると、はあ~~っと大きなため息をつかれる。
「そんな、あからさまに嫌な顔しないでよ。俺が誘ったのが悪かったんなら謝る。」
そう言うと立ち上がって台所へと行った。
「え?ア・・・・イヤ、・・・それは、」と言いかけて言葉に詰まる。
そんなに嫌な顔をしていたんだろうか・・・・
ヨーグルトを手にして戻ってきたミクは、オレの隣に座ると言った。
「俺、裸で抱き合ったの初めてで、凄く緊張した。でも、内田さんには隠すものもないし、なんか・・・・良かったよ。ありがとう。」
そう云うとヨーグルトをすくって口へ運んだ。
「・・・・・」
オレはまだ言葉を探している。
お礼を言われるなんて、思ってもみなくて.......。
「じゃあ、学校行ってきます。今日は一限からだし・・・」
「ああ・・・・。」
何とも気の抜けた返事のオレ。
ミクの後ろ姿を見ると、自分が恥ずかしくなる。アイツはあんなに堂々としているのに、オレばかりがビビっている。
ゲイじゃないのに、同性と関係を持ってしまい、その相手がオレの守ってやりたいと思っているミクで。
いつもの様に車を走らせて会社の机についてもなお、オレの頭の中はグルグルと回っていた。
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