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第141話 頼れる上司
昨日、患者さんの転院に伴って家族が別々になると思ったオレは、昔の親父を思い出し自分の不甲斐無さを悔やんだ。
それが、どこでミクと関係を持つ事になったのか・・・・
オレの様子が変だと言い、湯船につかって楽になれと言われた。
・・・オレはミクになだめられたのか?そう思うと少し滑稽だな。
「内田くん、そんなに書類を覗き込んでると穴が空くよ。」
「え?」
顔をあげると、江口さんが笑ってオレを見ている。
「ああ、すみません。ちょっと考え事を・・・」
手にした紙をバインダーに戻し、もう一度江口さんの方を見る。
いつも落ち着いた対応をしてくれて、仕事では厳しいけど、頭ごなしに怒ったりはしない人。
「お疲れ様です。次の打ち合わせですか?」
「いや、別に用事は無いけどね。たまには部下の日常も見てみないと。」
あはは、と笑いながらオレの背中にポンと手を置いた。それから小さな声で、
「恋の悩みかな?」と聞いてくる。
オレは、思わずハッとなって江口さんを見上げた。
少し口元が緩んでいて、楽しそうだった。
「違います・・・・・いや、そうなのかな・・・・?」
曖昧なオレの言葉を聞くと、江口さんは腕時計を見て「じゃあ、6時に駐車場で待ってて。」と言った。
「え?・・・・・はい。」
江口さんの誘いじゃ断れないもんな。オレは、時計を見ながら仕事をこなすと6時になるのを待つ。
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