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第146話 家族旅行

 シャワーを浴びて部屋へ戻るが、なんとなくさっきの様子が気になってミクの部屋を覗いてみた。襖は開け放たれ、部屋の中で椅子に腰かけるとぼんやりしているミクを見て、「何をしてるんだ?」と聞く。 「・・・ああ、・・・何もしてないよ。ただ・・・・家族の写真を探していたら、あまりにも少ないから寂しくなっただけ。」 そう言うと、椅子をくるりと回転させて背を向ける。 「どうして家族の写真なんか?・・・」 オレが聞くと、「オーナーがこの間家族でパリに行って来たって、写真を見せてくれてさ。そしたらユタカが、自分もおととしオーストラリアへ家族で旅行したっていうんだ。俺、そういうのないから・・・・もしかして赤ん坊の時にでも行っていないか探してたの。」 オレに背を向けたまま話すミクは、凄くしょんぼりとして見えた。 「そんなのオレだってないよ。家族旅行なんか覚えていないなぁ。・・・うちは親父が仕事人間だったから・・・・」 別に慰めで言った訳じゃ無く、本当に行ったことが無かった。 「内田さんの親って、どこにいるの?出身は何処?」 今更ながら、そんなことを聞かれて気が抜けるが、ミクには話しておこうと思った。 「オレの家は川崎にあった。・・・もう今はないけどな。それに、両親は亡くなっているんだよ。・・・14歳の時に母親が病気で死んで、15歳の時・・・・・父親は、自殺した。」 「・・・・・・・・」

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