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第150話 触れたい

「もう一度、オレに背中を見せてくれないか。」 服の上からそっと撫でると、ミクの目を見て言う。 「・・・いいけど、見るだけ?」 ミクが、オレに悪戯な眼差しを向ける。 「・・・見て、触る。」 「ふふっ・・・変なの、・・・・」 オレにそう言いながらベッドに横たわったミクが、来ていたシャツを脱いだ。 うつ伏せになり、背中の傷跡を晒すと腕の隙間からオレを見る。 オレはそっと背中に手を乗せて、指の腹で線をなぞった。 赤紫の跡は、消える事が無いんだろうか。もっと時間が必要なのか。 「コレ、マッサージとかしたら、少しは痕が薄くなるんじゃないかな。」 そう言ってゆっくりと撫でてみる。 「・・・母さんを入院させた後、隆哉さんも同じことを言ったよ。」 「そうか・・・。」 ミクの言葉で、オレの手が止まった。 隆哉さんも、こうやってミクの背中に触れたのか・・・。 そう思ったら余計にオレの手は熱くなり、キズのないところまで手を伸ばすと、手のひらに湿り気を感じるまで続けた。 ............ふ..............ん..............ン............ ミクの背中は、吐息を漏らすたびに揺れ始める。

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