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第2話

「なんか、紅くんが段々調理実習サボってる不良みたいに見えてきた」  最終的にバニラとストロベリーアイスを混ぜてシェイク状にして綺麗に平らげた白は、楽し気にテレビの企画を楽しんでいる。  ……ここ最近、あんまり続けてヤりすぎると白の体に負担があるということに気づいたから、涙を呑んで自制してたんだけど。  白の機嫌が良さそうだし、今日ぐらいいいだろうか。 「不良役はそりゃよくやってたけど、さすがにもう高校生はきついだろ」 「そうかな? いけるよ。この前も似合ってたし」  食べ終わった器とスプーンをテーブルに置いて、ソファーに上がってきた白が俺の前髪を下ろすように髪を乱してくる。  アイドルという仕事上、普通では着ない類の衣装を着ることが多い。白が言っているのはこの前雑誌の企画で、高校生の頃を思い出すためにと着た衣装のことだろう。リアル高校生の頃から一緒にいる分、俺としては違和感しかなかったんだけど、白は違ったらしい。  ほら若い、なんて俺の髪を整えて嬉しそうに笑う白が可愛すぎたから、その手を取って引き寄せキスをした。アイスのおかげで夢のように甘い唇。そのまま首筋へと唇を移すと、冷たい、なんて笑われた。  あ、やばい、可愛い、抱こう。 「紅くん、テレビ見てるよー」 「録画してるんだから後で見ればいいだろ」  ムラッときた気持ちを抑えることなくソファーの上に白の体を倒すと、シャツをめくって冷たい唇で弄んでやる。ピンクの乳首はアイスより甘くてうまそうだ。 「んんっ……髪、昔っぽくてちょっと恥ずかしい」  自分でやったくせに俺の髪型に照れている白。確かに昔はどうせ仕事場でやってもらうからとなんのセットもせずに現場に来ていた。それを言うなら白だってあの頃から無加工で可愛かったけど。 「あー、もっと早く告ってたら、学園ものよろしく学生の時にエロいことできてたんだろうな」  もっと早く、なんて言っていたらキリがないのはわかっている。でも学校で制服エッチは誰もが夢見るものだろう。  実際は違う学校だったし、もしもその時付き合っていたとしたっておよそ無茶な話ではあるんだけど、まあ夢を見るのは自由だ。 「あ、そうだ」  さて、それでは本格的にイチャイチャしましょうかと気合を入れ直したタイミングで、白が声を上げて体を起こした。それから俺の下をすり抜けどこかへ行ってしまう。  ……ここでスカされるのは、俺のタイミングが悪かったのだろうか。  ドラマだったらベッドに誘うシーンは山ほどやっているけれど、リアルとなると経験値がほぼないために未だに予想外の行動を取られると焦ってしまう。  ちゃんとベッドに移れば良かったのか? 強引に引き留めれば良かったのか。それともあんまりがっつきすぎたらカッコ悪いのか。  ファンの子やカメラに向かってならいくらでも甘い誘い文句が吐けるのに、白のこととなると盛大にうろたえている内心を表面に出さないようにするので精いっぱいだ。 「これね、撮影の時もらったんだけど」  そんな俺の逡巡を知ってか知らずか、白はマイペースになにかを持って戻ってきた。大きめの紙袋だ。  これ、と渡されて、中から引っ張り出したものを掲げてみる。 「……制服?」  ワイシャツとネクタイとブレザー。それだけだとサラリーマンっぽいけど、チェックのパンツの感じが明らかに制服だ。というか見覚えがある。それこそ今会話に出ていた撮影の時に着たものだ。  どうやらそれをそのままもらってきたらしい。  衣装で普段着として使えたり気に入ったものがあると買い取りすることはあるけれど、さすがにほぼコスプレ衣装を持って帰ってきているとは思わなかった。むしろもらったという言い方からして自分の意志というよりかは好意かはたまた押し付けかで渡されたのに近いのかもしれない。

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