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第10話 真面目に『ナイショ』なこと。
(あー……やっぱし晴れちゃったよ)
俺はX'masパーティー当日の天気を呪った。
予報通りの冬の晴天。
よりにもよって……叶が『嫌い』な晴れになっちゃった……。
あんまし言いたくないんだけど……叶は公立の中学に通っていた中1、2の途中まで過激な虐めを受けていた。
ワケは『晴れた日は、綺麗な叶が更に綺麗に見えるから』だ。
どーしてそんなこと知ってるかと言うと、虐めを起こしていたリーダーが俺の義弟だったからなワケ。
それから虐めは『問題』になり、叶は私立中学に転校、そして偶然俺が通ってるガッコに進学してきた。
だから……俺は叶に見付からないように……接触しないように…ガッコに通ってた。
地味に…目立たないように。
なのに『雨の日』傘をささないでガッコに登校してたら……叶から接触してきた。
叶に袖元を……掴まれた。
差し出されたのは……折り畳み傘で、その日に差し出された折り畳み傘はまだ俺のクローゼットに入ったままだった。
……返す気はない。
指摘されても『無くしちゃった』って俺は言うつもりだし。
もし、叶が俺の元からいなくなっちゃったら、縋れるものが欲しかった。
我ながら女々しいと思うけど……他に思い付かない。
(叶が俺の目の前からいなくなる日……それ、ひょっとしたら今日かもねぇ……?)
それは、本気で思ってる。
人の『情』ってもんは変わりやすいもんで……親父がそうだったように小雪さんを…俺のオフクロを捨てたように見限られるかも。
『杉原先輩が私を『好き』ではなくなったら私は『死にます』』
そう叶は言って……泣きながら、この俺の『首筋』と『鎖骨』にマーキングをしてくれた。
俺がわざと仕掛けた罠に叶がハマってしてくれたことだけど、泣いちゃうくらい『好き』で、俺が叶を『好き』じゃなくなったら『死んじゃう 』んだってさ。
しかもあんな奥手な叶が体格が違いすぎる俺を押し倒して……キスマークをふたつもつけてくれるなんてさ、一生消えなきゃ良いのにね!!
(俺が叶を『好き』じゃなくなるワケないじゃーん)
でもその言葉は叶にとっては『重い』『想い』らしい。
だから俺は勇気出して渡す、このプレゼント。
あと……叶の身体に吸収されて……の一部になるかもしれない、ケーキ。
約束の時間までかなり時間があるし……DVD早めに見繕っておこっかなー?
俺はちゃっちゃと着替えて、レンタルショップに足を運んだ。
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