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第11話 叶と重なって見えた『ガキ』。

俺が叶の家の洋風な門の近くに来ると寒いのに、門の前で本人が待っていた!! ちょっとちょっと……これはいただけないんじゃないの、このお屋敷……。 家の主が(一応名義はかいちょ…祖父ちゃんらしいけど)、一応ここで一番エライ人が門前で待つとか危ないだろ……と思ったら門の脇で執事が1人いたのでホッとした。 「杉原先輩、何となくサンタクロースみたいですね!!」 その言葉に俺はちょー笑った!! よくガキの頃この時期に小雪さんが口ずさんでる歌みたいだったから。 「……?先輩、なんで笑っているんですか?」 脇に立っている執事も笑いを堪えてんじゃん…!! 「叶はなーんで俺がサンタに見えたの?」 「荷物が多いからです」 分かってんのか分かってないのか……多分後者だよねぇ? 「先輩、荷物私も持ちます」 あ、今のなんか新妻っぽい発言……一緒に将来過ごすことが出来たら……多分こんな感じかなぁ?とか一瞬思ったけど、叶が外で働いて……俺が実家で『茶道師範予定』だから……逆か。 まぁ、夜は俺が攻めまくるけどね?……など妄想してるのはぜっーったい叶は思ってないだろうね。 でも、その前に叶が持つ前に執事が持つのは当たり前なんだけど……叶って頭良いはずなのにどこかズレてるんだよねぇ……。 X'masパーティーは直ぐに始まった。 リビングにはちょー凝ったX'mas仕様になってて、一瞬日本のX'masじゃないよなー……と思ったけど、叶の容姿を思いながら……純粋な日本人じゃなかったなと思った。 叶はDVDとか何が好きかよく分かんなかったから……昔小雪さんとあのレトロな映画館で見たことのある洋楽コメディ映画をチョイスした。 やっぱし叶は知らなかったみたいて食い入るようにハラハラ見ていたけど……最後のシーンで何でか叶は泣いてた。 (……叶の泣き所がイマイチ分かんないんだよね……?) だから俺は聞いてみた。 「……DVDどう?叶ってDVDの趣味分かんないからさ」 「そうですね……あんなに幼いのに家族旅行に置いてかれちゃって……最初は淋しくてどうするのでしょう…とか不安になって」 「うん」 「……泥棒二人が……狙ってて、でも何とか守ろうとして。……家にその泥棒が入ってきて、罠や細工をして…色々足掻いて…もがいて…戦って……」 叶はどーしてか必死になってた。 「うん」 俺は叶が知りたくて……なんかその感想に夢中になってた。 「立ち向かった結果に……泥棒が捕まって……一安心したときに…」 「うん……」 「……家族が帰ってきて……っ」 叶が……泣いてた。 「………うん」 「…困難に…立ち向かう姿勢に……なんか共感してしまったというか……」 そっか……そのガキが自分に重なって見えちゃってたのか。 (………叶はやっぱし『叶』だよ) 純粋な子だよねぇー? 俺が『汚しちゃった』けど。 そんな叶が……愛しくなって、キスしたくなったけど……執事が見てるし叶が気にするよね……? ……慰めるくらいなら大丈夫だろうと…思って抱き締めた。 「ヨシヨシ……良い子だね」 心の中では『……馬鹿な叶』って思ってる。 「……子供扱いしてますよね?」 「叶には……刺激が強すぎる内容だったね?」 「……私も大丈夫です……。あの子には負けますが、困難は乗り越えたいです」 その後俺の力作ケーキを食べて……叶は『美味しいです!!』と言ってくれた。 ……叶ならそう言ってくれると思ってたよ? プレゼント交換で叶はあっさりと俺の『重たい』『想い』を受け取った。 あんなにあっさりと貰ってくれるなんて思わなかったからちょービックリ!! お願いだから……あんまし『いらなくなったら返しますから』なんて言わないでよー!! 俺は叶から……三本の傘をもらったけど、俺は使わないで……そばにいられる限りは今まで通り『叶の傘』の中に入る予定です。 叶にとって『雨の日』は『特別』なように俺にとっても『特別』なんだよ?

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