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chapter2

 兄貴の部屋の前で立ち止まり聞き耳を立てる。  いつもペンを走らせる音や、ダンベルを使ったトレーニングをする息遣い、寝息の聞こえる兄貴の部屋。  でも今日はいつもと違う音が聞こえる。 『兄貴の携帯、鳴ってる?』  そっとドアを開けると、兄貴が寝ていた。  走り込んで鍛え上げられた、兄貴のふくらはぎが見える。  そろりと部屋の中に入って、ベッドで寝ている兄貴に近付く。 『嘘だろ……』  兄貴はパンツすらはいておらず、その鍛え上げられた足の付け根までがさらけ出されて、尻の穴には、エロ画像なんかでよく見る、いわゆるバイブがグネグネと動いたまま刺さっていた。  そのままの姿で、兄貴は眠っている。  無駄な脂肪の無い腹回りには、兄貴が出したであろう精液がもうサラサラの液体になって腰を伝い流れ落ちている。  兄貴は、このバイブを使ってオナニーしながら、途中でイキ疲れて、そのまま寝落ちしたんだろうか。  鮮烈な光景。  そんな言葉は、現代文の授業でしか使わないと思っていた。  もっと近くで、そんな兄貴を見たくてベッドに乗ると、スプリングの軋む音が響いたが、兄貴は起きない。 「なんだよ。こんなバイブなんかで、オナニーしやがって」  俺の兄貴なのに。昔から、兄貴は俺の兄貴だったのに。  こんなおもちゃが兄貴を支配している。  腹が立つ。  兄貴の足を持ち上げて、ゆっくりバイブを引き抜くと、兄貴は小さく喘いだ。  ぽっかりと開いて、ひくひくとしている兄貴の尻の穴にゴクリと喉が鳴る。  ぎゅう、と自分の中心が痛いほど熱いことに気が付いた。  ハーフパンツを下着ごとおろして、ガチガチになった俺のそれを兄貴の穴にそっとあてがう。  兄貴は起きない。ベッドの上に転がっていたローションを自分のちんこにつけ、もう一度兄貴の穴にあてがい腰をすすめた。 「く、っ……はぁ、」  俺のそれが、ずぶりと簡単に半分まで入った兄貴のナカは、あったかくて気持ちいい。  抜いて、入れて。抜いて、入れて。  ローションをつけ足すと、半分までしか入らなかった俺のものが、少しずつ深く、奥へと入っていく。  今、いけないことをしている。  わかっているが、やめられない。  半開きの兄貴の唇に、そっと唇を重ねる。昔、寝ている兄貴にしたキスと同じキスだ。 「兄貴、兄貴……ひろちゃん」  ひろちゃん。兄貴のことを、はじめて会ったあの日からそう呼んでいた。  俺の本当のお母さんが死んで、お母さんのお姉さんの家に連れて来られたあの日から。  やさしい兄貴を、ひろちゃんのことを、好きになるのに時間はかからなかった。  夜さみしくて泣いている俺を、ひろちゃんはいつも抱きしめて一緒に寝てくれた。  ひろちゃんといつも一緒にいて、大きくなってもひろちゃんの部屋で一緒に寝ていた。  いつから、そう呼べなくなったのか。  ああ、そうだ。  俺の高校受験とひろちゃんの大学受験が重なったあの時から、俺がひろちゃんのことを避けてしまったんだ。  ひろちゃんは東京の陸上部から推薦で大学へ行くと、お母さんが言っているのを聞いた。  ひろちゃんが俺の前からいなくなる。  それが信じられなくて、泣いて嫌だと言ったんだ。  ここから東京まで、果てしなく遠いわけじゃない。  でも、ひろちゃんがいる当たり前が無くなることがとても嫌で、俺はひろちゃんに「兄貴なんか嫌いだ」と言ったんだ。  俺はひろちゃんが、大好きで大好きで堪らないのに。  結局、ひろちゃんはスポーツ推薦だと怪我した時大変だからと、推薦は受けずに地元の大学へ進学したけど、あの日からほとんど口を利かなくなってしまった。  ひろちゃんも俺のことを、ともくんとは呼ばず、お前と言う。  優しいままなのに、俺のことをお前と呼ぶひろちゃんに、俺は嫌われたと思った。  久しぶりに触れたひろちゃんは、前より体が引き締まっていて、かっこいい。  それなのに、こんなにエッチなことを、かっこいいひろちゃんがしていることに俺は興奮した。  そして、大好きなひろちゃんと、俺は今セックスをしている。  俺は今、ひろちゃんを犯しているのだ。 「んっ、あ……とも、く」  腰を動かしていると、ひろちゃんが俺の名前を呼んだ。起きたのかとどきりとしたけど、まだひろちゃんは寝ている。  寝言でも、久しぶりに名前を呼ばれて嬉しい。  それだけで、あと少しでイキそうだ。  ゆっくり動かしていた腰を、どんどん早く動かす。 「ん、く……あっ、ひろちゃんっ、ひろちゃん……!」 「んぁ、んっ……あ、んぅ?」  パチリと、ひろちゃんの目が開いた。蕩けたひろちゃんの顔。  そして、ひろちゃんの色素の薄い瞳と目があった。 「お、ま……なっ、え?! ひっああっ!」  ヤバイと思ったけど、もう腰は止まらない。 「兄貴が、悪いんだからなっ! こんな、こんな……っ」  ベッドの上に転がしたままだった、さっきまでひろちゃんの中で動いていた、ねっとりとローションがまとわりついたままのバイブを床に向かって投げ捨てると、嫌な音を立てて乾電池が転がっていった。 「カンペキだと思ってた兄貴が、こんなんで……アナルオナニーするような変態だなんてさ、知らなかったよ」 「お前ちょ、み、るな!」 「もう兄貴んナカに、俺のが入ってんだよ! あー、すっげ。気持ちいい……っ!」  目が覚めたなら、もう遠慮することはない。ぶちゅ、ぐちゅ、とさっきよりももっと腰を激しく打ち付ける。 「ひっ、あっ! お前、抜け! 抜けよ! ひんっ、ああっ!」 「あ? うるせぇよ。あんなバイブでアナニーするような変態の癖に! だまって俺に犯されてろ!」 「ひぁっ、うう~っ! あっ、ああっ! や、やだ!」 「変態。変態……くぅッ!」  どくん、どくんと波打つように、ひろちゃんのナカに精液を吐き出した。  ひろちゃんのちんこは、俺のと入れ替わるように、俺とひろちゃんの腹の間で大きく反り返っている。 「兄貴本当は、こういうこと、誰かにされたかったんだろ?」  まだナカに入れたまま体を起こし、ひろちゃんの硬いそれを握りこんで上下に扱く。 「だから、あんなバイブでオナニーしてたんだろ」  きゅう、とひろちゃんのナカが締まった。 「さ、れた、かった」  ひろちゃんは蕩けた顔で、俺の顔をじっと見ている。この顔は昔、一緒に寝ていた頃、夜中にオナニーしていた時の顔と同じだった。見てはいけないものを見たと思ったけど、それから俺がオナニーするときのおかずはいつもその顔だった。  硬さを失った自分のそれを、ひろちゃんの内壁に擦り付けるように刺激を与えると、俺のそれも簡単に大きくなっていく。 「あ……っ、お前の、すご、おっきぃ」  ひろちゃんが俺の首に腕を回してきた。  嗅ぎなれたはずの、ひろちゃんの匂い。懐かしい匂い。  顔が近い。ひろちゃんの唇に強く唇を押し当てて離す。 「ほら、変態兄貴……。お前じゃなくてさ、俺の名前、呼んでよ」  ぐちゅぐちゅと、ひろちゃんのナカをいったりきたりしながらそうねだる。  ひろちゃんも、俺が兄貴と呼ぶようになってから俺のことをお前と言うようになっていたから、もう2年も俺はひろちゃんに名前を呼ばれていない。 「と、ともくん、ともくん……!」  昔と変わらない優しい声で呼ばれる名前に、胸が苦しくなる。 「ともくんも、お兄ちゃんの、名前呼んで?」  ひろちゃんはそう言って俺に笑いかけてきた。  ひろちゃんは、いつも俺に優しい。  俺はひろちゃんをレイプしているようなものなのに。 「ひ、ろちゃん……ひろちゃん!」 「あっ、ともくん気持ちい。もっと奥、ね、ともくん。もっと、奥に……入れて」  ピストンを繰り返しているひろちゃんのナカは、もう行き止まりみたいになっている。 「ひろちゃん。でももう、ここまでしか入らないよ」  抽送を続けながらそう尋ねると、ひろちゃんはにこりと笑って言った。 「大丈夫、だから……ね、ともくん。もっと奥に、ともくんをちょうだい?」  汗ばんだひろちゃんの顔。  俺はひろちゃんの脚を肩に担ぎあげて、まだ入っていないちんこの、残り4分の1を、ひろちゃんのナカへねじ込んだ。 「んあ゛……! ああっ!」 「ひろちゃっ、大丈夫?!」  咆哮のような声を上げたひろちゃんに慌てて尋ねると、ひろちゃんはシーツを皺くちゃになるまで掴みながら「大丈夫」と言った。 「ほ、本当?」 「うん、ともく、あっ気持ちぃ……ごめんね、ともくん。いやらしいお兄ちゃんでごめんね」  奥からちんこを引き抜こうとするのに、ひろちゃんのナカは吸い付くようになっていて、なかなか抜けない。 「ひろちゃん、くっ、そんな締め付けないで」  やっと少し奥から引きずり出して、また奥めがけて突き入れる。 「あっあっ、ともくん……ひ、もっと、もっど! ずっと、ともくんに犯されたかった! ともくん大好き……だからもっと、もっと、ともくんのおちんちん、ちょうだい?」  いま、ひろちゃんはなんて言った?  悲鳴まじりのひろちゃんの告白と、ダイレクトな快感に軽いパニック状態だ。 「ひろちゃん、んんっ、あ……好き、すご、ひろちゃんのナカ、気持ちいい」  繋がってる部分からは抽送するたびに、先に吐き出していた俺の精液とローションが混ざるような水音と、俺とひろちゃんの汗ばんだ肌がぶつかり合う音。そしてひろちゃんのナカに入り込んだ空気がぷしゅ、っと鳴る音が重なり合って聞こえる。卑猥な三重奏だ。 「ともくん、あ、ダメ、きもちい。イク、先にイッちゃう……!」 「ひろちゃん、イッていいよ。ほら、奥いっぱいあげるから」  何度も何度も、ひろちゃんが気持ちいいと言う奥を突き上げる。 「あっ、ああっ! ともくん、イッちゃう……おにいちゃ、もうダメ、あ、ああっ!」  びゅ、っとひろちゃんの先端から飛び散った精液は、俺の腹とひろちゃんの胸元を汚した。 「あ、ひぅ、ともくん……ごめ、ごめんね。ともくんも、お兄ちゃんのナカで、たくさん気持ちくなって?」  腹筋運動をする時のように、ひろちゃんは自分で脚を胸元まで引き上げて、お尻を上げるようにM字開脚をした。  動きやすい。夢中になって上から下へ押し付けるように抽送を繰り返す。 「ひろちゃん、ひろちゃん、ひろちゃん! 好き。ひろちゃん大好き……っ!」 「あっ、あうっ! ともくん、ともくんっ!」  俺の下で汗と精液にまみれて喘ぐひろちゃんのからだを見ていると、とっさに、ひろちゃんをもっと汚したいと思ってしまった。  あと一瞬でイクと思った俺は、ひろちゃんのぬかるんだナカからちんこを引き抜いて、ひろちゃんの顔めがけて射精する。  どろりと、白い俺の精液がひろちゃんの顔から垂れ落ちた。 「あ……ともくん、すご、たくさん出たねえ」  俺の汚い精液を顔で受け止めたひろちゃんは、優しく笑いかけてきた。

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