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第10話
白衣はまるであつらえたかのように蓮にぴったりだった。
裾の長さも袖の長さもちょうどいい。そして白衣姿の蓮は罪深さの極みと言っていいくらいかっこよかった。
こんなお医者さんがいたら、女性患者で大流行だろうな。
あまりにも似合い過ぎるドクター姿に見惚れていると、蓮がナース服を俺に渡してきた。
「綾人も着て見せて」
「…………」
男としてのプライドがまだツンツンと心を突いていたが、どうせ文化祭の日にはナース姿で大勢の人間の前でさらし者になるのだ。その前に蓮に見てもらいたいと思う。
「……じゃ、ちょっと着替えて来るから。蓮、部屋貸してね」
「ここで着替えればいいだろ」
「やだよ。ナース服ってだけでも恥ずかしいのに、着替えてる姿まで見られるなんて」
俺は早口で言うと、そそくさと二階にある蓮の部屋へと逃げた。
「……蓮ー、なんだかこのナース服、異様に丈が短いんだけど」
泣きそうになりながら、階下にいる蓮に声を掛けると、階段を上って来る音がした。
「ち、ちょっと待って。まだ来ないでよ!」
「だってもう着替え終わったんだろ? 開けろって、綾人」
「わっ」
部屋には鍵がないので、俺はドアが開かれないように必死に抑えていたのだが、力では敵うはずもなく、簡単にドアは開かれ、蓮が部屋の中へと入って来る。
「……うわ……すげ、エロい」
それが蓮の第一声だった。
「ね、ねえ。これ絶対サイズ間違えてるって。だってナース服ってこんなに短くないもん」
パンツが見えるギリギリのラインまでしか丈がないのだ。
「確かに、こんな姿を不特定多数のやつらに見せてたまるか。演劇部のやつらに言って直させる」
「そうだよね。これはあんまりだよね」
蓮が同調してくれたことにホッとして、俺はその淫らすぎるナース服を脱ごうとした。
だが、蓮によって止められる。
「待てよ。勿体ない。直させるのは俺が堪能してから」
白衣姿の蓮が俺の姿を上から下まで舐めるように見つめて来て、恥ずかしさのあまりどうにかなっちゃいそうだ。
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