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第11話
「綾人、俺の風邪がうつったんじゃないか? 顔、真っ赤だけど熱出て来た?」
俺が真っ赤になっているのはそんな理由じゃないことは分かっているくせに、蓮はニヤニヤと端整な顔を緩ませながら近づいて来る。
「診てやるよ。ほら、俺、今医者だし」
「え、遠慮しときますっ。だいいち具合悪いのは蓮の方だろ? まだ本調子じゃないんだから、大人しく寝てなきゃ……」
必死に訴えるも、蓮は完全にお医者さんごっこモードに入っていて。
「ナース姿の綾人に看病してもらうのは、あと。まずは俺がおまえを診察してやるから」
俺はジリジリと後ろへ下がって逃れようとしたが、たかだか六畳の部屋である。
蓮は長い脚で近づいてきて、俺はベッドのすぐ傍まで追い詰められた。
「はい、綾人くん。そこへ座って」
トンと肩を押され、ベッドにどさりと腰かける形となってしまう。
蓮は俺と同じ目線になると、まずは額と額をくっつける。
「うーん。ちょっと熱いかな? やっぱ熱ある?」
「ないってば。熱なんて。それより本当にもう悪ふざけはよして、蓮、安静にしてないと……んぅ」
声が不自然にくぐもる。
蓮の形のいい唇が俺の唇にそっと押し当てられたから。
「んっ……ふ……」
角度を変えて何度もキスされているうちに頭の中がジンとしびれてきて、唇自体が意思を持っているかのように徐々に開いて行く。
「綾人……」
吐息で名前を呼ばれたかと思うと、スルリと蓮の舌が入り込んで来た。
触れ合わせるだけのキスの経験もなかった俺にとって、こんな激しいキスはハードルが高すぎて……。
蓮の体を押し返して逃れようとするが、抵抗する手はいとも簡単に封じ込められる。
「んっ……んう……」
キスは長く続いて、二人の唇が接している場所からくちゅくちゅと淫らな音が聞えて来る。 その音を聞いていると、体の奥深い場所が疼いて来て、下腹部に熱が集まるのを感じる。
「感じちゃった……? 綾人……」
蓮に耳元で囁かれ、こぞばゆさと、ぞくりとする快感が同時にやって来る。
「か、か、感じてなんかない」
「そう? じゃ、もっとよく診る必要があるな」
そう口にすると蓮は俺をベッドに押し倒した。
俺の体の両端に手をつき、蓮がこちらを見下ろしている。
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