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第6話 反撃

瑛太を見送り、寮の自室に戻ると榊原は居なかった 「何だよ責任とらせようって思ったのに…」 やる気満々の康太は、少しトーンダウン シーンとした部屋で、これと言ってやる事もなく、康太はクーラーのリモコンを掴むと、ベットに寝転がりスイッチを入れた 榊原はクーラーを嫌う 暑いのにクーラーを着けてくれない 康太は引き出しの中に入れっぱなしの携帯を取りだし、母親に電話を入れた ワンコールで怒鳴り声が聞こえる 「康太ぁぁっ! お前なんでさっさと電話して来ないんだよ! 電話しても出ないし、拗ねてんじゃねぇぞ!」 電話に出たのは蒼太だった 「あれっ??」 母親の番号だよな?? 携帯を見て番号を確かめる 間違ってない…??? 「なんで蒼兄ぃ?母ちゃんは?」 康太が言うと、低い声が唸るように言った 「僕では役不足だと言いたいんですか?」 …こっ…恐い… 「違うよ…蒼兄、久し振り 皆変わりない??」 「ええ。皆元気ですよ 母さんは今、下請け業者と揉めてるんで、僕が出たんですよ」 「下請け業者と喧嘩かぁ…下請け業者さん…可哀想に…」 「はははっそれより電話して来たって事は瑛兄に逢ったんだな」 「うん。瑛兄来た。夏休み、帰るね」 「お前は…日本に来たばかりの外人ですか?ったく…待ってますよ」 約束して電話を切る やる事ないとつまんなくて、何だか凄く眠くなって、康太はいつの間にか眠りに落ちていた 榊原は、部屋に帰ってくるとシベリア並みの寒さに身震いした 「またクーラーつけっぱしで…」 榊原はクーラーを消すと、窓を開けた 「まったく君は…全然変わってないんですね……」 榊原は康太のベットに腰を下ろし、康太の髪を掻き上げた 柔らかい頬も、サラサラの髪も、長い睫毛も…何もかもが、あの頃のまま いや… あの頃より可愛くなって人気者になっていた 「君が名前で笑ったのが離れるチャンスだったんですけどね…… 君が寮に来るなんて…誰かと同室になるなんて…許せなかった…」 榊原は苦しげに瞼を閉じる 「どうせ…どうせ行くのも地獄、引き返すのも地獄なら、進んでみるしかないか…」 康太の額に接吻けを落とす 「君が側にいるなら…僕は…」 榊原は康太の唇に接吻ける こんなにも愛しい生き物の身代りなんていないのは解りきっていた あれから康太は夕食も取らすに寝てしまったみたいだ 何だかずっと誰かが撫でてくれているみたいで、気持ちが良くて起きたくなかったんだけど… でも、本当に撫でてくれる奴なんていないのになぁ… 榊原を見る ……違うよな 榊原はまだ寝ていた 夜遅くまで勉強してたのかなぁ… 康太は榊原のベットに登って奴に跨がる 「なぁなぁ榊原、榊原ってば…」 榊原は眉間に皺を寄せ唸る 「君はまた僕の寝込みを襲うんですね」 早口で捲し立てられる かなり機嫌悪い? でも康太は構わず榊原を揶揄する 「嫁にもらってくれるんだよな?」 可愛いと言われた笑顔を作る よし。完璧かな ニコニコと笑顔を榊原に向ける ブチッ 何かが切れる音がしたんですけど… 「僕はバカになったら嫁にもらって上げます…って言ったんだけど?」 「嫁ぎ先が決まって良かったって兄貴が言ってた…ぎゃぁぁぁ…」 榊原の上に跨がっていた筈なのに、康太の体は榊原の下に組み敷かれていた 「えっ??何?」 「嫁に来るんですよね? だったら夫婦なら当然の事をする…」 榊原がキスしてきた オレのファーストキスがぁ… 康太は生まれて始めてのキスに抵抗すら出来ないでいた 榊原は舌を絡めて来て、息が出来なかった 「うううっ…」 苦しい 康太は目が回りそうだった 弱った康太を見て榊原は慌ててキスを止めた 「息が出来ない…」 はぁはぁと息を吸いまくる康太に榊原は 「飛鳥井…キスは初めてですか? そうじゃないかと想っていましたが‥‥嘘みたいです…」 …こんなに可愛いのにモテるのに… 誰とも付き合っていないとは… 付き合ってるって噂はないが…まさか…榊原の心に葛藤の嵐が襲う 「初めてで悪かったな!」 康太はすっかり拗ねそっぽを向いた 「ファーストキスを奪った罪は重いですね…解りました 責任を取ります」 榊原は神妙に少し嬉しげに呟く 「し…舌まで入れたんだぞ…息なんて吸える訳ないじゃんかぁ…」 「練習すれば上手くなりますよ、明日から練習しますか?」 クスリと笑っては榊原は言う 「上手くならんで結構だわぃ…揶揄うつもりが、反撃に出られるなんて~もう最悪」 「責任は喜んで取りますよ。 何時でも言って来て下さい。」 「だけど…オレじゃあ勃たないんだろ? 最初に言ってたじゃん…」 そう言うと榊原は、康太を抱き締め、股間を押し付けて来た 「わぁっ…」 榊原の股間は…勃っていた 硬くて熱を持っているのが解る 「さっ…榊原ぁ…」 「僕も一応は健康な高校生ですからね 性欲はあるんですよ ましてや寝込みを襲われれば、寝惚けて勃つ事だってありますよ…」 寝惚けて…ね 康太の瞳が傷ついて翳る 寝ぼけなければ自分なんかに欲情なんかしない…って宣言されたようなものだ 榊原は…キスが上手だった きっと経験豊富なんだろうな そんな男が康太なんて欲しはしない… 康太は下唇を噛み締めた 涙が出そうだったから… 「退けよ」 康太は堪えきれなくなり、不機嫌に言うと、榊原は顔色を変えた 「怒ったのですか? ……だったらすみません」 「重いって…潰れて死ぬぅー」 榊原を押し退ける口実 このままいたらすがり付いてしまうから… あれは…榊原の反撃なんだ そう、自分に言い聞かせた

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