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第7話 気になる

あの夜以降、榊原は康太を避けるように距離を取るようになっていた …誰も本気で責任取ってくれなんて思ってないのに… きっと康太が本気で責任を取ってもらいたがっているって思ったんかな? 部屋に帰っても榊原はいない 消灯間近に帰って来て、机に向かい勉強を始める その背中は康太を拒絶していて…声が掛けられなかった 学校では夏休み前の水泳大会の練習で盛り上がっていた 水泳大会はトーナメント方式になっていて 予選を通過した者が、大会当日優勝をかけて戦う様になっていた 今日は選抜の日なんだけど、康太は体調を崩していた 榊原は学校で時々すれ違っても、一才康太の姿を視界に入れなかった 視界から康太をシャットアウトしているかのようだ 康太はそんな状況にいたたまれずにいた 榊原…前のように話しかけて欲しかった 榊原の一番にはなれないのは、康太が一番良く解っていた 榊原は、生徒会の副部長の清家静流さんと、噂があったのだ 清家は歌舞伎の家に生まれただけあって、日本人形の様な容姿を持っていた 色黒の康太では太刀打ち出来ない そもそも榊原に相手にすらされない自分じゃあ、望みがないのは解っている 蒼兄みたいな美しい男なら良かったのかな… 康太は始めての清家に嫉妬した 遊びでも良いんだ 気紛れでも…榊原が構ってくれるなら… 榊原の事が気になって仕方がなかった 康太は果てしなく広いグランドを悲しい気持ちで…見ていた 榊原は、背中に康太の視線を感じつつも 、声すら掛けられないでいた ああぁっ…あんな事しなきゃ良かった… そしたら、側にはいられた 話は出来たのに… それも時間の問題か… 榊原は苦笑する 限界だったのだ 何もかもが…限界だったのだ はぁぁぁぁっ… 榊原もプールとは反対の広いグランドを眺めため息をついた 「おい!康太!!」 康太は考え事をしていて呼ばれたのに気が付かなかった 四宮はボーッとする康太の背中を思いっきり叩いた 「いでぇぇぇー!」 「お前ボーッとし過ぎ…どうしたんですか?」 「わりぃ夏バテ…で怠いのと、この前言ったと思うが‥‥オレの下着が…乾燥が終わった頃に取りに行くと…無くなってる…… …まだなくならないから…気持ち悪くてさ…寝不足」 「またあったのですか?」 四宮の表情が曇る 「そう、もう持って来た下着ねえかんな… 何なんだろ…もう頭いてぇよ」 「全部で何枚位持って来たんだっけ?」 「母ちゃんが30枚持たせてくれた…洗濯溜めても良いように…」 「30枚も…ご苦労なことですね。」 「うん………後…気のせいかも知れないけど、一人になると、誰かに付けられてる気配がするんだ…… まぁ気のせいだろうけど…気持ち悪くてさ…」 「お前大丈夫ですか…?」 「大丈夫だよ…でも朝礼の時の混雑の時、抱き着いて来た奴とかいて… 気が抜けなくて…もぉオレ…訳わかんねぇよ」 「着いててあげましょうか?」 康太はハッとした顔になる…四宮に不用意な心配をさせてしまったからだ… 「大丈夫だよ。心配させてゴメン」 四宮が気を使うから、わざとおどけてみせる…が体はかなりキツイ 「飛鳥井!次お前の番だぜ」 クラスメートが康太を呼ぶ 「おおっ今行く」 じゃあな…っと四宮に手を振り離れた 「おい、一生…聞いたか?」 四宮は隠れていた一生に声をかける 「かなりヤバイなアイツ…早くケリつけないと、アイツ壊れるな…頃合いだな 丁度、康太のストーカー野郎の証拠写真も揃ったし、仕掛けるか!」 「了解。こっちも準備は整いましたから、何時でもOKですよ。」 四宮と一生は走って行く康太の後ろを気配を消して付きまとう一人の男から目を離さずにいた… 「トラップは上場だぜ!聡一郎」 「後は罠に愚かなストーカーが掛かるのを待つだけですね。」 Гところで榊原は妙に康太の事を避けてなかったか?」 「自爆して距離を…ですかね」 「榊原も煮詰まってたからな…」 「一生…ついでに、くっ付けて恩を売っておきましょうよ♪」 「それ良いな♪聡ちゃん冴えてんじゃん」 二人は眼光鋭く笑った

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