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第9話 戸惑い
三上の一件以来、康太は自分が汚く思えてならなかった
あの嫌悪感と蠢く指の感触が…なくならなくて、トイレで吐くようになっていた
お風呂に何回入ったって、どんだけ石鹸を着けて洗っても
……消えない…あの感触が
何だか気持ち悪い
康太は、ふらふらと歩き出した
食堂横のテラスへと行きだす
外の風に当たろう
そんな康太を眺める影が3つ
「オレ様が日本に帰って来たって言うのに、何であんなに康太の奴は元気がねぇんだよ」
横柄な態度で机に足を乗せ、椅子を揺らしながらボヤく
行儀の良くない行動だが、誰も注意はしない
皆が見て見ぬふり
有名税で媚びる奴は寄って来るが、関わりになりたくない生徒は見てみないフリをする
いや…康太だけは、違った
行儀が悪いと机の足を振り落とし、怒る…
何かにつけて康太は立ち向かって怒っていた
至極マトモな常識をもって、媚を売る事なく言ってのける康太が彼はお気に入りだった
「まぁ康太も色々あったかんなー」
一生が呟くと、机に足を乗せる奴が、笑顔になる
「ダーリン出来たって聞いたから冷やかそうとしたのになぁー…予定が狂った」
彼は一ヶ月近くかけて撮影があり、日本を留守にしていた
「日本に帰ったら康太と遊ぼうと思っていたのに…」
肩を落とす、彼の肩を揉み、四宮は笑った
「まぁまぁ慌てずにさ
それより、学園長の件は助かったよ
学園長が出てくれたから、現行犯であっさり奴を退学に出来たよ」
「この学校には沢山寄付してやってるし、オレ様がこの学園にいるから宣伝効果もあんだし、恩の有るオレ様の命令を聞かなかったら、学園長なんざ消してやんよ」
はははっと笑い飛ばした
物騒な事をサラリと述べるお方は、姓を一条、名を隼人と言う
彼は日本を代表すると言っても過言ではない実力派スーパーモデルをやっいる
彼の人気はモデルの枠で収まる筈もなく、俳優や写真集など出せば完売の人気だった。
先月までハワイで写真集の撮影中で学校は休みだった
「犯り疲れじゃぁないのか?」
隼人が思案する
「まだ犯ってねぇよ
康太の様子がおかしかったから、榊原に聞いてみた
そしたら康太の野郎、榊原さえも避けてやんだよ」
一生が榊原に聞き出した事を言う
四宮が唸る
「ずっとあんな調子で、食事もろくに取らないから、倒れないか…」
桜林の四悪童
飛鳥井康太、緑川一生、四宮聡一郎、一条隼人は、桜林の四悪童と呼ばれて、何かにつけて注目を集める存在だった
う~ん困ったなぁ
三人は頭を抱える
悪事なら尽きる事ないんだけどな…
誰ともなく呟く
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