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第26話 邂逅

翌朝早く康太は榊原と共に、一条の病室に帰って来た 「何処へ行ってきたんだよ」 と拗ねる一条に、康太は朝陽を見に行った……とだけ答えた 朝陽を見に行っただけではないのは、解っていた 「聡一郎、お前ぇの愛した男は今朝生まれ変った オレは見届けて来た もうお前は何も苦しまなくて良い……」 康太は優しい顔で笑った 飛鳥井康太と、言う人間は仲間や身内の為なら全てを懸けてくれるのだ… 榊原はそんな二人を見ていて、一条のベット横のパネルに気が付いた ヒラッと捲って見ると…!!!!! 康太が一条と接吻していた 「康太…これは何なんですか!」 ヤベッ、康太は背中に冷たい汗が流れた 「それは隼人のお仕置き……」 榊原の笑顔がヒクヒク引き吊った こっちは、3週間もお預けなのに… 「一条君が退院したら覚えておきなさい」 怒り狂う榊原に、一生は 「隼人の退院は小鳥遊さんが来るから 旦那、今すぐソレ持ってく?」 一生は、康太を指さし悪人の様に笑って 榊原に許可を出したのだ 康太は勝手に人をドナドナすんじゃねぇ! と、怒ってるが…二人には聞こえない… 「良いのですか?」 榊原が嬉しそうに笑って問い掛けた 一生は鬼が笑ったよ…と、ほくそ笑んだ 「小鳥遊さんが来たら俺らも寮に帰るだけだから、別に康太がいなくても構わねぇ 持ってけよ旦那…ソレを!」 悪魔の囁き…緑川一生 「緑川には常日頃から世話になってばかりで……悪いですね」 「良いって事よ! 俺はソレさえ幸せなら、それで良いんだ」 そう!康太が笑ってるだけで、四悪童は幸せでいられるのだ 榊原は一生と四宮と一条に礼を言うと、ズルズルと康太を引っ張って行った 「煮詰まってたんだな…」 一生が、康太を思って拝んどいた 一条と、四宮も、康太の無事を願った…… うつ伏せにした康太を後ろから犯した もう何度目かの挿入か解らない 「…もッ…無理…」 康太の腰が逃げて行く 榊原を受け入れている部分から性器が抜けそうになった 「康太…逃げないで…」 無理矢理引き戻し深く抉った 「あぁっ…ゃあ…」 康太を病室から拉致って来て近くのシティホテルに入って、直ぐ康太を押し倒した 服を脱がせ、愛撫した時には互いがいかに飢えていたかを知った 一条に着いている3週間、二人は離れ離れだった 互いに触れる事もなく過ごした 触れば…我慢が効かなくなる だけど榊原は…キスも、抱き着く事さえさせてくれず… 後ろから康太を犯し続けた 明かに、伊織は怒ってる 康太が榊原に腕を絡ませてキスをねだるのを…知っているのに… それが一番安心出来るのに 後ろから犯されるのは…嫌だ 「ねっ…伊織に抱き着きたい…」 榊原の体に隙間なく抱かれたい 「もう、一条君にはキスしませんね」 やっぱり嫉妬深い… 「し…なぃ…ねっ…伊織…」 枕に抱き着くのは…嫌なのだ… 榊原は康太の中から白濁に濡れた性器を引き抜くと康太をひっくり返した 足を抱え康太の中へゆっくり腰を進める 康太の腕が榊原に巻き付いた 隙間なく愛する男に密着する だが…愛する男はキスもしてくれない 堪えきれなくなり…口から溢れた 「ねっ…伊織…キスして…」 この日は、まだ接吻はしてない 康太はとうとう泣き出した 「…ぃ…ぉり…意地悪しな…」 「意地悪なのは、康太でしょ? 僕以外の男とキスして…僕が妬かないと思いましたか…」 「ごめん…」 康太は榊原に巻き付きた手を離し、自分の顔を覆った こんな辛い抱き方は嫌だ… だが、お仕置きなら耐えるしかない 康太の体が小刻みに震えた やはり愛する男は折れるしかないのだ 榊原は、康太に接吻した 舌を入れ康太の口腔を犯していく だが康太は応えない キスして欲しいとねだったのに… 「康太…」 「お仕置きなら、好きなだけ抱けよ」 もうねだらないから… 康太は顔を背けた 拗ねた康太は可愛すぎた… 「康太は僕が誰かとキスしたら、妬かない?」 優しく語りかけた 「僕だって妬きます 康太を誰にも盗られたくないから… 僕は康太の体だけ欲しい訳じゃない 康太の全てが欲しいんですよ?」 溢れる涙を止めるかのように、榊原は康太の眦に接吻した 「君を愛し過ぎるが、故の妬きもちです ゆるしなさい……」 康太の瞳が榊原を映した 「嫌われたのかと思った」 「康太を嫌える筈ないでしょ?」 口吻けると康太は榊原の舌を誘い……搦まる 高まる性欲は、互いを高め刺激し合った 中の康太が、榊原のカタチを覚え煽動し締め上げると…… 榊原のペニスは力を滾らせて嵩を増した 蠢く腸壁に完勃ちまで育てられていく… 榊原の全てを覚えた体… 榊原のイイ部分を刺激して堪らなくさせた 榊原も限界が近付いていた 「康太…もう限界です」 康太の中の性器が震えて……熱くなった 康太は榊原に抱き着いた 激しい接吻が送られ体が激しく揺れた 「伊織…伊織…イクっ…」 激しい接吻の後に崩れ落ちのし掛かる……榊原の体躯…… 愛しい男を掻き抱いた この男しか要らない この重み以外は要らない いっそ…一つに交わってしまえば良いのに… 交わえないから欲するのか… 欲するか一つに溶けようとするのか…… 体も心も…細胞も、全てが欲しがり求める 愛なんて言葉ではまだ足らない 互いを縛る束縛を執着と呼ぶなら…それで良い… 風呂に入って寮に帰る頃には日が暮れていた ある日突然、四悪童が、学園から姿を消した 一条隼人の過労と肺炎を併発して入院の報道の後 学園から四悪童は姿を消した 四悪童がいない学園は平穏で静まり返っていた 学園側からしたら平穏無事が、一番望ましい事なのかも知れない 問題児はいない方が良い… だが四悪童は違う…… 生徒の心を掴んで浸透して、そこに根ずいて生えている 一本の大木の様に、生徒を照らす太陽であり影である様にそこに在った 四悪童の消えた学園は静かで、まるで光を失ってしまったかのように… 静まり返っていた 廊下や食堂で 昼休みのグランドで…姿を見れない 笑い声が聞こえない 四悪童の回りは何時も賑やかだ 早く帰って来い… 生徒は願っていた 四悪童がいないと…… 鬼の執行部部長の榊原伊織が、畏怖する程に迫力を増して…生徒は脅えていた その四悪童が帰って来たのだ 寮でその姿を見た生徒は、嬉しさのあまり泣き出していた 校舎で見かけた時は、グランドを歩く四悪童を見ようと、窓には人だかりが出来た 風を切って歩く飛鳥井康太の横には 退院した一条隼人の姿もあり 緑川一生と四宮聡一郎の姿もあった 「お帰り!」 何処からか聞こえる声に、康太は片手を上げて応えた 歓喜の声が飛び交う、そんな様子を見ていた清家静流は、 「やっぱ四悪童の威力は凄いねぇ…伊織」 と最近の学園の活気のなさを思い知った言葉を吐いた 「彼等は、生徒の唯一無二の居場所なんですよ そこにいないと全ての時を止めて色を失う」 「飛鳥井康太は太陽なんだろうね… 皆を照らす光だとボクは……想う 伊織、学園の止まった時間が動き出した」 榊原は何も言わず笑った 東雲聖が、康太の宿題を全てクリアしてたと、榊清四郎から電話が入った日 康太は飛鳥井の家へ電話を入れた 家族全員と、東雲夫妻を自宅の応接間に呼んで下さい!と申し入れた 飛鳥井瑛太は黙って了承してくれた 東雲聖は耐えた 康太の出した宿題を、こなす為に必死で頑張った 生まれてこの方、一度もバイトはした事がない そんな人間が、飛鳥井建設に行き、九頭竜遼一の元で働かされた 遼一は、聖がまともに雑用も出来ないと殴った 親にも殴られた事のない、ボンボンが汗だくで扱き使われて働かされた でも冷静になれば自分の仕事量なんて遼一の仕事を見てれば、足元にも及ばないと気付いた 聖は一度言われた失敗は二度としないように、気を付けた 最終日にはノーミスで遼一に誉められ、ラーメンを奢ってもらってた 労いの言葉を貰って『頑張ったな…』って頭を撫でて貰うと…… 止め処なく涙が溢れた…… 緑川農園では、野菜や果物がどうやって出荷されるか初めて知った 緑川綾香は厳しい人間で、聖に礼儀から始まり色々な事を息子のように教えた 作物は食べてる方は解らないが、手かけ育てないと育たない 緑川綾香は聖に言った 「作物や植木は人の手と、愛情と、水と太陽の光が必要ななのよ どれか1つでも欠けたら、育たない ダメになってしまう 君も自分を育てるのに手を抜いたらダメなのよ 日頃から自分に手間暇かけて育てて行かないとね! 君はまだまだ可能性に満ちているわ 諦めなかったら、そこから始められるわ!」 と、言うエールをもらった 人は諦めなきゃ、そこから始められる… 言葉を胸に刻んだ 最終日に榊清四郎のマネージャーと、言う人が迎えに来て 太秦でエキストラをした ただ歩くだけなのに…注文が出る 人混みに紛れて歩く その他大勢の中の一人なのに… 何がいけないのか考える 時代劇だから、着物の着方が歩くのを狂わせるのか…聖は悩んだ エキストラから外され、ロケを見ていると榊清四郎がやって来た 「何故君は外されたか解るかね?」 清四郎は、聖に問いかけた 最初は康太へ刃を向けた人間を預かるのは気が引けた だけと、康太は言った… 『アイツの瞳はまだ腐っちゃいねぇ… 人はやり直すチャンスが与えられて良い… アイツにもチャンスを与えてやってくれよ そのチャンスを無駄にするなら…… それまでの人間という事だ……』 康太がそう言ったから、聖を預かった 彼は必死だった 必死に着いていこうとするから、目立ってしまう 「君が街を歩くなら、そんな歩き方でも良い だが君は今、何をしに来てるんだ? エキストラの仕事をしに来てるんだろ? だったら、あれではダメだよ」 清四朗はエキストラを指差し言う 「見なさい この中には色んな人がいる 色んな人の中に入れば、人は紛れる 君は紛れないんだよ 勝手に歩いてるだけで周りに合わせない…」 言われてエキストラを見てみた 彼等は一定の距離を取って歩く 主役を引き立たせる様に紛れて歩く 「ただの人混みなら構わない だけど、此処は違う 引き立たせる人間の前に出てはいけない 汚く見えないように距離を取って歩かなければいけない 彼等は勝手に歩いている訳ではないんだよ」 何故康太がエキストラの仕事をさせたか解った気がした 建築の仕事も、農園の仕事も、エキストラの仕事も、沢山の人が1つの物を作っている 勝手な事をしたら、そこで崩壊する それは家族も家庭も友人も恋人も… 総て共通する 聖が生きていく上で欠落していた部分だ 東雲の家の欠落して来た部分だ… 勝手な事を各々していたら、1つの物は出来ない 「聖君、君は学ばねばならない 知らなければいけない 君が成長する上で出来なかった事を悔やむのでなく 出来る事をこれから探せば良い 私もこの年になっても探しているよ もう良い…なんて事は、多分一生ないさ」 清四朗は聖の頭を優しく撫でた エキストラの最終日 その日は年末時代劇スペシヤルドラマの撮影の最終日でもあった 聖は驚愕した 目の前には…自分が刺した男がいたからだ 袴に白い襦袢姿の武将は、聖を見付けると不敵に嗤った 撮影のスタッフに一条隼人は頭を下げた 病気で倒れたせいで、撮影がこんなに押して、本当にすみませんでした…と謝った 一条の撮影は殆ど殆ど終わっていたが、撃たれた君主を追って自決するシーンは終わっていなかった 君主である榊清四郎の撮影は終わっていたが 清四郎は撮影所に姿を現し、スタッフは驚いていた 一条の見舞いに、清四郎は撮影が終わって直ぐ向かったとの情報もあり 一条に対して何も言うスタッフはいなかった 清四郎が見守るなか、一条は真っ白な襦袢姿になり 自決する 白い襦袢が赤く染まり… あの日の一条と重なった 一条は愛する康太の為に盾になった… 目の前の武士は君主を追って自決した… 聖は泣いていた 自分の罪を自覚した こんな人間なのに…救いの手をくれた… 「はい!カット これで総ての撮影終了いたします」 と、言う声がかかると、一条は立ち上がり差し出された花束を手にしていた 「清四郎さん、オレ様も康太んちに着いて行きたいのだ この花束を康太にやろうと想うのだ」 一条はスタッフから渡された花束を手にして 「康太のお祖父様に渡すと喜ばるのだ!」 と、沢山受け取った花束を清四朗に渡した 清四郎は花束をもらい嬉しそうだった 「さぁ帰りますか 飛行機に乗って、夜の8時には康太の家に着けるように帰ります 隼人駐車場にいますから着替えたら駐車場に来て下さい!」 清四朗の言葉に一条は控え室に走った 清四朗と聖は駐車場に向かった 清四朗は何も言わなかった 午後8時過ぎには着くと連絡が入り、康太はその時間に合わせ飛鳥井家へと向かった 飛鳥井家へ行くと応接間へと向かいソファーに榊原と一緒に座った 康太は何も言わなかった 東雲の両親が到着して顔ぶれは揃った 予定の時間より少し早く、清四朗は聖を連れて来てくれた 一条隼人も清四朗と共に飛鳥井へ来た 「隼人、お疲れさん」 康太が笑って出迎えた 一条は康太にやけに派手な花束を渡すと、康太の横に当然の様に座った 清四朗は康太の祖父 源右衛門に、やたら派手な花束を渡した 源右衛門は喜びまくり、あの世のみやげば話が出来るわい…と花束を振り回した 可奈子は康太の前まで行くと、先日の非礼を詫びた 深く頭を下げる可奈子に、康太は手にして花束を渡した 「やんよ! 今日は人形じゃねぇからな!」 と、笑って花束を渡した 「セイ中央に立て! オレに今のお前を見せろ!」 聖は中央に立つと 飛鳥井家の方々、清四朗、そして両親に頭を下げた 東雲夫妻はソファーに座ってそれを見ていた 聖は顔を上げると笑った その顔は悪夢から醒めたかの様に清々しそうで、陽に焼けて一回り逞しくなっていた 「飛鳥井の方々…… 東雲の両親 そして皆さんに本当に迷惑をかけました! 申し訳気持ちで一杯です」 東雲夫妻は、息子の変わり方に瞠目した 「ボクは今まで世間を知りませんでした 少しだけ世間を知った今、もうボクは母さんたちの人形にはならないと、言えるようになった 母さん、貴方は思い通りになる人形をつくった ボクらは何も知らない人形になってしまっていた… 父さんは何時も家族から目を反らし逃げていた もう…そろそら変わりませんか? ボクらは変わらなければいけない」 聖はそう言い、可奈子の側に行った 「お前は母親になるんだから、もっと変わらないといけない 親から逃げる材料に妊娠をしたとしてもだ お前は母親になるんだ もっと変わっていけ 東雲の母のようになるな ボクの二の舞を産むな」 夏奈子は変わった兄を見た この人は変わった もう前の兄ではない 可奈子は頷いた 聖は晴れ晴れと笑うと、姿勢を正した 「飛鳥井康太くん 君はボクの恩人です 堕ちてくボクに手をさしのべてくれた ボクを立ち直らせてくれたのは、君です 君はボクの恩人です」 頭を下げようとする聖を、康太は制止した 「オレはお前の恩人にはなってねぇよ!」 康太は笑った 「セイ、恩人ってのは…… お前が何かを成し遂げた時に浮かぶ人間の事を言うんだ オレを恩人にしたいなら、お前は何かを成し遂げろ!」 「康太くん…」 聖は涙を流した 「もう、大丈夫だな お前はお前の道を行け だが忘れんな お前の人生の影で、一条隼人の血が流れている事を、決して忘れんな!」 「はい!」 「お前が家族を導いてやれ 間違った方に行くなら、お前は命をかけて正してやれ!」 「はい!」 「可奈子、それが飛鳥井のやり方だ 覚えておけ お前は飛鳥井の子供を生むんだかんな 飛鳥井にお前は染まれ!」 可奈子は康太の器の大きさに涙した 応接間には、聖と可奈子と東雲夫妻のすすり泣く声が響いた そんな中で、一条は、退屈していた そんなに康太が子供が欲しいなら、作って来てやるのに… 「康太、安心するのだ お前ら夫婦の子供はオレ様が作ってやるのだ!」 場の空気を読まない一条は楽しげに言った 康太は、仕方がないとばかりに笑った 「じぃちゃん、オレさぁどうやら三人の子持ちになりそうだからさ、そしたら子守り頼むかんな!」 飛鳥井家は言葉を失った 「オレは榊原の子供が産めねぇかんな だから、隼人と一生と、聡一郎が子供をくれるって言ってる アイツ等は嘘はつかない オレは近い将来三人の子持ちになる じぃちゃんそん時は子守り頼むな」 「オレ様が作った一番目の子供は康太にやるのだ 伊織と二人だと老後が淋しいのだ オレ様が作ってくるからな待ってるのだ」 一条は楽しげに康太に寄りかかり甘えた 榊原は、額を押さえた 飛鳥井家は今日も康太がいると大騒ぎだった 飛鳥井源右衛門は、康太の血を分けた子供でなくとも 康太が受け入れた子供なら育てなきゃ…と ほくそ笑んでいたのは気づかれなかった

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