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第30話 修学旅行狂想曲

3年の教室は修学旅行の準備で余念がなかった 修学旅行を高2に行う学校が多いが、桜林は高等部3年で修学旅行に行く事になっていた 受験勉強の息抜きに桜林学園は、中等部も高等部も3年に修学旅行が行われる 中学は沖縄1週間 高校はハワイ1週間 今年の高校3年には…四悪童がいる 教師は頭の痛い所だった 国内ならまだしも…海外で1週間 そこで白羽の矢が、執行部部長 榊原伊織に立てられた 「君達執行部の役員に四悪童の管理を頼みたい! 是非、引き受けてもらえないか?」と学園側から要望があった 勿論、執行部でしてくれないか…と体の良い厄介払いだった だが榊原には、願ったり叶ったりだった 例え修学旅行だって…康太とは離れたくない 3年の執行部は、修学旅行中は四悪童と共に行動する…と話は収まった 緑川一生が一度退寮をしたから、再び入寮した時に執行部の役員を変えた 緑川一生には執行部No.2の 相馬義徳 四宮聡一郎には執行部No.3の 神崎紀 の2人が同室者になった これが裏目に出て拗らせている事はまだ…誰も知る由はなかった 一条にも修学旅行中は楡崎明良が着く事になっていた 団体行動は、問題ないが… 個人行動の時間は…どうするか… 頭の痛い問題も出てくる ホテルの個室は二人一室 寮と変わらないが… 執行部の中でも四悪童を嫌悪する輩はいる 命令と言う式系統で言うことを聞かせようとするが……それも一触即発の状態だった 最近、四宮は部屋へ戻ってないと、同室の神崎から報告を受けていた 緑川一生も、執行部の言うことを聞かないと、相馬は愚痴っていた 四悪童と、修学旅行までに…話し合いを持たないと… 波乱は避けられそうもない… それが現実だった 放課後、四悪童を執行部役員室に呼んだ ズラリ執行部役員が揃う部屋に、堂々と入ってくる四悪童… 飛鳥井康太が真ん中の席に着くと、3人も席に着いた 執行部役員は、此処まで近くで四悪童を目にするのは…初めてだった 「話を始めようぜ!」 飛鳥井康太が不敵に嗤っていた 「修学旅行について、話し合わねばならないと…… 常々考えていました 君達は……僕達が勝手に決めても従わないでしょう…? でしたら、話し合わねばなりません」 榊原は切り出した こっちの言い分も聞けと… 「修学旅行の話しか? それとも四宮や緑川が部屋に戻らない話しか?どっちなんだよ?」 「両方です!」 「ならオレにも言い分は山程あんだよ!」 強い口調で康太は怒っていた 「全て聞きます!全て話して下さい」 「あぁ、話してやんよ!神崎紀!」 康太は突然執行部役員を名指しした 「こいつはな、四宮をレイプしょうとしたんだよ 四悪童は人間以下の低俗な生き物だから、犯しても良いと言う理由でだ!」 康太の言葉に榊原は、衝撃を受けた 「神崎…彼の話は本当なんですか?」 榊原が強い口調で問い質した 神崎は不貞腐れた様に脚を組み、言い放った 「コイツ等の話なんて全部でっち上げですよ部長! 誰が四悪童の言うことなんか信じるんですか?」 「オレ等は人間扱いすらされてねぇ こんな奴に見下される筋合いはねぇ! そして…相馬義徳 お前のIQより緑川一生の方が上だ 一生をバカ呼ばわりするなら、次の試験、一生の上を獲れよ! オレ等はゴミじゃねぇ! 畜生でもねぇんだ! そんな扱いされる部屋に誰が戻る!」 康太が言うと、名指しで名を上げられた役員は青褪めた 「榊原部長!そんな奴等の話なんて嘘です! 聞くつもりはありませんよね?」 相馬は榊原に食い付て抵抗した 「相馬、神崎、君達は執行部の名に泥を塗ってくれましたね 彼等が、口にする時は証拠を掴んでいるんです 証拠もないに彼は口には出さない 口に出して言うからには、証拠を掴んでいるんです」 2人は、驚愕の目を榊原に向けた  証拠……? 「四悪童を甘く見ると、痛いしっぺ返しが返って来ますよ! 君達は執行部に在籍する資格すらなくしてしまいましたね…」 「何言ってるんですか…? そんな奴の言い分を真に受けて、おかしくないですか!」 榊原は、康太の方へ手を出し 「証拠を見せてください」 と告げた 康太は、榊原にスマホを差し出した 「再生を押したら見える ムービーだ 声だけだと、自分じゃないって言うかんな ちゃんとムービーを録っておいた」 榊原は、康太のスマホを再生した 映像には神崎に殴られる四宮がいた 強姦めいた乱暴で四宮を性の対象にした行為が写る 四宮を縛り付け殴り、自分の性器を食わえさせていた 執行部役員は、あまりの惨さに顔を背けた 「こんな扱いされる部屋に戻りたい奴なんていねぇぜ それともオレ等は四悪童だから、こんな目に合っても当然だと…言われるのか…」 神崎は、証拠のムービーがある以上は言い逃れは出来なかった… 「相馬のは次のムービーだ」 榊原は、次ムービーを再生した そこには辛辣な嫌味を言いまくる相馬が写っていた 気に食わないと、一生目掛けて物をぶつけていた こんなクズと同室なんて御免だぜ! 出ていけよクズ!ゴミ! 一生に馬乗りになって首を絞めた 榊原は、あまりの卑怯な遣り方に目を覆った 「傷害罪、強姦未遂、殺人未遂が、裁判でも立証できますね これは学長に見せます!」 榊原は、康太のスマホのデーターを執行部のPCにデーターを落とした 「オレ等は直接理事長に言って退学にする事も出来た だがな、相手は執行部だ 榊原、お前の管轄だよな? だからオレはお前の顔を立ててやったんだよ!」 康太が榊原の出方を伺っていた 「この両名は退学です! 高校3年にもなって退学になる恥さらしを…… 我が執行部は飼っていた事になります 不徳の致す所です」 榊原は、四悪童に頭を下げた 腑に落ちない神崎は叫んだ 「何故! クズをクズ扱いしただけで! 退学にならなければいけないんですか!」……と叫んだ 榊原は立ち上がり、神崎の胸ぐらを掴んだ 「クズ扱いして良い人間など、この世には存在しない! しかも四悪童はクズでもゴミでもない! 卑劣な行動の対象にした君に明日はないと思いなさい!」 榊原が胸ぐらを掴んでいた手を離すと、崩れ落ちた 「榊原、そいつ等は退学になったって他の学校へ行く オレはコイツの息の根を止めてやるつもりだ! 退学とか処分とかは、どうでも良い オレは流すぜ!ネットに! 四宮の顔はボカして、そいつの顔ははっきり解るようにして、流してやる! そしたら、どっちがクズか世間は判断するだろ?」 一番の復讐だった 退学程度で収めておくか! …と言う、執念 ネットに出たら…もう止められない 映像は一生残る 「や…止めてくれ!」 神崎の叫びに、康太は知らん顔をした 「自分のケツは自分で拭けよ! それだけの事を自分でしたんだろ? オレは四悪童に牙を向ける奴がいたら、闘う!それだけだ!」 榊原は、一歩も引かない康太の姿勢に…… 成す術をなくし清家に助けを求めた 「清家……生徒会の協力を仰いで下さい このままでは埒があきません! 僕は身内の処分に手を着けない方が良いでしょうから‥‥」 このままじゃ埒があかないと、生徒会に協力を打診してくれと要請した 清家は執行部室を後にした 暫くして、兵藤貴史が姿を現した 生徒会長自ら、現れるのは異例の事だった その異例を破って兵藤貴史は、やって来たのだ 生徒会の役員を引き連れて… 生徒会役員は兵藤の後ろに直ると 兵藤は、椅子に座った 脚を組み、机に肘を着き不敵に笑う そして誰も見たことのない笑顔で、康太に話しかけた 「何か、楽しそうな事やってるじゃねぇか!康太」 兵藤は敢えて康太と名前で呼んだ 清家は驚きを隠せなかった しかも兵藤会長は、笑っていたのだ 親しげに……生徒会役員も執行部役員も見たことのない笑顔で…… 兵藤貴史は笑っていた 「ちぇっ!貴史が、出て来ちまったよ」 康太も敢えて…貴史と名前で呼んだ 清家が、「申し訳ありませんが、お2人は、お知り合いなんですか?」と、問い質した程だった 兵藤は、清家の質問を笑い飛ばした そして康太を指差し 「こいつの家は建築屋で」 康太も応える 「コイツの家は政治屋で」 兵藤は、笑う 「俺達は、オギャーと生まれた時から」 「友達で、死ぬまで腐れ縁だ!」 兵藤と康太は、拳を合わせ笑った 「そして俺が永遠の愛を捧げた相手だ!」 兵藤は、康太を見詰めて言った 康太は言いやがった…と、反り返って顔を覆った その時にYシャツの隙間からキランと光るピアスが光った 兵藤は、とうとう首輪をつけられたか…と笑った 「康太、俺の首1つ!で、引いてくれねぇか?」 兵藤はこの件を納めるために、自分の首を差し出すと言うのだ 「オレを納める為に、貴史の首1つか… 代価が合わねぇな」 「お前になら命だってくれてやる、覚悟は出来てる」 康太は立ちあがった 「貴史、引いてやんよ お前の経歴に1つの汚点も着けたくねぇんだよ…オレは! 汚点を着けるのが自分自身なら…尚更許せねぇよ! そいつ等の処分は貴史、お前がやれ! 退学なんて逃げ道作るんじゃねぇぞ!」 康太が言い捨てると 兵藤も立ち上がり、騎士が姫君に誓う様なお辞儀をし 「君の望むままに」と甘く答えた 康太は全面的に引いて執行部を後にした 康太が去り、椅子に座ると表情は一編した 厳しい、付け入る隙を与えない…冷たい瞳に…… その場にいた生徒は凍え着いた 「さてと!愛する人からの要望もあったし 君達の処分は逃げ道の統べてない罰にしますかね! 飛鳥井康太を傷付ける者は、兵藤貴史の敵だと思ってくれて構わない!」 兵藤は、あの時言ってやれなかった台詞を言う もう自分のモノにはならないけれど… ずっと笑っていられる手助けくらいはしてやろう… それが兵藤貴史の贖罪だった 「清家、動画を!」 榊原は清家にデーターを落としたPCを渡した 動画を再生して見る兵藤は寡黙だった 何も言わず映像に目を通していた 全てを見終わると、魂まで凍えそうな瞳で、神崎と相馬を見た 「清家、今すぐ掲示板に号令を貼ってこい! この2名を傷害罪と殺人未遂と強姦未遂で執行部から除名!と、皆に知らしめる 今すぐ貼って来い!」 清家は息を飲む…この人は本気で言っているのか…と 「それとも、今すぐ放送室で流すか?」 「本気で御座いますか?」 清家がたしなめた 「神崎も相馬も、執行部の人間 処分は榊原が致します」 兵藤は、笑い飛ばした 「なに?榊原も処分しろと?」 兵藤の言い分に清家は慌てた 「会長!そうは申してはおりません!」 「だったら、今すぐ号令を貼れ!」 清家は、はっ!と承諾し、号令の作成の為執行部を後にした 「さてと!神崎、相馬、お前らの退学は許可しない お前達は、卑劣な事をした人間と蔑まれて卒業しろ」 神崎と相馬は、兵藤の前に土下座をした 「土下座位で許されるなら、康太は此処へ乗り込まない 君達が軽んじた生徒の苦しみを知るが良い」 兵藤は、机を叩いた 「榊原、お前の失態だ」 「申し開きは致しません」 「コイツの処分は俺に託された 異存はないな?」 「…御意!」 榊原は兵藤に頭を下げた 「俺達生徒会や執行部は、特別な人間がやっている訳ではない 生徒の総意だ 解ってない奴は、今すぐ立ち去れ!」 現生徒会長、兵藤貴史が吠えた 「今の桜林は生徒会より執行部より 四悪童を支持する生徒ばかりだ 力で押さえ込んだら…暴動は起きる 生徒は生徒会の言葉など聞かない 執行部の命令など聞かずに走る そう言う事態が起きたら、もう誰にも止められない 飛鳥井康太が本気で動いたら! ………全生徒が敵だ アイツは仲間に刃を向けたら、キッチリ敵は取るぜ そうならない為に、アイツには引いてもらった!」 その場にいる生徒は言葉を無くした 「飛鳥井康太に味方するのは、生徒ばかりじゃない 教師もだ 殆どの教師が、アイツの姿を見掛けると出て来る 昼前の食堂に行ってみろよ 副校長と緑茶を仲良くすすってる 太刀打ち出来る術は…我が生徒会にはない 誰も飛鳥井康太は、止められる者はいない」 号令を作って来た清家が、兵藤に号令を渡した 兵藤は号令を受け取り、全員に見せた 【号令】 右の者 神崎紀、強姦未遂 相馬義徳 殺人未遂  他、傷害罪として両名は生徒会執行部を除名する 被害に合われた、緑川一生様、四宮聡一郎様には大変ご迷惑をお掛け致しました 心よりお詫び致します 我等生徒会、執行部が総力を上げて今後、この様な事がない様に対処する所存です 生徒会会長 兵藤貴史 】 「清家、解ってるじゃんねぇか! 貼って来い!解散!」 兵藤は、執行部に背を向け歩く 生徒会役員が、後に続いた 「榊原、修学旅行の話は新しい執行部で仕切り直せ!良いな」 榊原は深々と頭を下げ、兵藤を見送った 生徒会のいなくなった部屋で、榊原は、床に座っている2人を外に連れて行け!と命令した 寮の部屋をどうするか…悩んだ 「部長、俺は緑川と同室だった 俺が緑川の同室者に戻ります 四宮の同室者は、大人しい幸村玲音が良いでしょう」 榊原に近寄って来たのは、一生の前の同室者、楡崎明良だった 緑川一生と謂う人間を熟知しているからこそ、楡崎は名乗りを上げたのだった 「君が同室者に戻ってくれるのですか? そして幸村君も良いんですか?」 幸村は頷いた 「同室者になると言う事は、修学旅行も行動は共になります 解っていての申し出なのですか?」 楡崎は頷いた 「緑川は、弁えた男です 俺は暮らして来てトラブルはなかった 緑川一生は誰よりも知的で弁えています 一緒にいて苦に思った事など一度もない」 楡崎は、言い切った 幸村も楡崎に続いて口を開いた 「四宮も弁えた男です 四宮の前の同室者と、友達だったから遊びに行きました 大人しい寡黙な人形みたいな男です 自分から危害は加えない そこに飛鳥井康太が加わるから、彼は共にあろうと行動するだけで 飛鳥井も危害さえ加えなければ、最高の人間です 同室者にするには、最適な男です 弁えている分、楽だと言えましょう」 榊原は、2人の登場に感謝した そして何かを覚悟したかのように榊原は、執行部の役員に向き直った そして静かに話し始めた 「四悪童は、我等の敵ではない 彼等は共にあろうとするなら、刃は向けない 此方が刃を向けるから、彼は降りかかる火の粉を祓うんです もし、飛鳥井康太が暴走を始めたら、僕は命をなげうって彼を止めます!」 部長…と、役員が息をもらした 「それが、恋人としての務め! 僕は命に代えて飛鳥井康太を守り通します」 榊原は、恋人と役員の前で堂々と宣言した 「彼は僕のモノです! 彼を貶める人間は、僕を貶めるのと同等だ」 もう隠す必要などないのだ 宣言してしまわないと、兵藤の思い人になってしまう… 執行部役員は状況が見えて来なかった 躊躇する役員に榊原は、 「飛鳥井康太は、僕の恋人です アレは僕のモノです 誰にも渡しはしません!」 と、不敵に笑ったのだ 「今日はこれで解散! 楡崎と幸村は、一緒に来て下さい」 執行部の部室から榊原は出て歩き出した その後ろを楡崎と幸村は追いかけてついて行く 楡崎は、「とうとう、仰ってしまわれましたか…」と溜め息混じりに呟いた 「隠しておくと、盗られます」 榊原は、さらっと言った 榊原の去った後の部室はパニックだろう 「余裕に見えましたが……… 兵藤会長の求愛に所有権の発動をした訳ですね…」 榊原は、何も言わなかった 榊原は、寮に戻るなり、部屋替えを発表した そして一生と四宮を呼び出し、頭を下げた まさか執行部に、あの様な輩がいようとは… 思いもしなかった…と謝った 2人は榊原の所為ではないと…許してくれた 緑川一生には楡崎明良を引き合わせ 四宮聡一郎には幸村玲音を引き合わせた 同居者として、受け入れられるか聞いた 一生は「明良なら気心知れた奴だから、部屋へ戻る」と受け入れた 四宮は「レオ…まさか玲音が…嘘… なんで貴方は同室者になろうなんて早まった事を!」と言い出し、榊原は焦った 榊原は、「嫌なら彼には辞退してもらうが…」と聞いた 「嫌じゃないですが、玲音は僕を口説いている最中なんです こんな女みたいな顔して、僕を抱きたいと康太に言うから…… 康太は大爆笑で、一生はレズやん…の連発ですよ」 四宮が言うと幸村は、嬉しそうな顔をして 「本気の恋をしょうよ聡一郎!」 なんて言い張った 榊原がくらっとしていると 楡崎が爆弾投下した 「一生、執行部室で部長は大胆にも交際宣言をなさいましたよ」 と、ニッコリ笑った 一生は、おぉぉ言ったかぁ!と大爆笑 兵藤の登場じゃあ、言わねぇ訳にはいかねぇわなぁ…と、グサッといたぶった 榊原は、どっと疲れて部屋に戻った 部屋に戻ると、康太が寝ていた ベットに座り、康太の頭を撫でた 康太はその手に擦りよってきた 「起きてたの?」 「寝てた 伊織の匂いで目が醒めた」 「僕は何も知らず、あんな執行部の役員を配置してしまいました……あんな奴だとは…」 「伊織は悪くない 悪いのは伊織の信頼を良いことに、見下したアイツ等だ」 榊原は、康太に抱き着いた 柄になく落ち込んでるみたいで、康太は榊原を抱き締めた 「伊織…落ち込んでる?」 「落ち込んではいませんが…康太の事、執行部の皆にバラして来ました」 えっ…康太は驚きを隠せなかった 「伊織…」 「もっと早くに宣言しとけば良かったです!」 悔しそうに言う榊原に、マジかよ…と康太は焦った 「伊織の立場が…隠してれば良かったのに…」 康太は呟いた 執行部の部長の恋人が…四悪童で良い筈ない 「僕は康太をこの先も隠す気などありません 唯、会長の前に、公表しておくべきだったと、それだけは後悔しています 康太は僕のモノです! 誰にも渡す気は皆無ですから!」 そっちで落ち込んでるのか… 「隠しておけば良かったのに…」 榊原は、嫌です!と言い、康太の服を脱がす 釦を外すと、素肌が露になり乳首には伊織の証が…… 臍には2人で誓ったペアピアスが、光っていた 「伊織…夕飯まだなのに…」 「夕飯の前に康太を食べます」 ペロンッとピアスの着いた乳首を舐めた 「っ…ぅ…ぁ…」 舐められる傷みと快感…が突き抜ける 榊原は、ゆっくり服を脱ぐ 鍛え上げられた肌が露らになり、ヘソにはペアのピアスが光っていた 互いを縛る為の証 舌で、指で、五感全てで互いを弄る 手を握り重なり合い、高みに昇る 2人は、互いを感じ合い…果てるまで求めあった その夜食堂に行くと、榊原が落とした交際宣言は 既に広がっていて、好奇の目で2人を見ていた そんな言葉をお構いなしで、康太は榊原はトレーに夕飯を置き、何時もの席に座った そこには何時もの3人が、座っていた 「広がるのは早いぜ、旦那」 一生が、榊原に声をかける 榊原は、全てを承知しているかの様に笑って何も言わなかった 「いい気なもんだな! 生徒会執行部部長の癖して、四悪童が恋人とは! 落ちたもんだ執行部も!」 と、言う声が何処からともなく飛び交った 榊原はその声のする方を向いて立ち上がった 「緑川、楡崎を呼びなさい!」 一生は食堂を飛び出し、部屋にいた楡崎の腕を掴んで食堂に戻った 「楡崎、君が証人になりなさい!」 「……え?証人??」 いきなり榊原に言われて、何が何だか解らずに……楡崎は戸惑った 「部長…何の証人になれば宜しいんでしょうか?」 まぁ待て…とばかりに榊原は楡崎を制した 「僕は、今日、この時を以て、生徒会執行部、部長を降ります! リコールを為さりたいなら、どうぞ! 明日、執行部を集めて承認を取ります 僕の恋人が飛鳥井康太なのは、事実な以上は我が身を以て制裁を課す! 楡崎、君は僕の宣誓の証人にです 良いですね?」 楡崎は言葉がなかった 「これで宜しいんでしょうか? 3年B組、追川保」 楡崎は、追川と呼ばれた生徒を見た 追川は神崎紀と、同室者だった 同室者の敵を取りたかったのか…それとも腹いせかは、定かではないが… 事態は一気に動き出してしまっていた 榊原は、不敵に嗤っていた 「これで、スッキリしました 明日からはC組で共に学びましょうか?」 康太は頭を抱えた まさか…此処までやるとは思ってもいなかった… 榊原を、甘く見ていた 榊原は、わざと火に油を注いで 炎を煽り爆発させたのだ 業火に巻かれても、榊原は高笑いするだろう 「さぁご飯を食べますよ 隼人、食べないなら僕が食べますよ?」 一条は、顔をふるふる振り、ご飯を食べた 一生は、「俺等は降りかかる火の粉は祓うが、自分から業火の中に入って行くとは…流石だわ」と、感心していた 四宮は、頭を無くした執行部は機能を失う… と、脅えていた 一条は、榊原が苛めるから食事に夢中だ 楡崎は、清家に助けを求めた 「清家さん! 今、部長が執行部の部長を辞任されました 我等はどう対処したら、宜しいんでしょうか…」 清家は楡崎から連絡をもらい 桜林学園一番トップの生徒会長、兵藤貴史に電話を入れた 兵藤は事の顛末を聞いて、嗤い飛ばした 「清家、我等生徒会は関与は一切無用! 執行部の事は執行部でやらせろと、お前が言ったんだろ? 関与は一切はしない! 総て執行部が決めれば良い! 頭をすげ替えるたとしても…… アレ以上の仕事をする奴はいないのは現実だが…… 決めるのは我等生徒会ではない!」 清家は一字一句違わずに、楡崎に伝えた 楡崎は、その足で執行部の役員に連絡を入れ 「明日、放課後執行部部室に集合!」と伝令を出した そして少しの恨み言を言う 「何をお考えなのですか? このままでは執行部は機能を停止します」 「それで停止するなら、それまで 僕はその程度の執行部しか作れなかった それだけの話です」 これ以降、口を開く事はなかった 「中から壊れたら、全てを壊す 作り直すより壊す方が早い…って所か旦那?」 一生が、極悪人の様な顔で嗤った 場所を食堂から一条の部屋に移し、一生か問う 「流石!緑川 意識を変えない限り、腐敗は連鎖します 此処で替える機会なのでしょう 因みに僕は次は執行部に、立候補しません このまま引退です」 榊原のその台詞を四悪童が笑い飛た 「そうは、簡単には行かねぇもんよー 絶対に簡単には幕は下ろせない 榊原が引退するなら、俺も引退するわ…と言いそうな奴がいるかんな!」 康太が呟くと 「いるな! チャスとばかりに、頭を一掃しょう! って台詞を吐きそうだな 校内一掃大作戦だな」 と、一生が続けた 「多分、今頃高笑いしてるんじゃないかな…」 四宮が身震いした 「榊原の顔…怖い…」 一条は康太に抱き着いた 「伊織…隼人を苛めるな…」 榊原は、一条の頬を摘まんだ 「もう旦那は執行部に固執する必要もねぇからな…… 康太に悪い虫がつかない様に監視する その為だけに、執行部って肩書きが欲しかった…だけなんだよな… 手にした今、役に執着なんかはねぇんだよな?旦那」 一生の台詞に榊原は笑った 「風が吹いて来てます この風はどう効果を齎して、去って行くんでしょうかね?」 「風は炎を煽る 焼き尽くすまで炎は燃える 灰になったら…… 後は建てるしかねぇかんな」 康太が言う 建築屋の息子は案外能天気で、確信を突いてくる

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