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第31話 生徒会は大乱闘

翌日の学校は噂が噂は膨張させ、生徒達は混乱しまくっていた その混乱は中等部にまで伝わる程の大騒ぎだった 悠太は榊原の真意を謀りかねていた 幾ら兄を愛していたとしても、執行部部長の職を賭てまで… 男同士の恋愛なんて、世間に公表したら軽蔑され非難される 何故、あの人はそこまでして、兄を陽の当たる場所に置くのだろう… 悠太には理解出来なかった… 当の本人達は我関せず…って、顔して、 風を切って歩く姿は何時もと変わらなかった 放課後 生徒会執行部 部室に榊原はいた 毅然とした態度に、執行部の生徒は気後れしていた 「僕は昨夜執行部部長を、辞任すべく宣言した 楡崎明良が証人です 君達は直ちに次期執行部部長を立てて下さい」 「部長……本気でお辞めになられたんですか?」 役員が榊原に問いかけた 「ええ!僕はもう部長ではありません もう此れで引退です 次の候補に名を連ねる気はありません それが僕のケジメです 途中で頭を失う事となり、本当に申し訳なかったですが、もう決めた事ですので素早く対処をお願いします」 榊原は深々と頭を下げた 「1日も早く体制を整えて、執行部を動かして下さい 今後、四悪童の件に執行部は介入なしで結構です 僕は恋人として、何かあったら総ての責任を取る所存ですので‥‥」 では!…と、榊原は一方的に言って、執行部部室を退席した 部屋に沈黙が広がる 暫くすると突然扉が開き、中に榊原の姿を探した その人物は…兵藤貴史、だった 「どんな話し合いになったんだ?」 大体の予測を付けて聞いてくる 「部長は退任なさったままです 次期の役員に名を連ねる気もないと…」 楡崎が言うと、兵藤は嗤った 「じゃあ、一掃しちまおう! 生徒会も解散する! 執行部も解散だ!」 後ろに控えていた清家が顔面蒼白になった 「ご冗談を!」 「冗談じゃねぇ! 一度壊れてしまわないと、再生出来ないと、榊原が踏んだんなら 後に続いてやるよ! 清家、耳をかっぽじってよく聞けよ!」 兵頭は前置きをしてから 【我等生徒会は、本日解散する! 調停委員を立ち上げて、直ちに新生徒会と新執行部を立ち上げられよ! 以上!解散!】と告げた 兵藤貴史は、止める生徒の声も聞かずに立ち去った 清家は緊急事態を発令した 全てを一時中断させた 「これより、緊急事態で止まった生徒会と執行部をどうするか、話し合いたいと思います!」 各クラスの委員、各部の部長を召集し教師を呼んだ 特別顧問は中等部、佐野春彦 彼は学園の全ての情報を把握している どうやって生徒会と執行部を決めるか…と、言う話になった時、佐野は手を上げた 「良いか?」 と、発言を問うと、清家はどうぞ!とその場を明け渡した 「選挙は、辞めとけ トップの名前はアイツしか出ない アイツは分を弁えているから、必ず表には出ない!」 清家は、あぁ…と納得する 馬鹿馬鹿しくてやってらんない 少し自棄になってボヤく 「生徒会長も執行部部長も、辞める理由はねぇのに! 面倒ばかり作りやがって!!」 清家の言葉に佐野はほくそ笑んだ 「選挙にするなら、名前を出してる奴にだけ、投票させる 違う奴の名前を書いたら無効とかにして、生徒の総意で決めれば良い 全校生徒の総意なら、誰も文句は着けん これこそ兵藤貴史の、一掃大作戦だな!」 「解りました! 3日後、生徒総選挙をやります 記名投票にして生徒に選ばせます 3日間で終わらせてみせましょう!」 清家の壮絶な笑みに、代表は背筋を凍らせた 清家は会議を終えると、寮の榊原の部屋に向かった ドアをノックをしても返答はなく…ノブを回すとドアは開いた… すると、部屋の中から「入れ…」の、榊原に声が… 中に入ると、榊原はベットに座り、膝に康太を横抱きに座らせていた 首に回された淫靡な腕 半分脱げかかった、康太の服の隙間からヘソのピアスが光っていた 「何の用だ清家?」 榊原は、上半身裸だった… ヘソには揃いのピアスが… 何をしょうとしているかは一目瞭然だった 「ちょっと時間を下さい!」 清家が言うと、榊原は膝の康太を下ろし立ち上がった 移動された瞬間に康太の服が脱げ…… 乳首のピアスも露になった 榊原は服を着ると、康太の服の釦も止めた 「何処で話す? 此処でも構わないなら……話してください」 清家は、目眩を覚えた なんと言う執着 榊原の本気を見せ付けられた 本気だから、隠しておけなくなった… だったら! 総てを背負ったまま、表舞台に引きずり出してやるよ! 清家は、心に誓った 「3日後、生徒会役員、執行部役員を決める総選挙をやる! 生徒会長には兵藤貴史も出てもらう 執行部部長には、お前も出てもらう 他の候補者も立てる 生徒に選ばせろと…佐野先生が提案され…各クラスの代表達は賛同し可決した」 清家の言葉に榊原は眉を顰めた 「清家…僕はもう出ないと言った」 「全校生徒の総意でもやらない…と?」 だから清家は、嫌なのだ… 「立候補のスピーチには、飛鳥井康太は僕のモノです! って宣言しても良いなら出てやっても構わないけど?」 そう云えば清家が引くと思って… ひょっとしたら…今の行為も、榊原の計算だとしたら… 「言っても良いが、もう全校生徒は周知の事実として知っている 中等部にも伝わっている 榊原伊織を差し置いて告白する奴なんて、出ては来ないから言うだけ疲れるぞ」 榊原はちえっ…と臍を噛んだ 仕方ないから榊原は 「もう役はやりたくない…… 僕は……康太といます」 そう言い康太に甘え抱き着いた デカい男に抱き付かれて甘えられてるのに、康太は嬉しそうに笑っていた よしよし!と、康太の手が榊原の背中をさする 「己れ榊原、暑苦しい甘え方をするな!」 怒りに任せて蹴った 「清家、僕は康太を日影に置いて隠す位なら…… 執行部にいたくはなかった… 執行部部長の職にある者が、取り締まる人間を愛してしまったら… 公平も正義も守れない…」 その言葉で、榊原の苦悩を知る 「じゃあソレを背負ったまま、出てこれば良い もう公表したんだから、生徒の総意を問え 生徒が飛鳥井康太を愛する榊原伊織でも良いと判断が出たなら それは学園の生徒の総意だ! 役職に戻れ!良いな!」 「生徒の総意なら…」 榊原の言葉をもらって、清家は帰って行った 「康太…鍵閉め忘れ…」 清家は、芝居だと思ったみたいだが…… この2人は本当に服を脱がせ犯る所だった… ノックの後、ノブが回されて…… 開きそうになったから…清家を部屋に入れるしかなかった 「ごめん…パンツ脱いでなくて良かったかんな…」 なんて康太は呑気に言った 本当にこの子は… 榊原は、ドアの鍵を閉めに行った 再び邪魔が入らぬように…… 調停委員は精力的に動いていた 生徒会総選挙を周知に知れ渡らせる為に、まずは総選挙のポスターを早急に作り上げ校内の至る所に貼って回った そして投票用紙の作成 告示してからのスケジュールは緻密に練り上げて進めねばならなかった しかもそれらを3日で仕上げねばならない そしてハードスケジュールの合間を縫って、次期生徒会と執行部の役員の選出のメンバーリストの作成 同じ失態は2度は出来ないから、神経質になる 目が回る位忙しい 生徒が帰った後も清家はリスト作りに余念がなかった 時間がない‥‥ 焦る気持ちを押さえつけ書類に目を通していた その時、机に缶珈琲が然り気無く置かれた 書類から顔を上げると、一条隼人が立っていた こうして改めて見ると、かなりのイケメンだ 康太の横に行くと、唯の手のかかる甘えん坊の末っ子みたいだが… このギャップは何なんだ マジマジと見られて、一条は不貞腐れた 「人をマジマジ見たら失礼だって教わらなかったか!」 偉そうに言う 清家は、笑った 「所で一条隼人!何故此処に?」 「御使い!康太に言われたから持ってきたのだ」 「飛鳥井は今何処?」 「中等部の橋を渡ったのだ 彦ちゃんの所でビーカーの珈琲飲んでる」 御使いを出して、自分の居場所を言わせる ……と言うのは想定内なのだろう だったら向かうのみ 「ボクも中等部の橋を渡します 飛鳥井の場所にボクを連れて行きなさい」 一条は、何も言わす歩き出した 一条隼人が通ると、擦れ違う生徒は必ず振り返って一条を見た だが、この子は目に入らない 忠実で、唯一無二の為にしか動かない人間 中等部の橋を清家静流と、一条隼人が橋を渡って来た……と、騒然となった 中等部執行部部長、飛鳥井悠太が出て来る程に… 「何をしに橋を渡られた?」 清家に悠太は訊ねた 「退け! お前の相手は一分一秒してる暇はないわ! ボクはこれから、飛鳥井康太の場所に行く 邪魔をするならお前も倒す!」 清家の口から兄の名を聞こうとは… 悠太は呆然となる 「兄が来てるんですか…」 「来ているから、ボクは橋を渡った」 「ご一緒して宜しいですか?」 「好きにしろ!」 清家は、一条を促した 一条は、科学室に止まるとドアを開けた 清家はやはりな…と、確信した 飛鳥井康太が科学の佐野春彦と親しいのはリサーチ済みだ だがドアを開けて、驚いた 「よお清家! 隼人はちゃんとお使い出来たかよ?」 人の輪の中央で飛鳥井康太は、清家に手を上げた だが…四悪童以外のメンバーに目を疑った 中等部、科学教師     佐野春彦 教頭 倉科一也 高等部 地理教師     真鍋信也 副校長 桜井重憲 彼等は気難しく生徒と群れないが 情報は屈指の教師で学園の生き字引…と、呼ばれていた そんな人間が勢揃いしていた 「清家、この先生方は清家の為に御呼びした 最高の知恵袋だ これ以上最強は桜林にはいないと断言する」 清家は、康太の意図が解らずにいた… 「執行部の新メンバーで悩んでんだろ だったら彼等に聞けよ この先生方は、生徒を見抜く眼力は一級品だ!」 やっと意図が見えた 清家は、康太を見た 「時間がねぇかんな リストを作成しておいた ソレでも納得がいかねぇなら今聞けよ!」 清家はリストに目を通した そっと康太はその場を離れた 「悠太、どうしたんだよ?」 康太が弟の胸に拳で叩いた なんせ…康太より背が高いから 頭を撫でてやる訳にもいかない 「康兄が橋を渡ったって聞いたから来ました でも…何故こんな事になったのですか? 伊織君は何故そこまでして…康兄を…」 「それりゃオレには解らねぇ 本人に聞けよ 週末だから、今夜家に帰るかんな! 伊織に聞けば良い」 康太は悠太の肩をポンポンと叩くと四悪童のいる場所に戻った モデル張りのイケメンの一条の顔が甘えていた 一生は、全体を見渡して警戒は解かない 四宮は、優しい目で康太を見詰めて笑っていた 絶対の信頼! 絶対の友情! 羨ましい程の絆 人はこの兄と共にいたいと願う 人を惹き付けて離さない 悠太は部屋の外に出た 康太はそれを目で追い、見送る 一生の目が良いのか?と、訪ねた 康太は何も言わす笑った 清家は、与えられた情報に歓喜する 教師に生徒の特徴を聞き、助言を受けリストと照らし合わせた 「これで時間が大分省略出来ます!」と清家は感激して康太に「有り難う!」と感謝の意を述べた 早速取りかかろうと 「先生方助かりました!有り難う御座いました」と集まってくれた先生方に頭を下げ部屋を出て行った 教師らは自分達は珈琲を飲みに来ただけですよ! と、笑い、雑談に花を咲かせた その夜、康太は悠太との約束を守り飛鳥井家に帰った 本当に帰って来た康太に、悠太は焦った この兄を甘く見たら、痛いしっぺ返しが来る 急に帰って来た康太に瑛太が、何かあったのですか?…と訪ねた 康太は今の自分の現状、榊原の現状を話し 悠太に榊原の真意が聞きたいと言われたから帰って来た…と、言った そう言われたり、もう後戻りは出来なかった 悠太は良い機会だから、全部聴いてやろう… と、半分自棄クソで榊原に問う事にした 「伊織君に問おう! 何故、生徒会執行部の部長の職を賭してまで、貴方は真実を述べたのですか? 執行部の頭の貴方が職を賭したら、役員はどうしたら良いか解らなくなる 混乱が起きる 解らない筈はないのに、何故交際発言をしたんですか! わざわざ交際発言などせず付き合う事も出来た筈!無責任すぎる」 悠太は興奮して述べた 榊原は、静かに聞いていた 瑛太には榊原の真意が痛い程解っていた だが、子供の悠太には…解らないだろう…と静観の態度を取った 「交際宣言等せずとも交際の手段はある だが、僕はそれはしたくない 君は、康太に陽の当たる場所に出るな… と言ってるのですか?」 榊原は、静に訪ねた 「………」 悠太は答えなかった 「確かに……僕は執行部部長の身で有りながら、職を賭して康太を選んだ 無責任過ぎると……君の目に写るのは当たり前ですので、言い訳は言いません」 榊原は、悠太の目を真摯な瞳で射抜いた 「康太を愛する気持ちと 執行部部長としての現実とで、苦悩がなかったと言ったら嘘になります… ですが、今回の僕が辞任したのは腐った人間のいる執行部は存続させよりも壊した方が、新執行部の為になると判断したからです」 「壊した方が修正するより早い? 何故、修正する方が早いと思うが…?」 悠太は信じられないと…呟いた 「中に腐った人間がいると、それはみるみるうちに感染する ならいっそ、壊して作り直した方が、新執行部の為になる 時には壊す決断を下せないと、腐敗は広がる」 「伊織君は、頭をなくした役員の気持ちを解っていない… 交際宣言など必要はなかった…」 「頭をなくした位で壊れるなら、それまで その程度の執行部しか、僕は作れなかった…と、言う事です 僕は自分を恥じたりはしない この先も康太を日影に置いて隠す事はしたくない!」 「男同士なんだから、隠しておくのは当たり前なのに… 何故康兄を陽の当たる場所に置いておくのか、意味が解らない 男同士なんて隠しておかないと社会的な制裁を受ける ソレだけ頭が良いのに解らないんですか?」 悠太の顔が皮肉に歪んだ 瑛太が動こうとするのを康太が制した 榊原は、悠太の言葉を一蹴した 「男同士なら誰にも内緒で隠して、生きていかなければならないんですか? 誰が決めたんです? 個人の主観でしょう?」 榊原は一歩も引かない姿勢で悠太を見た 「僕等は、同性です 親や友人に紹介しても、反対される 軽蔑される 他人からは好奇な目で見られる そんな事は百も承知です 今はまだ寮にいるから、隠していればバレない だけど、この先も康太と生きて行こうとすると歪みが出て来る だから僕は自分の親にも、康太のご両親にも、敢えて紹介しました 反対されるのは覚悟の上です 反対された位で別れる気は更々ありません」 榊原は、康太に腕を伸ばした 「僕らは、互いをなくす以上に怖いことはない なくさない為なら何でも出来る 闘って行ける 康太、僕達は当分来ない方が良いのかも知れませんね」 康太は悲しげに目を伏せ頷いた 元々、家族の反対は想定していた 悠太が不快に思っているなら… それはそれで仕方のない事なのだ これが自分達の恋愛には当然の仕打ちなのだろう… 男同士で恋人だなんて気持ち悪い…と、可奈子も言ってた 恥はしない…… 恥はしないが…辛い現実が重く伸し掛かる それでも自分達はもう選んでしまったのだ もう後には引くつもりなどない… 喩え忌み嫌われる存在になったとしても… 「瑛兄、帰るわ 当分オレらは来ねぇよ」 瑛太は、辛い選択をした弟と榊原を抱き締めた 「気にしなくても良い! 伊織君も気にしなくて良い」 「じゃあ!」 康太は瑛太の腕の中の暖かさを振り解き、帰宅の徒に着いた 悠太は止める事すら出来ないでいた 康太を送り出した瑛太が戻って来た 「私達が2人を見守ってやろう…と、決めたんじゃないのか? 飛鳥井で決めた事を何故今更言う? 男同士なのは、あの2人の方が解っている事だ 榊原伊織は私に頭を下げて、こう言った 愛したのは全て自分の所為だから、康太だけは責めないでくれ…と 康太の居場所だけは無くさないで下さい…と この家は康太の居場所だ 何時でもドアは開けていた筈じゃないのか…」 そんなの見てたから知っている 「康兄が好きなのを、執行部に持ち込んで壊した…伊織君が許せなかった 榊原伊織と言う名前は伝説になる位偉大なんだ そんな伊織君が何故、交際宣言をして職を賭したのか…理解出来ない そこまで守らなきゃいけない存在って… 康兄は伊織君の足を引っ張るしか出来ないのに…」 「取り締まる執行部の部長が、取り締まる相手を愛していると宣言するのは…… 致命的だなんて伊織君が一番解っているさ それでも彼は宣言しても康太を全力で守る決意をした 何故家族であるお前が伊織君を非難する? しかも、その辞任は執行部の為でもある ……と、彼は言わなかったか? 壊す決心も必要だと…彼は言った 壊さないと中から腐って行く そんな状況なら私でもそうする」 「瑛兄も…何故? 修復に手立てを見ない? 壊す先を考えない?」 「中が腐っていたら、腐りの連鎖は止まらない 意識改革を優先順位に置かなければ、歪んだ歪な型になる そうならない為に壊す 壊す決断は最期に自分をも裁たなければならない 普通は怖くて避ける… 歪な修正を積み重ね何時か崩壊するまで放っておく 崩壊したら…壊すより大変なのを知っていなければ…壊せないんだぞ、悠太」 瑛太の重き言葉が、悠太の上に伸し掛かる 壊す決断を…どんな想いでした? それを支えたのは…やはり兄なのだ… だから…兄の愛に報いる為に宣言したのだろうか… 瑛太は静にその場を離れた 矯正するのは、容易い だが無理に矯正するより、自分で知れば良い 悠太は、3日後の、高等部総選挙で、榊原伊織の真意を確かめるつもりでいた その日は、高等部への橋を渡って近くで見る… そうすると…見えるのたろうか…姿が… 3日後 総選挙の壇上に、兵藤貴史と榊原伊織の姿があった 悠太は体育館の2階の通路側でそれを見ていた 総指揮を担当するのは清家静流 立候補の演説の後に、投票箱に名前を書いて投票させ 生徒の見てる前で集計を出し 生徒の目の前で当選者を呼び上げる まさに…生徒の総意を表す選挙だった 総て生徒の前で公平にやる 不正など出来ないのを生徒に解らせて 全校生徒の総意だと知らしめる 悠太はこれを3日で成し遂げた、清家の手腕に感化された 生徒は固唾を飲んで見守った 目の前では投票が全て終わり 集計に入っていた 生徒会長、生徒会の役員 執行部部長 執行部の役員 それらが今日、この場で発表される 停滞していた日数は3日 決まれば生徒の総意を受けた彼等が仕事に入る 生徒の総意なんだから、反対する者は出ない ブッ壊し、再生するまでの速さは緻密に計算されており 計算通りに動ける人間を見抜かねば、この様には行かない 榊原伊織が、壊せば 同調して、兵藤貴史も壊すと 踏んでの行動 そして壊れた瞬間に、動ける才媛の存在がなければ…なし得なかった 何処かで、1つでも間違えば 再生どころか、機能すらしなくなるリスクを踏まえているのに… 榊原伊織は、全て計算通りに動くと踏んで… 壊したのだ 中に腐った人間がいると感染するから ブッ壊し、中に新しい風を入れた こんな、壊し方も…あるのだと、悠太は力量を見せ付けられた想いだった 生徒の投票が終わり集計し発表する 生徒会の役員の当選者の名を上げ壇上に上がらせる 執行部の役員の当選者の名も上げ壇上に上がらせた 残すとこ、生徒会長と執行部部長 「では、発表します!執行部部長は…」 清家の声が鳴り響く 「榊原伊織!君です!さぁ出て来て下さい!」 清家の言葉に榊原は、清家を睨んだ 本当に役から手を引くつもりだったのに… 「生徒会は、兵藤貴史 貴方です!出て来て下さい!」 兵藤は、マイクを掴むと生徒に呼び掛けた 「お前ら本当に俺が会長で異論はねぇのかよ?」 兵藤が謂うと【ないよ!】と声が上がった 生徒達は大盛り上がりだった 自分達の手で、選出したのだから… 兵藤は、榊原にマイクを渡した 榊原はマイクを貰うと、兵藤に一礼した 「生徒の総意を無下にはしないが、僕の恋人は飛鳥井康太と知って投票したのだとしたら…… 僕は執行部部長の責務には値しない人間だと思います …本当に異存はないと?」 榊原は、敢えて康太の名を出した そこに悠太がいるのを解っているから… 清家は壇上下の生徒の所まで行って、異存はある方は?と問い掛けた 一人の生徒が清家にマイクを求めた 2年の城田聡、康太に喧嘩を売った彼だった 城田はマイクを掴むと 「執行部部長は、榊原伊織の他にいません!」と、宣言した 「貴方の個人的な恋人に、我等は口を出す権利はない 貴方が職務を遂行する上で、誰が恋人であろうと我等は関知しません! 貴方は胸を張って恋人を自慢すれば良い 我等はそれも榊原伊織と認識して投票しのです! 文句はない筈です! さぁ仕事をしやがれ!」 そう言い、清家にマイクを返した 城田聡は生徒会の役員に今回も選抜されていた 彼の一言で会場は盛り上がった 榊原は微笑みマイクを握った 「我等執行部は、新メンバーで停滞していた分の仕事も挽回すべく邁進して参ります 執行部の今後をしっかりと見届けて下さい!」 と深々と頭を下げた やりやがった… 悠太はそう思った 恋人が飛鳥井康太だと発表した上で、執行部の部長になる 榊原の愛だった 決して康太を卑下させない存在で置いておく キラキラ光る宝石は、陽に当たるからこそ美しい 光を失った宝石は輝かない 榊原は、自分の掌の中で輝かせていたいのだ… 榊原伊織程の男に愛されたら… 悠太は深く目を閉じた 榊原はマイクを兵藤に渡した 兵藤はマイクを受け取り 「新生生徒会は皆の総意を受けこれより活動を再開する! 停滞していた事案はこれより我等が総力を持って取り掛かる事を此処に宣言する!」 宣誓の言葉を口にした 新生生徒会は生徒の総意によって歩み出した瞬間だった 総選挙の後…悠太は中等部の執行部部室に帰り考えていた あのままなら…あの2人は(飛鳥井の家には)もう来ないだろう… 来ないと言ったら、決して姿を現さないのが兄なのだ… 悩む悠太に、執行部の葛西茂樹が声をかけた 康太に殴りかかろうとした生徒だ 「お前の底無しの悩みは何なんだ… 暑苦しいから聞いてやるから話せ」 自分と同じ暑苦しい奴に言われたくなかった…が、昨夜のやり取りを話した すると葛西は「それはお前が悪い」と、一蹴した 「お前は榊原伊織を神聖化して見過ぎているんだよ だから、自分の兄が足を引っ張る…なんて見方しか出来ないんだ…」 図星を刺され悠太は、胸を押さえた あの榊原伊織は凄いのだ 凄い男が…何故兄の為に、人生を棒に振るのか…理解出来ない 「お前が榊原さんを神聖化するよりも 飛鳥井康太を神聖化して見ている生徒の方が多い、事実を知ってるか? 生徒に与える影響は絶大た オレもあの人が好きだ 振り向いてくれるなら、全てを投げ出しても…総てを引き換えにしても良い だが、彼は自分の選んだ人間しか側に置かない あの人と共に過ごせる時間があるなら、共にいようと皆は思う 今、学園を動かしてるのはお前の兄貴だと言っても過言ではない」 友人の苦しい胸の内など知らなかった… 何も見えていなかったのか… 「奇跡の世代と、呼ばれているんだよ あの世代は… 生徒会長 兵藤貴史 副会長 清家静流 執行部部長 榊原伊織 そして、四悪童の飛鳥井康太 彼等の時代に産まれなかったのが悔やまれてならない それ位、お前の兄貴も凄いんだぞ 覚えておけ」 葛西は悠太の肩を叩いた 「飛鳥井康太が本気で動く時、この学園は崩壊する 誰も彼を止められないからだ だから、学園は彼を危惧する 飛鳥井康太が動く所、生徒は群れなすからだ 暴動なんて生易しいものじゃすまない だが、彼は適度にガス抜きをして、執行部の弾圧から生徒を解放する お前の兄貴は、榊原伊織の足は引っ張ってなんかいない 寧ろ助けているのだ 何故気付かない?あの2人は表裏一体 交際宣言でやっと意味が解った」 榊原伊織は言った お前達の時代にはアレはいない…と 「謝った方が良いかな…」 呟く悠太に葛西は、メモを渡した 「高等部寮、107号室」 「これは?」 「寮の部屋番 行くならすぐ行け」 高等部の寮のドアを開けた時、誰もいなかった 廊下を歩くと、107号室のドアの前に立った ノックをすると…………上半身裸の榊原伊織が、ドアを開けてくれた 彼の姿をまじっと見る… 制服の下にそんなのを隠してストイックに立ってらしたんですね… 悠太は冷や汗をかいた ひょっとしてヤバい所に来た? 榊原は、悠太を部屋に促した 部屋に入ると…やはり上半身裸の康太が… そのヘソのはペアなのを知る 康太の乳首に着いてる所有権に、榊原の執着を垣間見た 「伊織、もっと優しくしてくれよ!」 康太が怒る 「優しくしましたよ さぁ次をやりますよ」 その台詞に、目の前で始められたら… 困るんですけど…と焦った 榊原は、絆創膏を持つと、康太の肘にベタッと張って傷口を叩いた 「痛手ぇよ伊織!」 「こんな怪我をしてくる君が悪い」 榊原は意地悪く笑った 不貞腐れた康太は悠太に、何か用か?と、聞いた 「康兄…何してんの?」 悠太は問い掛けた 「一学年下の生徒会役員に後ろから抱き付かれて、バランスを崩して倒れたんだよ」 康太は愚痴る 総選挙の後城田は康太を見つけ、後ろから飛び付き抱き着いた 「康太さん!借りは返しましたよ」 と、城田に微笑まれた 彼は逞しくなった もうただのキラキラじゃない 康太の体を見ると、あっちこっちに擦り傷が… 康太は怪我して服を脱いでるなら… 何故…榊原まで服を脱ぐ必要があるのか… 「伊織は、清家に飛び蹴り食らわされたんだよ ……背中見てみろ」 悠太は榊原の背中を見る… 真ん中に…足跡がくっきり着いていた 恐るべし清家静流… 康太は榊原の背中に湿布を貼った 「何しに来たんだ…悠太」 康太は悠太に声をかけた 「謝りに来ました 俺、昨日康兄に酷いこと言った」 「謝るな悠太 オレ等はお前の言う通り男同士で愛し合っている そして伊織の足も引っ張った 間違っちゃあいねぇ」 悠太は首をふった 「言うべき言葉ではなかった 身勝手に思えたんだ… 伊織君の未練もなく捨てる姿に腹が立った」 康太は笑い飛ばした 「悠太、喩えお前でもオレの前の道を塞ぐなら、オレはお前を薙ぎ倒して通って行く オレはやんぜ 相手が誰でもやる オレの進む前に立ち塞ぐ物があれば倒す 例えお前でもな、オレは容赦しねぇ!」 「康兄…」 「お前にとやかく言われたって、オレの進む果ては決まっている オレはそこへ向かって進む お前にはお前の考えがある それをオレは止めはしねぇ それはお前の思いだ だから謝るな!」 悠太は強固な康太の姿に泣き出した 「康兄…康兄…聞いてよ」 ベットに座る康太の膝に頭を凭れさせ、悠太は泣き出した 康太は弟の頭を撫でた 「悠太は、伊織を完璧な人間に見てるんだよ 伊織は神じゃねぇ人間だ……解ってやれ」 康太が言うと、榊原は解りやすく悠太に話した 「今回は、四宮がレイプ未遂、緑川が殺人未遂の被害に合ってるんです 執行部と言う名の影に隠れ卑劣な人間が2人いたと言う事は…… 卑劣な意識の人間は連鎖します 意識改革を直ちに行い、執行部の役員を入れ変える必要があったのです 僕は次の執行部の選挙には出る気はなかった だから交際宣言したんです…生徒の総意でなければ…」 榊原は残念そうに呟いた もっとちゃんと話を聞いていれば、あの夜、あんな辛辣な言葉を投げ掛ける必要はなかった 「康兄…許して 俺見えてなかったんだ」 「悠太、顔をあげろ」 顔を上げると、優しい何時もの兄の顔があった 「走るなら、決して自分の足元を見失うなお前はそれだけの力量はある 飛鳥井の底力を見せてやれ」 さてと…と、康太は悠太を置き去りに立ち上がった 服を着ると、飯食いに行くもんよー! と行く準備をした 榊原も、湿布を貼ってもらって服を着た 「悠太、飯食いに行くもんよー お前も来い」 笑って康太は、悠太の手を引いた 自分よりかなりデカい弟の手を引き、悠太と食堂に行った 何時もの席には3人が座ってて、珍しい人間の登場に笑ってた 康太は自分の夕飯をトレーで持ってきて座った 榊原は悠太と、自分の分を持ってきて康太の前に座った 「康太、何処に落ちてた?」 一生が揶揄する 「部屋の前に落ちてたのを、伊織が拾って来たんだ」 一生は大爆笑 家に帰ると悠太は瑛太に頭を下げた 康太には謝って来たと…告げた 瑛太は何も言わず、頷いた

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