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第40話 標的

中等部へ乗り込んで行った、翌日の昼前 兵藤貴史は食堂へ足を伸ばした 食堂へ行くと、康太は既に昼を食べていた 康太の横には副校長と、今日は倫理社会の田中竜太郎が座っていた 兵藤が康太の横に座ると、副校長がカウンターの前に行き… 「頼んでおいたのをお願いします」 と言うと、やたら豪華な昼食の乗ったトレーを渡してくれた そのトレーを兵藤の前に置いた 「その昼食は、副校長と買い物に行って買ってくれたのだ おばちゃんに頼んで作って貰ったお前の好物だ! オレの驕りだ!」 どうだ!と、ばかりの…どや顔をしていた 兵藤は、サンキューと言い昼食を見た トレーの上の昼食は、兵藤の好物ばかり 鯵のフライ 味噌汁 沢庵の漬物 プリン 兵藤は、ニカッと笑って豪快に食べ出した 倫理社会の田中教諭が兵藤に、最近の噂を話した 「兵藤、桜林祭の失敗を願う輩の存在を知ってますか?」 兵藤は箸を止め田中を見た 「それは初耳だな…」 「桜林祭のアーチを作ったら夜のうちに崩壊させてやる…とか 桜林祭の当日暴走族を呼んで、バイクで校庭を走る…とか 最近生徒の間で飛び交ってる紙を拾いました」 兵藤鼻で嗤った 「やる事がちぃせぇな でも調べねぇとな ……台無しにされてからじゃあ遅い」 兵藤の前に緑茶が置かれた 兵藤は、それを啜りながら 「出るのを待つか…誘き出して潰すか…迷うな」と呟いた 康太は、「出て来ねぇなら、誘き出すしかねぇな!オレがやんよ!」と志願した 兵藤は眉を顰めた 「康太…おめぇは出てくんな!」 「火の粉が降ってるなら、払ってやんよ」 康太の言葉に、兵藤は唸った それを制止して、田中は 「四悪童はバラバラにして潰す…とも言ってました 今回は危ないかも知れません 一人にはならないようにしなさい!」 心配そうに言った 「誰かの怨みを買いましたね? 心当たりは有りますか?」 と、副校長が聞いてくる 怨みなら…数えきれず買ってる つい最近も、買った その所為で、生徒会も執行部も崩壊した… 兵藤は昼飯を食うと、康太に手出し無用! と、言い置き食堂を後にした 康太も一般の生徒が来る前に、食堂を出て行った 授業を抜け出し四人は 空いた教室に行き昼の話をした 話を聞いて一生は、考え込み… 「まずは…トラップを張りに行くしかねぇかな?」 「四悪童はバラバラにして…って言ってた なら、トラップは張りづらいかもな……」 康太が頭を掻きまくって言った 「四悪童はバラバラ…? どうやってバラバラにするんですか?」 四宮が引っ掛かっている部分を言う それを制して一条が話す 「じゃあ、オレ様が小鳥遊に頼んで 映像を飛ばすタイプの盗聴器を康太の部屋の前と 聡一郎と一生の部屋の前にも着けさせる。 そして、この部屋にはセキュリティガードを潜ませとく?」 と言ってのけた 何時になく冴えてる一条に全員驚いた 「何時、細工をやんだよ?」 「今直ぐにやるように頼む そしてその映像をオレ様の部屋で受信して録画する」 何時になく冴えてる一条の推理に…康太は思い付いた 「隼人お前今探偵とか刑事とか…推理もんのドラマやってんだろ?」 康太が一条の首を絞めると、一条は降参のポーズをした 「今名探偵だから、オレ様!」 三人はこりゃ使えるな!と、目を輝かせた 「隼人、小鳥遊さんに連絡しろ」 一条は、携帯を取り出し小鳥遊に電話を入れた 小鳥遊は直ぐに動くと約束してくれた そして一条の身が危ないと言うと、セキュリティガードを部屋に直ぐに派遣させてくれた 「なぁ一生、暴走族ってのが解せないんだよな…… 何処の暴走族なんか想像つくか?」 康太の質問に、今度は一生が頭を掻きまくった 「うちに喧嘩売る暴走族は、いねぇよ」 殆んどの暴走族は、康太達が罠を張り陥れて壊滅させたから… 殲滅か、友好か、選ばせ友好を結ばないのは、潰した 正面から抗争するばかりが闘いではない 頭脳を駆使し、人を動かし潰す的確にトドメを刺す 単純な人間程、心理作戦の陽動に弱く仲間割れ…とかさせ潰して来た ひょっとして…四悪童はバラバラ…って? バラバラにして引き離す揺動作戦なのだろうか…? だとしたら、潰れた者と利害が一致した者との仕業か… 康太は立ち上がった 立ち上がり「湘南に行く!」と告げた 湘南には、友好を築いた暴走族がいる 「でも今動くと狙われてるぞ?」 一生が康太を座らせ、用心深く注意した 「だけど…他に方法がないもんよー」 康太が不貞腐れた 「康太、僕達は一度消えましょうか? このまま構内にいてもつけられたり 一人になった瞬間に襲われます…」 四宮の言葉に、康太は納得した 消える事を榊原と兵藤にメールして、康太は立ち上がった 「隼人、お前は此処にセキュリティガードを呼べ! お前を守ってくれる奴が来たら、オレ等は尾行を巻く 隼人も、セキュリティガードに尾行を巻かせたら ランドマーク横の三日月のホテルに部屋を取る! だから、そこに来い! 一生、そのホテルに城之内を呼べ!」 一条は納得した 足手まといになって捕まったら…大変だ 暫くすると、セキュリティガードが到着して一条を護って部屋を出た セキュリティガードはプロだ 万が一襲われても対処してくれる 康太達は、一声に部屋を飛び出し 四方八方に散らばり駆け出した 後を着ける奴が一瞬躊躇う その一瞬の隙を突いて 康太達はバラバラに走って散らばった 後を着ける方は、咄嗟の事で判断が鈍り…… どっちへ行って良いか迷う その迷いに乗じて、四悪童はバラバラになり…消えて行った 三人は、上手く校内を脱出した バラバラになっても 目的地は決めてあるから そこへ行けば良いのだ 康太は飛鳥井建設の、会社に向かっていた 会社のビルの自動扉が開くと、中へ入って受付嬢に声をかけた 康太の姿を見ると受付嬢は、立ち上がり康太を待った 「親父いる?」 康太の台詞に、受付嬢は 「今日は瑛太さんではないのですね?」と、声をかけた 「オレの用で瑛兄ばかりは使えないでしょう?」 受付嬢は、飛鳥井清隆に連絡を入れた 父は康太の訪問に直ぐに来るように!と、受付嬢に告げた 「どうぞ!お待ちなさってますよ」 受付嬢の言葉に、康太は片手を上げて答えてエレベーターに乗った 社長室のドアをノックすると、中から父 清隆が出て来た 「康太、どうしたんですか?」 嬉しそうに康太に話しかけ、部屋の中に連れて入った 瑛太も甘いが…清隆も康太を溺愛していた 「父ちゃん、三日月のホテルに部屋を取ってくれ オレ今……狙われてるから 学校に帰ったら、どうなるか解らねぇんだよ!」 清隆は、目眩を覚えた どうなるか解らねぇんだよ…って‥‥ それは狙われたら…康太達が…どうかなるか解らない…と、言う事なのだろう 父親は身震いした 「康太…何をやったんだ?」 「今回はまぢ解らねぇんだよ 昼飯を食ってたら話が物騒な方に行って、後はみるみるうちに追われてバラバラにされて襲われそうになったんだよ 誰が何の目的で行動を起こしてるか見えて来ねぇからな行方を眩まして逃げて来たんだよ」 聞いてるとかなり物騒な事を言っていて、清隆は青褪めた… もうそんな危ない場所には行くな…… とは、口に出せない清隆だった 「で、父に何をしてもらいたい? 瑛太の所でなく、父の所へ来た真意は?」 康太は父を見上げた 「真意は、瑛兄ばかりに手を焼かせるのは、心苦しい……ってのもあるが、父ちゃんに逢いに来たのもある」 「瑛太は、お前の為なら動くのは惜しまない…何故心苦しい?」 「オレは巻き込む 瑛兄はオレを守る…… その為に、負うリスクは計り知れねぇ」 「それは承知で、アレは動いているんだ! 下手な気を遣う方が心配されると私は想いますよ」 「父ちゃん…それで夜遅くまで仕事して…瑛兄が大変になるのは‥‥嫌なんだよ」 清隆は康太を膝の上に乗せ抱き締めた 「ホテルに部屋取るなら飛鳥井の名ではない方が良いな 秘書に部屋を取らさせよう」 「すまねぇ…父ちゃん」 清隆は、康太の頭を撫でた 蕀の道を敢えて行く息子を愛した 「ホテルまで送らせよう」 「良いよ」 「地下の駐車場で、待ってなさい 誰か行かせる」 父親にそう言われ、康太は膝から降りて 部屋を出た 地下の駐車場へ行こうとすると…… 副社長室のドアが開いた 「私には逢わずに帰るのか?」 飛鳥井瑛太が部屋から出て来た 「瑛兄…何で解った?」 「下の受付嬢は、康太が来たら教えてくれます」 口止めしとくべきだった 「オレ、地下の駐車場行かねぇと…」 「親父には連絡しときます!」 瑛太が秘書に目で合図すると 秘書は社長室のドアを開け入って行った 瑛太は康太を持ち上げると、副社長室に運び込みソファーに下ろした 「何故、兄の所は素通りで行こうとしたのですか?」 康太は瑛太を見上げた 「逢えば……瑛兄は心配する オレの事で…もう瑛兄を悩ませたくない 瑛兄の仕事の邪魔はしたくない… しかも今回はオレは誰に狙われているかも解らない状態だかんな 見通しが着かない状態で逢いたくなかったってのもあるんだよ」 修学旅行中に、電話をくれた瑛太の部屋は静まり返っていた 多分…この部屋で仕事をしてたのだ 夜中まで…仕事して… そんな瑛太を、戸浪まで共に行かせ血で染めた これ以上の迷惑はかけたくなかったのだ… 康太の言葉で、瑛太は覚悟を知った この子を止めたい…… 止めろ…と口にすれば…康太は歩を止める 瑛太が願えば…康太は止まる だが…それは康太の本意ではない… 瑛太は苦悩した 「迷惑なんかじゃない! お前の事を迷惑だとは思った事は一度もない!」 瑛太は弟を掻き抱いた 「逢わないで…行かれたら……… 私は、自分を殺したくなります!」 力強い腕が震えていた この兄を悩ますのは何時も自分だ 「オレは進む 喩え命尽きても、止まれねぇ! そんな馬鹿な姿は、瑛兄は知らなくて良い…」 「知らずにお前に逝かれたら……… 私は自分を許せなくてお前の後を追うでしょう? この兄を殺したいのですか?」 康太の唇が…瑛兄……と描き戦慄いた 「瑛兄は…バカだ…」 康太は瑛太に縋り着いた 「お前を育てた兄だからな…」 瑛太は弟を強く抱き締めた 「元気な顔を見せて下さい‥‥ 兄はそれだけを待っています‥‥」 康太は瑛太に縋り付いた そして…ポツポツと学校で怒った事を話した 四悪童はバラバラにされ…潰す…と謂われ計画を立てようと想ったが皆目検討が着かなくて‥‥狙われる前に逃げる事にした 潰す…と、言われたからには……… 無傷で終わるとは思わない 潰すと言うことは…最悪の事を考えねばならない だから、一度学校から消えて 父親に飛鳥井意外の名前でホテルを取ってもらうつもりだった… と、康太は総て話した 康太の話を総て聞いた瑛太でさえも… 最悪の事態は予想した 瑛太は社長室に電話を入れた 「ホテルはもう取ったのですか?」 『お前が出るのは想定内でしたので、取ってません』 父親は瑛太が出て来ると踏んで…… 『君の仕事は取りませんよ』と笑って告げた 瑛太は秘書に三日月のホテルに予約を入れさせた 「ホテルには、私が連れて行こう!」 こうなるから…康太は避けたのに… 「用心の為、私の車ではなく、秘書の車で行くとしましょう!」 そうしてら、飛鳥井康太を追って来ているとしても巻ける 「瑛兄…ごめん…」 「伊織君には言って出て来てのか?」 「言って来た でも、向こうのターゲットには伊織も貴史も入ってる 一緒だと…尚更ヤバいんだ…」 「生徒会長も執行部部長も、標的か… 一緒にいない方が良いな」 「兵藤の家のガードを学校に送った そして清四郎さんに伊織を避難させてもらった だから、向こうはオレ等を血眼になって探してる…」 瑛太は…わざと標的を自分に向けてる弟に、言葉を失った 「態勢を立て直したら…オレは出る! だから学校から消えた 隼人も逃げるのに足手まといになるから、ガードに預けて出て来た」 一条隼人の身の為……だろうと決断したのだろうが… 置いていくのは…決断がいる 「悠太も、狙われるから葛西に言って学校から出させた!今頃家だ!」 淡々と語る康太の事の重大さに、瑛太は康太の立場を知る 風を切って歩く姿は飄々としているが その道は蕀の道なのだと言う事を… 「康太、ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテルに部屋を取った 私が送った行く!良いな?」 瑛太が背広の上着を着ると、康太を促した 康太はポケットからスマホを取り出し、電源を入れた 「待って! 一生にメールしとく 電話だと逃げてる時に、ヤバいから…」 ポチポチ打って送信する 終わると、康太は瑛太の背広の裾を掴んだ 「ごめん…瑛兄…」 「気にしなくて良いです…」 「オレさ、桜林の高等部の制服来てた瑛兄が憧れだった 白のYシャツに袖にブルーのラインが入った制服を着ている瑛兄が、凄い大人に見えた… 今…オレは、その制服に袖を通したけど… オレが着るには貧相で… 当時の瑛兄の様にはなれない… だからじゃねぇけど、オレは伊織の制服姿が羨ましくて堪らねぇ‥‥ オレにはなれない姿が…羨ましくて…堪らなく好きだ」 「康太…」 友に囲まれ、兄は何時も輝いていた 白の制服に身を包む、兄のストイックさに憧れた あぁなりたいと願った あぁなれないと…悲しんだ 兄の横に何時もいて共に過ごした愛する人間を 会社を継ぐ時に別離を選んだのも知っている 飛鳥井を背負う為に沢山のモノを棄てて 引き換えに飛鳥井を背負った この男の苦しみに比べたら… また耐えれる 耐えねばならない…そう奮い立たせて 動いてきた 「オレは悠太が羨ましい… 瑛兄に良く似た悠太が… 兄弟の中で執行部に入れなかったのも… オレにはコンプレックスだった」 意外な康太の呟きに、瑛太はギョッとなった 「でもオレは何にもなれねぇ 幾ら憧れても…オレはオレにしかなれねぇ…」 瑛太は康太の頭を撫でた お前は飛鳥井康太…だ 他の誰にもなれやしない…と、慰めた 「お前は私の弟だ 一人位手のかかる弟がいないと… 私は兄として遣り甲斐がないでしょ?」 瑛太は、手のかかる弟を抱いた 「お前は、私の宝だ これ以上は愛せない位…… 私はお前を愛している 兄としてお前の幸せだけを祈っているのを……忘れるな」 康太は兄に縋り…泣いた この弟は可愛い… 己の血を引く子供より…愛を注ぐ 間違いないのは、解っているが… 手を出さずには…いられない だから…総てを背負う事にした… 総てを背負えば… この弟を何時までも支えてやれる 総てを棄てて 総てを背負う 総てを引き換えにして… 兄でいる道を撰んだあの時から… 康太の果てを見届けようと 心に決めた 康太の防波堤になってやろう… 何より優先にするには…この世で一人 だから…康太のいない世界には… 用などないのだ 「総てが終わったら、この兄の元に帰って来ると…約束しなさい!」 瑛太は康太の両頬に手をやり、顔を上げた 涙で濡れた頬を拭ってやる そして頬に接吻を落とし、掻き抱いた 「兄は待っている お前が帰って来るのを…待っている それを忘れるな」 康太は頷いた 「瑛兄の所へ帰ってくるよ…絶対に!」 瑛太は康太を離した 「さぁ送る!来なさい」 瑛太は康太を促し、地下の駐車場へ向かう 地下の駐車場に行くと、瑛太の秘書が待機していた 瑛太の秘書の佐伯明日菜は、才媛の美人だった その美人の車は…後部座席に黒フィルム貼った 外車の改造車だなんて想像も…つかなかった 佐伯明日菜は二人を見ると、遅せぇよ!と怒鳴った 康太は瑛太を見上げた 瑛太は早く乗りますよ!と、後部座席に乗り込んだ 「佐伯…康太が怪我する 安全運転でお願いします」 瑛太が言うと、佐伯は 「私は何時も安全運転です 副社長と違うわぃ」……と鼻で笑った 瑛太は仕事は出来るんだか…性格が… と、ボヤいた 「副社長、貴方の溺愛の康太さんを危ない目に合わせたら 明日には首も命もないのは解ってるので、安心して下さい!」 佐伯はピシッと吐き捨てた 「顔を下げといて下さい!」 走り出した車は、地下の駐車場を凄いスピードで出て行く 地上に上がるスロープの間、瑛太と康太は座席に伏せた 瑛太が康太に被さり隠す 車が出ると、見かけない学生紛いの男達が、出て来る車をチェックしていた 物凄いスピードで地上に出て安全を確保すると佐伯は 「副社長、康太くんが潰れます 起きて下さい!」と苦言を呈した 佐伯の言葉に瑛太は康太を起こした 潰す筈ないだろ…と、瑛太がボヤく 佐伯は笑い飛ばし 「副社長、社外カメラであの者を写し ガードに人物特定させましょうか?」 本当に優秀なのだ、この秘書は 美しいし、申し分ないのだけれど…性格がキツい 歯に衣着せぬ物言いに、時々度肝を抜かれる 「君に任せる! 誰にもつけられてないだろうな?」 佐伯は「はんっ!この私に着いて来れる奴などいないわ!」と、言い捨てた 車は猛スピードで湾岸を走り 三日月のホテルの駐車場へと入って行く 車を停めると瑛太は車から降り、康太をホテルの中へと連れて行った ホテルのカウンターに予約の名前を告げ 部屋のキーをもらうと お連れ様がお待ちです…と、ロビーを指差した そこには一生と四宮、一条に榊原がいた 康太は驚いた 何故榊原が…と…… 「伊織が居てくれるなら、安心だな 康太、私は帰ります 必ず顔を見せに帰って来なさい! 約束ですよ!」 康太は何度も頷いた 瑛太は康太の肩を榊原の方に押すと、帰って行った キーを手にした康太は四人に近付き 部屋に行こうぜ!と、言葉を投げ掛けた エレベーターに乗ると、榊原は康太を引き寄せた 「心配しました…君に何かあったら… 僕は生きてられません…」 康太は何も言わなかった… 何も言えなかった 部屋のキーを差し込み部屋に入る ふと…一生の手を見ると、もう一個キーを持っていた 康太が一生を見上げる 「俺が逃げてた時に、進路を塞ぐように車が停まったんだ 捕まったか…と、思ったら旦那だったんだよ 旦那が清四郎さんを連れて、俺と聡一郎を拾ってくれた 隼人は後で合流した お前だけが連絡着かなくて…… 旦那は、死にそうな顔してたんだよ!」 一生の言葉に榊原の苦悩を知る 「おめぇは……直ぐに1人で突っ走る! 旦那は…てめぇに連絡が着かねぇから壊れそうだったんだよ! おめぇの携帯の電源が切れてて繋がらねぇから…… おめぇが捕まったんじゃねぇかって! …すげぇ心配してた 心配させた分、お前は旦那といろ!」 一生は、瑛太と来た康太を怒った 榊原の心中を知りやがれ!とばかりに怒った 康太は…一生をじっと見て 「今回のターゲットは、オレ等だ 確信した オレは親父に逢いに行ったんだよ 馬鹿な息子の姿位…見せとかなきゃな… って想ったんだ まぁ瑛兄に捕まって怒られたけど…」 ……と、力なく呟いた 康太の呟いた言葉に、康太の命懸けの決意を垣間見た 「飛鳥井の会社の回りに、張ってる奴がいた…」 康太の言葉に、一生はつけられたのか?と問い掛けた 康太は首をふった 「オレは巻いた オレが会社に入った時は誰もいなかった 瑛兄は会社の回りを見に行かせた 多分、自宅の方にもオレを狙い撃ちする為に放たれてるだろうと思う」 「じゃぁ…個人情報が把握されている?」 認めたくないが… 今回は用意周到、追い詰められる方は四悪童のようだ 康太は四悪童がターゲットなら、自分に榊原は近付けたくなかった 「伊織は…巻き込めたくない 自分の火の粉がかかるなら払う だが…伊織を巻き込めたくない…」 何故、あの場に榊原いた? 清四郎に頼んだのに… 「何故いんだよ伊織…」 「僕は君となら、喩え地獄でも着いて行きます…って言ったよ? 巻き込まれたって構わない… だから僕の側から…離れないで……」 榊原が、康太に訴えた だが…康太は無反応だ 一生は「城之内が、夜の8時にこのホテルに来る バイクだとバレるから電車を乗り継ぎ来る 猶予は4時間 旦那、康太をおめぇにくれてやる だから使える様にしとけ!」 そう言い、一生は四宮と一条を伴い部屋を出て行った 榊原は、部屋の鍵を締めた 立ち尽くす康太を、抱き締めた 「康太…どうしたの?」 「これは、オレ等の闘いだ 伊織は、捲き込まれて欲しくなかった… 悠太の言う通りだ…オレは人を巻き込む…」 「康太が死ぬ気なら、僕は康太と共にいたい 安全な場所に置かれても…… 知らない間に康太に何かあったら…僕は…………狂います」 康太は伊織…と呟き 榊原を抱き締めた 「伊織…頭に顔を寄せるな…」 抱き締めた榊原が…… 康太の頭に接吻しょうとして、康太は慌てて止めた 榊原は、康太の抵抗に… 傷付いた瞳を向けた 康太は違う…と、逃走中の話をした 「今のオレは汚ねぇ! 逃げる最中に犬小屋に入ったり 神社の境内の縁の下にも入った…… 頭は蜘蛛の巣の餌食だ 今、触るのは勇気がいるぞ伊織…」 康太の台詞に榊原は笑って、康太の服を脱がした 全裸にした康太はあっちこっち擦り傷で血が出ていた 榊原も服を脱ぎ、バスルームに康太を連れて行った バスタブに湯を張り、オイルを垂らす 湯が溜まるまでに康太の頭を洗ってやった ついでに体も洗う 湯船が溜まったり、榊原は先に入って足を投げ出した 自分の体の上に康太を乗せて 重なりバスタブに入った 榊原の指が康太の穴の中へ潜り込み掻き回すと… 穴からは湯が入り込み…康太の体温を上げた ツンと立ち上がった乳首をピアスごと舐め味わい 指は康太の肉壁を掻き回した 背中には榊原の立ち上がった性器が脈打っていた 「伊織…熱い…お湯が入って来る…って」 「康太の中…溶けてる」 弛んだ穴に榊原は、自分の勃起を擦りつけた 入れるか…入れないかで… 去って行く熱い塊 「伊織…挿れて ねっ、オレの中へ入って」 康太の哀願に榊原は答えない 康太は仰け反って後ろの榊原にキスをねだった 榊原は、康太の口内を犯し舌を搦めた 「約束して…康太 僕らは共にいるって…… 約束して下さい」 挿入出来ない辛さで榊原の声が掠れていた 「約束する!伊織と共にいる」 康太の足が宙を描き跳ねる ピシャッと言う音の後に…榊原は挿入した 康太は仰け反り喘いた 康太の刹那げな声が浴室に響く 体は大きな飛沫を上げて、榊原の力強い腕に抱き止められた 白濁を康太の中へ吐き出す瞬間 康太は…ごめん…と、謝った 逆上せた康太を冷まして 再び重なり縺れ合い……求め合い…果てた 康太は榊原の上に乗ったまま… 胸に顔を刷り寄せた 「伊織…ごめん…」 榊原の胸の上で康太は呟いた 榊原の腕が康太を抱き締める 「でも…伊織を…危ない目に合わせたくねぇんだ…… 目の前で伊織が…と想うと怖くて堪らなくなる」 康太の気持ちは痛い程解っていた 解っていたが、共にいたいのだ榊原は 「康太…僕は簡単にはやられません だから怖がらないで…」 榊原には、康太の恐怖を解っていた… 無くしたくない想いは…お互い様だ 「オレは目の前で隼人をなくしかけた… あの時の恐怖からまだ、立ち直れねぇ… 無くしたくない想いばかり強くなる… もし目の前で伊織を…と思うと… 夢の中で泣きながら叫んでた… 悠太に言われた時は…グサッと来た… オレは巻き込むかんな…」 目の前で一条が刺された傷はまだ…康太を蝕んでいて… 血を流し続けている… 「康太…僕が死んだら直ぐに来なさい 死した後も僕らは共にある 君が目の前で死んだら僕は直ぐに後を追います だから…目を離したら…ダメです」 やはりこの男は‥‥この言葉をくれるのだ‥‥ その言葉を受け康太は泣いていた… 榊原の胸から滴が流れて零れた… 止めどなく滴は伝い… 榊原は康太を抱き締めたまま、ひっくり返って康太の上に乗った 熱い接吻を康太に贈る 体に火が点くのは一瞬で、熱い熱に飲まれる 互いを飲み込む熱に身を任せる 康太は榊原の背に手を回した 7時半には、2人でシャワーを浴び 榊原がホテルに来る途中に買ってきてくれた服に身を包んだ ベットメーキングを整え 榊原とソファーに座った 康太は一生に電話を入れた 「すまなかった…部屋に来てくれ」 電話を切ると、ドアのチャイムが鳴る 榊原はドアを開けた ソファーに座る康太の瞳には強い光が宿されて、3人は胸を撫で下ろした 「一生、これを見ろ!」 康太は一生にスマホを見せた 情事が終わり、携帯を見ると 瑛太からメールが届いていた 会社の回りにいた人間の画像を転送してくれたのだ 「これは?」 一生が聞くと 康太は「飛鳥井建設の前にいた奴等」と答えた 「標的は…オレだ!」 と現実を口にした 一生は驚愕して康太を見た 厳つい男が5人 飛鳥井建設の前で何かを待ってる画像を見て… こんな奴に捕まっていたら…康太は今… 考えるだけで怖い 四宮はスマホを覗き 「城之内なら解るかも知れませんね? このバイク…暴走族の改造バイクに似てます」 鋭い指摘をしてきた スマホのデーターを四宮は、自分のPCに取り込み物凄い速度でパチポチ始めた 金色の髪を振り乱し、キーボードを叩く 改造バイクの改造の仕方から何か割り出せないか…検索する ヒットすると、唇の端を吊り上げた 「僕らが潰したカイザーって暴走族の頭が乗ってたバイクに酷似してます そして、この右端の男」 四宮の指差す男は、一番厳ついガタイをしてた 「駿河共立の門倉仁志です」 駿河共立??????? 一度もやり合った事もない学校が何故?? 康太は首をかしげた 「四宮…オレは話が見えて来んもんよー」 康太は、ボヤいた 一生は、唸った 一条は……台本を読むのに余念がない 取り敢えず…城之内を待つ事にした 城之内優は、8時前にやって来た ドアを開けると…金色のライオンの様な髪をした城之内優が入って来た アーミーズボンに黒のTシャツと軽装だが 金色の髪がライオンのたてがみみたいなのが、城之内の特徴だった 城之内の姿を見ると、康太は手を上げた 「よっ今日も鬣が決まってるやん!」 康太が軽口を叩くと、何故か城之内は吠えた 「康太!俺は部外者が居るのに話はしたくねぇ!」 部屋に入って、目に入るのは榊原伊織 見るからに真面目を絵に描いた人間に…… 城之内は構えた 一生が、まぁまぁとたしなめ座らせた 「城之内、あれは康太の旦那だ 一切口出しはしない賢い旦那だ 堪えてくれ!」 一生がそう言うと、城之内は楽しげに笑った 「康太の亭主!! 嫁に行ったのか?なら我慢してやる」 妙に納得して、城之内は本題に入った 「俺を呼んだのは…… カイザーの残党と、駿河共立の門倉仁志と 桜林の相馬と神埼の事だろ?」 城之内が言うと、康太はビンゴと指を鳴らした 「駿河共立の門倉と、桜林の相馬とは従兄弟だ 相馬に荷担した門倉が、関東で天下を盗ろうと夢見て動き出した 利害が一致した奴等が手を組んだ そいつ等の他にも、北都の残党も手を結び 勢力を伸ばしつつある 潰さねぇと潰される! 近々お前等に連絡を取るつもりだった」 「城之内、総勢何人位の屋台骨なんだ?」 康太が聞くと、城之内はニャッと笑った 「数は300ちょい! だが統制が取れてねぇ 潰すなら今だ! 康太お前が動くなら、俺等湘南連合と湘南付属は共に動く!」 統制が取れてない今を狙わねば…… 後は莫大に大きくなった組織を相手にせねばならない…… 城之内の言葉に康太は 「乗らずにおくかよ!」と吠えた 「アイツ等は、桜林祭を潰す気だ それに乗じて、門倉は打って出るつもりだろ? そうはさせるか! その前に潰してやんよ!」 立ち上がる康太を無理矢理座らせ 一生は用心深く城之内に探りを入れた 「城之内、お前は懐柔されてねぇ…だろうな…?」 「俺が誰かに着くと思うか? 懐柔されんなら足を洗う 執着するには、ちと年を食い過ぎた」 「それもそうか 俺等は来年重い制服を脱ぐからな……」 「世代交代だ一生 足を洗う身で、これから誰かの頭の下に着く馬鹿はいねぇよ!」 城之内が呟くと、康太が城之内の肩を叩いた 「城之内、大掃除すんべ 綺麗に一掃して、下には引き継いでやんねぇとな!」 康太は、城之内に手を差し出した 城之内は康太の手を取った 「城之内、こっから先はお前とオレは表裏一体! もう引き返す道はねぇ!」 康太が言うと、城之内は笑った 「引き返す気なら、此処へは来ねぇよ! しっかし、康太よ お前は大物食いだな 桜林学園執行部部長、榊原伊織とは… 流石の俺も驚いたぜ!」 「オレも驚いたかんな! 片想いで良いと思ってたかんな ずっと、遠くで見てるだけで…満足だったし…」 康太は力なく笑った 「伊織を…間近で見た時は… 気絶しそうになったし…」 城之内は、無言で康太の肩を叩いた 「詳しい話は、情報集めたら一生に連絡すっから!またな」 と、嵐の様に帰って行った 城之内が、帰って静けさが広がった 榊原はさっきの康太の言葉が、信じられないみたいだ そんな榊原に一生は、話してやった 「康太は中等部になって直ぐに、お前に一目惚れした 見てるだけで、アイツは満足だった…… 片想いだよ 初恋もまだな康太が、初めて好きになったのは、お前だよ!榊原伊織」 榊原は、驚愕の瞳で康太を見た 「中1の時、お前と隣の席になって友達になれて有頂天だった… 旦那は知らねぇだろうけど… 12歳から康太はお前一筋だ だから、お前が名前で笑った康太と離れて…アイツは栄養失調になる程悩んだんだ…」 榊原は、知らなかった 一生達は用はなくなったから…と、部屋を出て行った 部屋に静けさが戻る 榊原は、康太の頬に手を伸ばした 「ずっと…僕が好きだったの…?」 「ずっと伊織が好きだった… 見ているだけで良かったんだ 遠くから少し見られるだけで…幸せだった 真横を通ったら気を失いそうな位…幸せで 同室になった時は…嫌われない様に…そればかり…」 康太の瞳から涙が流れた… 「伊織に釣り合う筈がないから… 見ているだけで…良かったんだ 同室になって話した時は…軽蔑されないか…心臓がバクバクしていた 伊織は…沢山の恋人がいたから… オレなんて相手にされないって…思ってた… オレなんて…」 榊原は、康太を抱き締めた 「伊織と…恋人になっても…目が醒めたら…総て嘘だったら… どうして生きて行こう…って思ってた… 伊織の沢山の中の恋人でも我慢しょうって思った…」 榊原は、康太にもう良い…と、訴えた 知らなかったのだ 康太が誰を好きなのか…なんて… 康太を犯してしまいそうな欲求に駆られて、離れた そして、康太に似た姿なら抱いた そうして榊原が逃げていた時でも…康太は榊原を思っていたとは… 想像もつかなかった… こんな辛い想いをさせていたとは… 「康太…過去は君にはあげられませんが… 僕の未来は君に上げます!」 「伊織…」 「僕は君に嫌われたくなくて… 逃げたんです 頭の中では…康太を何度も犯した でも実際の君には触れない 純真無垢な君に触って嫌われたら…怖かったんです だから…逃げた 瞳の色が似ているだけで…康太を抱いてる気分になった 髪の色が似ているだけで… 頭を撫でたくなった… 総て君に似ていれば良かったんです」 「康太を愛してます 僕の言葉が信じられますか?」 榊原が、康太に問う 康太は「信じられるよ」と返した 「でも…伊織を…好き過ぎて、怖い」 「怖がらなくて良いです 僕は君に永遠の愛を誓います ずっと一緒です」 伊織… 康太は榊原の胸に抱かれ、榊原の体臭に包まれる 「寝ましょうか…康太 ずっと抱き締めててあげるから…眠りましょう」 康太をベットの上まで抱き上げる 榊原は、康太を胸に抱き眠った 康太は榊原にしがみつき眠りに落ちた

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