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第41話 邀撃①

緑川一生は友好を結んだ学校の主要な人間に連絡を入れ、情報収集を始めた 四宮聡一郎は、PCを駆使して情報や噂の類いの分析を始めた 一条隼人は、今日はロケでいなかった 康太はそんな2人の反対側のソファーに座り タブレットを駆使して地図を見て唸っていた 榊原は、康太の横で様子を眺めていた 突然、ソファーの上に置いたスマホが鳴り出し康太は驚いた 音の方を見ると…… 榊原のスマホが、けたたましい音を出して鳴っていた 「伊織…電話」 「康太が出て…」 榊原は、電話に出る気はゼロだった 康太は仕方がなく携帯を取り、出た 「伊織ぃぃぃぃ!さっさと電話に出んかぁぁぁ!」 受話器からは怒鳴り声が鳴り響いた 榊原は、予測して電話に出なかったのだ 「あの…」 康太が、話し掛けると相手は息を飲んで黙った 「あの…用件は何なんでしょうか?」 康太が問うと、相手は話し出した 「すみません‥‥清家です これは榊原伊織の携帯で間違えないのですよね?」 「はい!伊織に変わります」 康太は携帯を榊原に渡して 出ろ…と目で合図した 渋々榊原は、携帯に出た 「もしもし…清家、何か用か?」 「学校をサボってデートですか? 良い身分ですね!」 嫌みの応酬に合うから出たくなかったのに… 「用件は?」 「君達の部屋が荒らされました 四宮と緑川の部屋も壊滅的に壊されました それと同時に…兵藤もお前も四悪童も… 学校から消えた 何があったか、僕は知る権利があると思いますが?」 榊原は、康太に清家が知りたがっている …と伝えた 康太は榊原の携帯を取ると…電話に出た 「清家、オレ等はデートで消えた訳ではない! 状況を建て直す必要があったから消えた 突然、襲撃される恐れがあったからな 伊織も貴史も…標的にされてるから身を隠した」 康太の言葉に清家は言葉を失った 「清家、緊急事態だ! 学校を閉鎖されよ!」 「飛鳥井康太、本気で言ってますか?」 「本気だ! オレ等が消えたから、標的がお前等に変わる可能性もある これは冗談ではない オレ等は今後の対策を取る為に消えたと申さなかったか? オレ等がいない今、奇襲をかけられたら… 被害者が出る… それでも寝言だと言うか?清家」 ここに来て…やっと康太の緊急事態の意味が解った 「構内に手引きしてるのは 元執行部役員 そして生徒会室のPCから、個人情報を盗んだのも、元執行部役員だ! 学校の中に敵を飼っている様なもんだ そんな場所では、内緒話すら出来ねぇよ」 個人情報…! そこまでやるなら…それは無理だ 「一度、生徒会と執行部のデータベースを壊されよ そして、相馬と神埼を何処かに足止めして、生徒を避難させよ それが清家、お前を残して来た理由だ」 残して来た理由… 生徒会長と執行部部長が消え 四悪童も消え 部屋が荒らされるのも想定内だと言うのか? そして、その場になって 清家が榊原に連絡を取るのも…想定内だと、言っている様なものだった 「緊急事態をかけます でも相馬と神埼は、一人では無理です!」 「だから、体育館に誘き出してやった 来たら閉じ込めて、その隙に学校の消防の緊急ボタンを押せ 緊急だからな、生徒を誘導して桜林の臨海センターにでも押し込んどけ 長引かせねぇからよ 片付いたら出せば良い!出来るか?清家 一歩間違えば危ない 楡崎と幸村と、田所を使え 話は通してある」 「やるしかないんでしょ? 選択肢はない! それがボクが残された理由なら、やるしかない 君はボクが成し遂げると踏んだ なら完璧にやるしかない 相馬と神埼は、何時に体育館に来ますか?」 「まぁ待て! 今タブレットで逃走経路と、所要時間を割り出してる 生徒会に知れてないPCかタブレットはあるか?あるならそこに転送する」 「タブレットがあります 伊織の携帯にアドレスを送ります!では」 清家は、電話を切った 少しすると榊原の携帯にメールが届いた 榊原は康太のタブにアドレスを転送した 康太は逃走経路と、詳細を綴った画面を清家に送った 清家は間違いなく、計画通りに動く 避難させたら、邀撃に出る 康太は一生に声をかけた 「一生学校が片付いたら、出る!」 「なら、策を立てなきゃな 聡一郎、合わせようぜ お前の情報と俺の策を練り合わせねぇとな」 一生はキーボードを打ちながら、四宮に檄を飛ばした タブレットを見ながら、康太は今日の作戦の追加を告げる 「一生、城之内に、桜林のバスが湾岸線を過ぎたら、妨害工作に動かせろ バスをつけられたらアウトだ!」 「了解!」 一生は携帯を取り出し、城之内に連絡を入れた 「聡一郎、副校長にバスの逃走用のルートを転送しておいて 湾岸線を通らないと、妨害も出来ねぇかんな!」 「了解!」 康太は窓を開け、外の空気を吸う そして風を詠んだ 「今日はそれで、動かねぇ 相手の出方を少し見る」 「今日、は?」 一生が聞くと、そう!今日、は、出ねぇ…と言った それっきり、3人は、会話を打ち切った タブレットに送られてきた計画の内容を見て、清家は言葉を失った 緻密に割り出された作戦 そして、逃走経路 作戦時の動き 実行する所要時間 これを飛鳥井康太は、弾き出し計画を立てたのだ 多分、緑川と四宮は他の事に掛かりきりだろう 力量を魅せ付けられた瞬間だった あの容姿に勘違いしがちだが、四悪童は 適材適所配置され動いている それを動かしているのは飛鳥井康太だった だから動くのだ 絶対の信頼が四悪童にはあった 護るべき飛鳥井康太を守り動く 彼等は4人が、其々の才能を発揮する なら…こちらも、本気を見せますか! 清家は、計画書を頭に叩き込んだ その後メールで楡崎と幸村、田所に連絡を入れた 指定されてる時間まで…あまり時間がない… 清家は警察に寮の部屋が荒らされたので警戒を御願いします…と、連絡を入れた 学校に警察を入れ、敵を怯ませる その隙を乗じて、飛鳥井康太が体育館にいた…と噂を流し 副校長がバスを正面玄関に着けたと、連絡が来たら 非常ベルを鳴らし避難して、バスに生徒を誘導して乗せる 非常事態宣言を発動して、桜林学園の臨海センターまで生徒を運ぶ 実に良く出来た、作戦を失敗する訳にはいかなかった 夜7時を過ぎた頃、清家からメールがあった 「総て完遂されたし!」 …………と 康太は画面を見て嗤った 「一生、これで火の粉は払った!」 「じゃぁ次は俺等だな」 一生はPCから目を離さず言った 康太はソファーの上で、榊原の膝の上に頭を乗せてゴロゴロしていた 榊原の優しい指が康太の髪を撫でる 康太は目を閉じた まだ…風が吹かない… 風を捉えきれてない… 思案してると一生が康太を呼んだ 「康太、城之内が掴んだ情報を転送して来た」 一生の言葉に康太は目を開けた 起き上がり、一生のPCを覗きに行った 城之内の最新の情報では また1つの学校が討たれた…知らせがあった 闇に乗じて奇襲を繰り返し、倒れていく学校が… 駿河湾共立の傘下に入っていた 次に狙うは……桜林学園 桜林の頭は…表と裏と2つ… それと…四悪童… なら…こちらも頭を出して… 討たれるのを待つか…討ちに行くか… 「一生、受け身? それとも、反撃?」 康太が聞くと一生は「邀撃」と答えた ならば、行くしかあるまい 「伊織…出てくれ!」 康太は榊原に背を向けたまま、言葉を吐き出した 「僕は何時でも出ます! 総ては君の思いのままに…」 康太は振り返り榊原を見詰めた… そしてスマホを取り出すと、電話をかけた 「貴史、出番だ!」 康太は電話をするなり、単刀直入に切り出した 「待ちくたびれた 何故もっと早く呼ばねぇんだよ」 「学園の生徒の大移動があったんだよ 生徒に火の粉はかけられねぇよ」 兵藤は、お前らしい…と嗤った 「俺のすべき事は?」 「誘き出す材料になれ」 「客寄せパンダか…乗り気がしねぇな」 「それでも、出やがれ貴史!」 「お前の望むままに動いてやるさ」 「当たり前だ!動かなかったら…」 「…動かなかったら??」 兵藤が聞き返す 「お前んちの犬をさらって、学校に持ってくるもんよー」 「あーっ!それは止めて…」 「コータを晒すぞ」 兵藤は、言葉を失った… 「何故…知ってる」 兵藤が唸る…そして諦めたように了承した 「兵藤貴史、喜んでやらさせて戴きます」 「じゃあ、猫のコタロウも!」 「兵藤貴史、命を懸けてやらさせてもらいます!」 「よし!」 康太は満足げに笑った 「しかし…おめぇは酷でぇ奴だ」 「この前家に帰った時、貴史んちの親父に逢った 笑ってコタロウとコータを見せてくれたかんな!」 兵藤の親父は家の前で、ウィリッシュコギーのコータと ロシアンブルーのコタロウと遊んでいた つい見ていると掴まって、これは貴史の犬と猫なんですよ…と名前を教えてくれた そして兵藤の父は「アレの想いは、何時も君へと続く…」と、悲しそうに笑って犬を抱かせた 電話の向こうで…あのクソ親父!と唸る声が聞こえた 「貴史…オレ等も出る!」 康太の言葉に兵藤は、息を詰めた 「お前は出るな…」 「貴史、他校は今闇討ちに有って潰されてんだぜ? 我が校は表も裏…そして四悪童が狙い 出ねば終結はない!」 「ならば俺等は運命共同体 お前と共にあろう!何時動く?」 康太は風を捉えた 後は、勝機を読むだけだ… 「生徒を押し込めてられるのは…… 今日を入れて2日が限界だろ? 明日、邀撃する! それまでには、一生と聡一郎の策と戦略は出来上がる! オレは誘き出す場所と経路を練る」 「ならば、担がれるのを待っていよう」 「てめぇ、いざと言う時に直ぐに出れる様に…… 誰かをベットに引きずり込んだり 携帯を置き忘れたりすんじゃねぇぞ! もし肝心な時に出なかったら、兵藤の床の間にある壺、壊しに行くかんな!」 康太は今、兵藤家の家宝の壺を壊しに行くと宣言した 失態をおかせば…壊されても文句は…言えない 恐ろしい奴だ… 兵藤は、電話口で唸った 「携帯を抱き締めて寝させて戴きます!」 「よし!オレはこれから、総てを組み立てる!またな!」 康太は電話を切った 「さてと…役者は揃った 風も捉えた… 一生、明日の夜、仕掛ける」 一生はPCから立ち上がった 四宮も立ち上がり、康太の前へと来た 「お前の行くとこ、地獄の果てまで共に…」 一生が言うと 「康太と共に…我等は動く!」 四宮も、康太を見て宣言した 「じゃあ、総てを合わせようぜ」 総ての情報を繋ぎ会わせ練られた策と戦略と…段取りと経路 それぞれを持ち寄って、1つの作戦は敢行される それが四悪童の真髄だった 噂と、情報と、人の心理を突いて四悪童は動く 情報と言う武器で人を惑わし、人を動かす そして噂をばら蒔き、追い詰め、トドメを刺す 人の懐柔は、緑川一生の得意な分野で 噂を上手く操るのは四宮聡一郎の得意分 そして総ての情報を手に入れ、時間と経路を導き出す 適材適所人の配置をするのは、飛鳥井康太の得意分野だった そして一条隼人は康太の為なら、命を懸けて動く忠実な息子だった 「聡一郎、隼人が明日の夜、横浜西口に現れると流せ! それを皮切りに我等は動く!」 「了解!」 「一生、城之内を動かす! 電話に出たら変われ!」 その言葉に一生は、城之内へと電話を入れた… 城之内が出たら携帯を渡した 風は人を煽る 人は風に煽られ、大きな波に乗り動き出す 波を作るのも人なら… 波を壊すのも人の仕業だ… 生徒達を避難させた翌日の夜 一条隼人は横浜駅構内にいた 白の上下のスーツにサングラス 一目で一条隼人だと解る出で立ちに  通り過ぎてく人は足を止めた 目の前の一条隼人は…素敵だった モデルをしてるだけあって、身長も高く手足が長い どんなポーズも様になる 歩くと人々は足を止め壁となる 何の人集りかと横を通り過ぎようとした人間も足を止め壁は更に厚くなる 一条は自分を囲む人混みの中に毛並みの違う輩を発見して、唇の端を上げた 胸に取り付けたブローチを握ると 「準備OK!」と小声で喋った 耳のインカムに「了解!」と声が聞こえ 一条は走り出し……表に飛び出した 停まっている車に飛び乗り、目的地に誘導する 目的地に着いたら、ガードが待ってる 一条に、危害は加えられない… 康太は、次の行動へ出た 榊原伊織は、桜林学園に姿を見せた 飛んで火に入る夏の虫 相馬と神崎の他に駿河共立の生徒が、榊原を掴まえようと待ち構えていた 榊原は待ち構えた方には行かず…… 踵を返し…走った 走り、人混みに紛れる 人混みに紛れれば、容易には動けない… 榊原は後ろに尾行を着けたまま…電車に乗った 兵藤貴史も、駿河共立と同盟を結ぶ学校の前にいた そして、わざと目を付けられ…人混みをわざわざ選んで歩いた 四宮も一生も、バラバラに散って 敵を一ヵ所に誘導を始めていた 飛鳥井康太は、駿河共立の学校の前にいた 城之内のバイクの後ろに跨がり、敵が出てくるのを待っていた 「門倉が出て来たら、走れ!」 城之内は「言われんでも走るわい!」と叫んだ 敵の手の中へ わざわざ油を注ぎに行く馬鹿は見たことがなかった 駿河共立の学校の前にライオンの様な髪をした奴がいれば… 情報は直ぐに入る 戦隊も組まずに出て来る馬鹿など見た事もないから、門倉はほくそ笑んだ 兵藤貴史も、榊原伊織も掴まるのは時間の問題…… 後の雑魚はもっと簡単 それを察して白旗でも上げに来たか… 門倉は終わり位、出て行って引導を渡してやろう…と腰を上げた 四悪童ごときにやられる自分ではないわい… 所詮悪ガキのレベル 人は塊になってこそ、力を発揮する 門倉は高笑いをした 城之内のバイクを見付け、門倉は兵隊を引き連れて歩いて来た もう勝利を手にしたかのような、活気に満ちていた 「白旗でも上げに来たか?城之内」 門倉が、城之内に言う その門倉目掛けて、康太は爆竹を投げた 門倉の足元でバチバチと爆竹が爆発した 康太は嗤った 「門倉仁志、数で天下を手に入れたと思ったか?愚かな」 康太の放った言葉に門倉は、激怒した 門倉は四悪童の姿は…知らなかった 見たことすら…なかったのだ 情報は得ても、その実態は掴めない たかが四人、取るに足らない存在… そう捨て、天下を獲る人数ばかりを集めていた 「お前は誰だ!」 門倉が激昂して問う 「四悪童、飛鳥井康太!」 よん…こいつがそうか! じゃあ今、捕まえれば桜林は手中にあるも同然 門倉は、康太に近寄った 康太は待ってましたと城之内に 「走れ!」と檄を飛ばした 目の前から飛鳥井康太が走り去る 門倉は、後を追い掛けた 兵隊を引き連れて…闇に紛れて走る ネズミ一匹…取るには足らない… 掴まえて、平伏させてやろう 門倉は、城之内のバイクを追った 「城之内、追って来た…」 康太の言葉に城之内は…… お前が焚き付けた所為じゃんかよ…愚痴った 「絶対に捕まるなよ!」 ブチッ…城之内の堪忍袋の緒が切れた 「誰に言ってんだよ康太! お前、振り落すぞ!」 康太は、笑う 大量のバイクが轟音を轟かせ走って来る 城之内は、車の間をすり抜け走る 目的地へと誘導されてるとも知らず… 門倉は、城之内のバイクを追いかけた 目指すは、飛鳥井の持ち物のスタジアムへ 仲間は全員、スタジアムへ向けかっている筈だ スタジアムには、既に臨海センターに押し込んで置いた生徒も 中等部の生徒も、着いている 同盟を結ぶ他校の生徒もいる筈だ 全員が自分の学校の行方を知るべきなのだ 後は誘き出せば完了する 追手は予想より早くバイクに追い付き、煽る 「城之内、スタジアムの中に突っ込め! グランドまで走れ!」 スタジアムの通用門にバイクを突っ込ませ 狭い通路を走ると…観客席との通路に出る 観客席の前にフェンスがある 「飛べ!城之内!」 バイクが宙を舞い……… グランドの土に落ちた バイクが康太の上に覆い被さり…‥‥地面に落ちた ドカッとバイクが降ってきて…… ボキッ……と骨が折れる音を聞いた ………肋骨をやったような痛みに襲われた これは想定外 後から追ってきた門倉が康太に近付き… 胸倉を掴んで殴った 「手間かけさせんじねぇよ!」 傷付き傷んだ胸を押さえる康太の髪を掴み 門倉は、更に殴った 康太の唇から鮮血が流れた 康太は、血を拭うと…嗤った 「入り口を閉めろ!」 康太の号令でスタジアムの扉が閉められ、ライトが灯った ライトが灯ると…門倉は驚いた 自分達が…ぐるっと囲まれていたからだ… 「おめぇが数に拘るから 同盟を結んでる学校の生徒と、うちの生徒と、頭を揃えてやった おめぇは数なんだろ?」 スタジアムの座席には生徒が座って、自分達の学校の為に、座っていた そして、桜林と同盟を結ぶ、代表者は、自分達の学校の為に、闘う決意で来ていた 数は、門倉の襲撃して集めた兵隊の上を行く 「門倉!お前の敗けだ!」 兵藤貴史が門倉の前に出て、敗北を告げた そして然り気無く康太を庇って立った 「嵌めたな!貴様!」 門倉はやっと策略に嵌まった現実を知った 「お前は四悪童の策略に嵌まった たった四人の頭脳に負けたんだ!」 兵藤貴史は毅然と言い放った グッと門倉が息を飲んだ 「門倉、人を動かすのは力じゃねぇ! 信頼なんだよ だからお前の集めた兵隊はボロボロ崩れた お前は泥船を造って乗っていたんだよ」 康太が苦しそうに言う 門倉は、地面に崩れ落ちた 敗北を認めた瞬間だった 兵藤は、相馬と神崎の前に行き 「お前等は、晴れて退学だ! おめでとう! だが、他校には行けない 不法侵入に器物破損 学園から訴えられてる 俺のやった猶予を無駄にして犯罪者か 今後学園に仇成すなら、お前等が死ぬまで追い込む!解ってるな!」 相馬と神崎は、震え上がった 兵藤貴史の魂まで凍る瞳に射抜かれ… もう、終わったことを知った 「貴史、生徒に声をかけろ! 生徒会長の声を生徒に聞かせろ」 全校生徒に、学校を守った生徒会長の姿を見せろ…と、康太は言った だが兵藤は嫌だ!と、突っぱねた 「てめぇ…早く言わんか!」 康太の怒号が響き渡る 「なら、今日でお前との縁は切る!」 「なっ!」 兵藤は、言葉が出なかった 康太が兵藤に真摯な目を向ける 「オレはな貴史、お前を歴代の生徒会長の上に置きたい 希代の生徒会長、兵藤貴史を作りたい それがお前を見続ける人間の務めだ お前がやらねぇなら、続ける縁はない!」 キッパリ言い張る康太の刃向かえる人間なんていない… 「解ったよ! お前の望む生徒会長になってやる 希代の生徒会長に兵藤貴史を刻んでやる」 兵藤は、マイクを要求した マイクを持って清家は現れ、兵藤にマイクを渡した 「我が桜林学園は鉄壁の守護神、四悪童の協力の元学園を救った この勝利は四悪童と、我等生徒の力なり 我等は決して屈しない 何度狙われようとも、我等は不屈の精神で討って出る! 君達の心に今日の教訓が生かせれら語り継がれる事を願う!解散」 兵藤の言葉に生徒は立ち上がり、兵藤貴史コールをした 「満足ですか?飛鳥井」 清家が声をかけて 兵藤を見ていた康太は「清家、見てみろ!貴史が笑ってる」と指を指した 「アレは、名を残す人になった 清家、覚えろ! お前の支える人間を目に残せ」 兵藤貴史のコールは鳴りやまず… スタジアムを飲み込んだ

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